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まずは売上の集計をしよう。年またぎの売上は要注意

こんにちは、京都の税理士ジンノです。

確定申告の手順がイメージできれば、さっそく決算作業をまずは始める必要があります。

決算作業とはすなわち数字を拾っていく集計の作業となりますが、売上の計上時期と計上に関する注意点がありますので、今日は売上の決算作業についてお伝えします。

目次

売上の計上時期はいつか?

所得税の確定申告の対象期間は暦年、つまり1月1日から12月31日までとなっています。この期間の売上と仕入・経費を集計する必要があります。

 

この時にご質問いただくのが、売上というのはいつの時点で計上・認識するものなのか?ということ。これは事業の内容(モノを売るのか、サービスを提供するのか)の違いにもよります。

 

原則として売上の計上基準は「実現主義」により計上しなさいと規定されています。

(青色申告で現金主義の特例を受けている場合を除きます)

 

計上基準というのはいつの時点で認識しなさいといういわばルールですが、これがないとみなが好きな時点で売上を計上することが出来てしまうので、会計基準というものでルールが決まっています。

 

つまりは会計・経理に関するルールブックのことを会計基準と呼びます。

 

売上が実現した時点で認識する実現主義ですが、いつの時点で実現したかが業種や業態で異なります。

 
実現の基準 概要
出荷基準 商品を出荷した日で計上
引渡基準 モノの引き渡しがある場合には納品した日で計上

モノの引き渡しがないサービスの提供の場合にはサービスを提供した日で計上

検収基準 納品先が商品を検収した日で計上
契約日基準 契約書で定めた日で計上

フリーランス・個人事業主の方に多いと思われる基準をピックアップしてみました。

 

出荷基準はその名の通り、モノを売る事業の場合に商品を自社・事業所から出荷した時点で売上を計上する基準です。

 

引渡基準は、モノの引き渡しがある場合には納品が完了した時点で売上を計上する基準です。モノの引き渡しがない場合、例えばコンサルティング業などのサービス業の場合には、サービスの提供が完了した時点での計上です。

 

検収基準は相手方で検収(モノの確認)が完了した時点での計上です。例えばWebサイトやHPをつくるWebエンジニアのフリーランスの方はこの基準になるでしょう。

 

イメージでお伝えすると「仕事がおわったのがいつか」ということです。

 

Webサイトを作成して納めた場合、動作確認やチェックが入りますので、そのチェック(検収)が終わって初めて計上することになります。

コンサルタントの場合も、コンサルティングが終わって初めてサービスの提供が完了するので、仕事がおわったかどうか、という認識でよいでしょう。

 

この売上の実現の基準ですが、税務署等への届け出は不要ですが、毎期毎期、都度都度で変更することはできず継続して適用する必要があります。

取り扱うモノが変わったりといった合理的な理由がなければ原則として継続適用が求められます。

 

では次に悩みどころになるは、経理処理の問題です。これが冒頭でお伝えした売上の年またぎに注意するべき点です。

 

出荷基準で考えてみましょう。

商品を年末ギリギリの12月31日に出荷したとします。バタバタしていて計上を忘れていました。1月の末になって先方から入金があり、はたと気が付いたとします。何の入金だっけ?と。

 

本来であれば、12月31日の属する年の売上ですから、

12/31(売掛金)100,000(売上)100,000

とすべきところ。

 

これを入金した時点で認識してしまって

1/31(普通預金)100,000(売上)100,000

とすると、去年の売上を今年に計上している形になるので決算としては間違った処理をしていることになります。

12/31時点でキチンと計上して入金した場合の処理は

1/31(普通預金)100,000(売掛金)100,000となります。

売掛金とは売上のおカネがまだ入金になっていない状態の未収のお金を指します。

現金商売では出てきません。

 

普段からキチンと売上を売掛金で計上することが望ましいですが、普段は入金ベースで計上して、年末の売上に関しては売掛金で計上する方も多いです。

本来の売上計上の時期がズレていること、また資金繰りにもズレが生じるので、可能な限り定めた売上の計上基準で経理をコツコツとやり続けましょう。

売上じゃない入金とは?

売上について集計していると、ふと、覚えのない入金があるかもしれません。

 

普段から売掛金で売上を計上することができていれば、その入金に対応する売上がすぐに分かるのですが、売掛金の管理がおろそかだと、売上のハズなのに覚えがないだけで売上から除外したりする方を時折お見掛けします。

 

こうなるともはや売り上げを抜いているのと同じ結果(利益の圧縮)を生みますので、売上と疑わしいときはキチンと調べて、もらい忘れがないか、本当に売上じゃないか確認をしましょう。

 

またよくあるご質問で、普通預金の利息は収入じゃないのか?というものがあります。

事業用で普通預金口座をお使いの場合、半年に一度、年に二回ほど普通預金利息が入金になります。

 

また定期預金を組んでおられる場合にも預金利息が入金になりますが、この預金利息を雑収入で経理する方はとても多いです。

事業用資金にかかる利子については利子所得という事業所得とは異なる区分の所得になりますので、事業主勘定という勘定科目で計上する必要があります。

 

具体的には

(普通預金)100(雑収入)100

ではなくて

(普通預金)100(事業主借)100

となります。

 

似たような入金で例えば

事業に使っていた資産を譲渡した場合→事業所得ではなく譲渡所得で計算

所得税の還付金・還付加算金がある場合→還付金は収入ではなく、還付加算金は雑所得で計算

というものがあります。

 

これらについても同じく、事業主勘定で経理をしないと、二重計上になっていまいますし、そもそも所得の区分が事業所得と異なるものになるので、計算構造が異なります。

 

本来の売上が計上されていなければ利益が少なくなりますし、売上ではないものを売上として計上してしまうと、過大申告になりかねません。

 

売上をキチンと丁寧に集計し計上することでこれらのことは防げますので、日々の経理をコツコツやることがやはり望ましいです。

まとめ

年明け後に1年分をまとめて経理したりすると、このような記憶違いや勘違いで経理を誤ってしまう可能性は高くなります。

日々の経理をコツコツできれば、ミスも減り、結果的には確定申告に費やす時間を削減できます。

 

日々の経理をコツコツやりたいけどやり方がわからない、土台作りをサポートしてほしいという方は、ぜひ個別コンサルティングをご検討ください。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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