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実家の土地、そのまま相続して大丈夫?—小規模宅地等の特例について

お盆で実家に帰ると、ふとした拍子に「この家、将来どうなるんだろう」と思うかもしれません。相続税を考えるとき、多くの家庭で一番大きな財産でなおかつ処分等に悩ましいのが「実家の土地」です。

前回(7/16)は土地の評価額の確認方法を扱いましたが、今回はその評価額を大きく下げられる可能性がある「小規模宅地等の特例」の話をします。

使えれば効果は大きい一方、要件を外すと使えません。ご実家への帰省が増えるこの時期に足元を確認する話として読んでいただければと思います。

目次

そもそも小規模宅地等の特例とは——“評価額を下げる”仕組み

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす自宅の土地などについて、相続税の評価額を大幅に減額できる制度です。自宅の敷地であれば、一定面積までの部分について評価額を最大8割減額できます。

実家の土地をそのまま評価すると相続税が重くのしかかりますが、この特例が使えると、評価額そのものが大きく下がります。

前回、土地の評価額の計算方法を確認しました。その“計算した評価額”を、さらにこの特例で下げられることがある、というのが今回の位置づけです。ただし、誰がどう引き継ぐかによって使えるかどうかが決まります。ここからが本題です。

使えるかどうかは“誰が引き継ぐか”で変わる

自宅の土地について特例を使えるかは、引き継ぐ人が誰かで要件が変わります。大きく分けると、配偶者、同居していた親族、そして別居していたいわゆる“家なき子”の3つのタイプです。

配偶者が引き継ぐ場合は要件が緩やかですが、同居親族が引き継ぐ場合は相続してから申告期限まで住み続け、その土地を持ち続けることが求められます。

家なき子のケースは、持ち家の有無などさらに細かい条件があります。

ここで一番気をつけたいのは、特例の適用は形式ではなく“実態”で判断されるという点です。たとえば、同居扱いを狙って住民票だけを実家に移していても、実際にそこで生活していなければ同居とは認められません。

税務調査では、その実態が丁寧に確認されます。水道光熱費の支払い記録から実際に何人が暮らしていたのかを推測したり、近隣に聞き込みに入ったりするケースもあると言われています。

住民票という“形式”だけではなく、生活の痕跡そのものが見られる、と考えておいた方が安全です。

一方で、実態の判断が難しいケースもあります。たとえば、親の看護や療養のために一時的に実家へ通っていた、あるいはそのために住民票を移していた、といった場合です。基本的にこのパターンは同居とは言えないという判断になります。

こうしたケースは、同居といえるかどうかの線引きが微妙になりがちで、個別の事情を丁寧に見る必要があります。“自分のケースはどのパターンか”を早めに確認しておく価値は大きいと言えます。

あわせて、「実家を売るつもり」「空き家のまま」など、相続後の扱いによっても適用可否が分かれます。

継続要件があるケースだと途中で売却・転居すると特例が使えなくなることがあるため、引き継いだ後の住み方・持ち方までを見据えて判断することが大切です。

時々あるのが相続税申告の期限まで所有していれば適用できた特例を、申告期限までに売却してしまったというケースなどです。

よくある“落とし穴”——お盆のうちに確認したいこと

まず押さえておきたいのは、特例を使うには相続税の申告が必要だということです。「評価が下がって税額がゼロになるなら申告は不要」と考えてしまう方がいますが、これは誤解です。

特例を適用した結果として税額がゼロになる場合でも、申告をして初めて特例が使えます。申告そのものを忘れると、本来使えたはずの特例が使えません。

次に、判断が分かれやすいケースです。二世帯住宅、賃貸併用住宅、親が老人ホームに入っていた場合などは、適用の可否や範囲が個別事情で変わります。

特に賃貸併用や貸地・貸家について注意したいのが、ここでも“実態”が問われる点です。たとえば「賃貸契約書がない」「確定申告をしていないから賃貸の実態がない」と形式だけで判断されそうな場面でも、本当に賃貸していたのであれば、その実態を示す資料が残っていないかを確認します。

賃料の収受があったことを説明できる銀行口座の入金明細や、家賃を記録した通い帳などが手がかりになります。契約書がないこと=賃貸ではない、と早合点しないことが大切です。

また賃貸不動産については今後は相続税に関して改正が入る見込みですので合わせて注意が必要です。

さらに、遺産分割が決まらないと特例が使えない場合があります。誰が実家を引き継ぐかが申告期限までに決まっていないと、その時点では特例を適用できないことがあるのです。

だからこそ、“誰が実家を引き継ぐか”を家族で早めに話しておくことに意味があります。お盆に家族が集まるいまは、その話を切り出せる数少ない機会です。

まとめ

小規模宅地等の特例は、実家の土地の相続税評価を大きく下げうる制度です。ただし「誰がどう引き継ぐか」で使えるかが決まり、判断はあくまで住民票などの形式ではなく生活や賃貸の実態でなされます。

使うには申告が必要で、その後の住み方・持ち方にも要件があります。

現実的な第一歩は、お盆に集まったこの機会に「実家を誰が引き継ぐ想定か」を一度家族で口に出しておくことです。そのうえで、自分のケースで特例が使えそうか気になる方は、スポット相談もご利用ください。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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