こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
中小企業の事業承継、次の世代にバトンタッチして事業を続けてもらうことについて業界でも話題になることが増えています。
経営者が高齢になってきた、後継者がいない、という課題を抱える中小企業が増えてきているのも実感します。
とは言っても後回しにしがちなこの話ですが考えるキッカケとして株価を把握してみる、ということが大切です。
事業承継で引き継ぐもの
事業承継と一言で言っても検討しなければいけないことやプロセスはたくさんあります。後継者へのバトンタッチですが経営のバトンと株式のバトンをどう渡すか、ここを考えることでプロセスやスケジュールがイメージしやすくなります。
ある日突然会社の社長の地位を後継者に引き渡します、と言っても後継者にも心の準備とともに会社経営のための準備が必要でしょう。
いま後継者がその会社に入っているのであればまだイメージしやすいですが、その会社に所属していない後継者候補にとってはある日突然はかなりハードルが高いです。
段階を踏んでいきたいところですよね。
まずは後継者としてやっていってくれるのかどうか、ここの確認からしないとこっちが思っていても向こうが考えていないとこけてしまいます。
バトンタッチとは言っても二人三脚で進んでいきますので片方だけがどんどん前に行ってもこけてしまうだけです。
リズムが出てくるまではお互いにケアをしつつ、やっていくことが必要です。
たとえば自分のしている仕事をいくつか後継者にやってもらうようにする、役員としての地位についてもらう、このようなステップアップも重要です。
経営のバトンタッチをするときにお伝えしているのは現経営者自身がバトンを受け取ったときにどんなことに困ったか、ということを思い出してみてほしいということ。
その現経営者が困ったことは次の世代に引き継ぐ際にも起こりえることでもあります。その部分を整理しつつ経営のバトンを渡す助走をしていきたいところです。
また経営のバトンと同時に株式のバトンを渡すことも検討しておくべきことです。
大きな会社ですと経営者と株主が一致しないことがありますが、中小企業だと経営者=筆頭株主ということが大半です。
中小企業の意思決定は株主総会でも諮られますので、自分の経営する会社だけれど株主が自分じゃないことによりねじれてしまうこともあります。
株式が色んな親族に分散してしまうことによる弊害というのは意外と大きいです。どのような弊害があるかはまた別記事でお伝えします。
株式のバトンを渡そうと思うとやはり価格が気になるところです。
株価を把握してみる
中小企業の株価は相続や贈与をするさいには「取引相場のない株式」と呼ばれています。
では反対に「取引相場のある株式」とはどういったものか、それは上場している会社の株式です。
上場して一般の人に広く取引されて株価が把握できますが、いわゆる非上場株式(=取引相場のない株式)は市場がありません。
よって日々発信されている株価というのがないので計算をする必要があります。
会社の株式を計算する際には色んな価格の算定方法がありますが、目的に応じて株価算定の方法を選びます。
たとえば会社を売買する、M&Aをするという目的の場合の株価の算定方法と、後継者に株式を贈与するというときの株価の算定方法は異なってきます。
相続や贈与を目的とする場合には財産評価基本通達というルールにのっとって計算をしますがルールはやはりややこしい部分もありますので顧問税理士がいれば一度相談をしてみましょう。
顧問業務の範囲を超えている場合には別途で費用が必要となりますがそれでもまずは価格を把握することは大事です。
また顧問税理士がこの事業承継の相談に対してあまり乗り気でない様子であれば、商工会議所や自治体が主となって運営している事業引継ぎ支援センターなどという機関も地域によっては運営されています。
そういったところに一度相談に行ってみるのもいいでしょうし、ご自身の周りの経営者でこの件について相談に乗ってくれている税理士がいるなら紹介してもらうのもひとつです。
後回しにするとどんどんやりたくなくなりますので思い立った時に動き出すことをオススメします。
株価を算定したからといって別に今すぐ贈与したりする必要は全くないです。株式のバトンを渡すことについて価格がわかったほうがイメージしやすいですし、考えるキッカケになります。
まとめ
何かキッカケがないと動き出しづらいのも事業承継の課題のひとつだと私は考えています。
ご自身の会社を引き継いで続けてもらうためにも考えていかないといけませんのでぜひ一歩進めてもらえれば違って見えてくることがありますので。