相続税申告書を税務ソフトで作成する場合には財産明細の一覧のような入力箇所があり、そこに財産と価額、取得者を入力すると申告書に反映する、という流れが一般的です。
ただ自分で手書きをする場合にはそうもいきませんので書き方の流れを解説します。
1表から順に、ではない
申告書は1表から15表まで、相続税申告書の場合にはあります。
このうち使用するであろう申告書の表はある程度決まっていて、全てを使うわけではありません。
例示すると
第1表 | 相続税の申告書 |
第2表 | 相続税の総額の計算書 |
第3表 | 財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合の各人の算出税額の計算書 |
第4表 | 相続税額の加算金額の計算書 |
第5表 | 配偶者の税額軽減額の計算書 |
第6表 | 未成年者控除額・障害者控除額の計算書 |
第7表 | 相次相続控除額の計算書 |
第8表 | 外国税額控除額・農地等納税猶予税額の計算書 |
第9表 | 生命保険金などの明細書 |
第10表 | 退職手当金などの明細書 |
第11表 | 相続税がかかる財産の明細書 |
第12表 | 農地等についての納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書 |
第13表 | 債務及び葬式費用の明細書 |
第14表 | 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額・ 出資持分の定めのない法人などに遺贈した財産・特定の公益法人などに寄附した 相続財産・特定公益信託のために支出した相続財産の明細書 |
第15表 | 相続財産の種類別価額表 |
これがメインの各表となっていますが、サブ(付表といいます)があるものもあります。
例えば小規模宅地等の特例を受ける場合には「第11・11の2表の付表1」というものもを使って特例を受ける金額の計算をしたりします。
イメージとしては第1表から第8表までが税金の計算のための明細書・計算書類で、第9表から第15表までが財産の価額を計算したり集計したりする明細です。
オーソドックスな家族構成と財産の構成内容(配偶者と子の相続人で自宅と金融資産、死亡保険金が相続財産のイメージ)ですと上記の帳票のうち、使うものをピックアップすると第1表、第2表、第9表、第11表、第13表、第15表です。
小規模宅地の特例を受ける場合には「第11・11の2表の付表1」を使うぐらいです。
よく使う帳票を確認したので続いて書き方の流れを確認してみましょう。
書き方の流れ
相続税の申告の流れ、書き方は税務署の資料コーナーまたは国税庁HPに「相続税の申告のしかた」というものがあり、そこに記載の流れがあります。
それに沿って確認してみましょう。
相続税の計算は全てのプラスの財産からマイナスの財産を控除して、計算をしていきます。
つまり財産額の集計・記入がまずはスタートです。
よって第9表、第11表から記載する順番です。財産の価額は売ったり買ったりする際の価額ではなく、財産評価基本通達という相続税や贈与税を計算するときのルールに基づいて計算をします。
順番でいうと、土地や株式などの財産について財産評価(計算)をして、明細書を作成する。
明細書ができたら第11表に記載をする、という流れです。死亡保険金がある場合には第9表に記入をして相続税がかかる金額がある場合にはそこから第11表に転記します。
第11表は課税される財産の明細になっているので、そこに集約していくイメージです。
そこから債務などのマイナスの財産を記載する第13表を記入して、第15表で各相続人等が取得する財産の価額を集計します。
第11表には財産の種類や価額を記載する箇所がありますが、同じ行に誰がいくら取得するかも記載します。
そこから第15表において各人の取得する財産を集めるという流れです。
財産の価額が集計出来たら第1表と第2表で相続税の計算をしてトータルの税金が計算できます。
トータルの税金が計算できれば、そこから相続した財産の割合に応じて各取得者に相続税が分けられます。これを按分といいます。
ここまでくればあとは各財産の取得者ごとに受けられる税額控除があればそれを計算して第1表に反映し、最終的な納税金額を算出します。
第1表は財産の総額や課税される金額を計算する欄と税額を計算する欄の2段構えです。
このような流れで相続税申告書を書いていくことができます。
まとめ
申告書を手書きで作成する場合には記載の順番に気を配って確認しましょう。相続税の計算の流れに沿って帳票を記入していくと上手に埋められると考えます。
ただ申告書の記載ができるからといって税務的な判断が正しいかというとそういうわけでもないです。