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FANZA、DLsiteでインボイス登録しなかった場合の影響度合い

FANZA、DLsiteでインボイス登録しなかった場合の影響度合い

漫画家や同人作家のかたなどクリエイターの仕事でFANZA、DLsiteと取引がある場合にはインボイス登録の影響があります。

両社ともにインボイス登録をしなかった場合の取引価格について明示しているので影響度合いを確認してみます。

目次

卸価格の変更

卸価格という独特な表現をしていますが、もともと同人誌などを販売店に卸すことの名残からきているのかなと想像しています。

両社ともに卸価格という表現を使っていますのでそれに倣いますが、シンプルにいうと販売価格がFANZA、DLsiteに入ってくる金額、卸価格がクリエーター、サークルに入ってくる金額です。

販売価格と卸価格の差額がこの販売プラットフォーマーの粗利益のイメージですね。

この2社は販売価格と一緒に消費税を収受して、卸価格に含まれる消費税部分を支払っています。

受け取った消費税から支払った消費税を引いて納める消費税を計算していると考えられます。

インボイス制度が始まる前は、取引相手(クリエーターやサークル主)が課税事業者であろうと免税事業者であろうと関係なく消費税部分を仕入税額控除として引けました。

インボイス制度が始まるとここの仕入税額控除の部分が取引相手がインボイス登録をしているかどうか、つまり課税事業者か免税事業者かで変わってきます。

現状の卸価格を例に考えてみます。FANZAは内税表記、DLsiteは外税表記なのでそこも修正します。(例として販売価格1,000円をピックアップ)

  • FANZA:販売価格1,100円 卸価格660円
  • DLsite:販売価格1,000円 卸価格600円
  •  →  販売価格1,100円 卸価格660円 (内税に引き直し)

両社ともに同じ卸価格になっていますので分かりやすいです。

これがインボイス登録をしないということになると卸価格は以下のようになります。

  • FANZA:販売価格1,100円 卸価格647円
  • DLsite:販売価格1,100円 卸価格647円

卸価格が減少していますがこの金額はインボイス制度の経過措置による影響を排除しているものと考えられます。

3年間は仕入税額控除は8割、そのあと3年間は5割、そこからあとは0という経過措置に合わせて卸価格を変更することが予定されています。

FANZAでみるとインボイス登録をしなかった場合には

  • 2023年10月1日~2026年9月30日:647円
  • 2026年10月1日~2029年9月30日:628円
  • 2029年10月1日~       :600円

という推移を予定しています。

卸価格が変わるということはクリエーター側から見ると収入が下がるということを意味します。

クリエーター側からこの影響を見てみます。

消費税申告と納税

販売価格1,100円の作品が1,000個売れたとしますと、卸価格は現状では660円×1,000=660,000円です。

これが売上になります。もし仮にこれが年間続けられたとしたら年間で792万円です。

インボイス登録をしなかった場合にはひと月の売上は卸価格が660円→647円となります。

計算すると

647円×1,000個=647,000円で年間同じ個数が毎月だとすると7,764,000円となりますので、差額は156,000円という金額です。

これぐらいならと思えば登録しなくてよいでしょう。もし登録したら年間で考えると今は免税事業者とすると2割特例が使えます。

収入金額はインボイス登録したら卸価格660円のままですので変わらず792万円隣ココカラ消費税の納税金額を計算します。他に収入がないものとします。

792万円×10/110=72万円→受取消費税部分 2割特例だとこれの2割なので14.4万円です。

インボイス登録をして2割特例の場合には

収入金額792万円 消費税納税14.4万円

インボイス登録をしなかった場合には

収入金額776.4万円 消費税納税なし

という結果になりました。2割特例は3年間と3か月(2023年9~12月)ですからその後は亡くなるものと仮定するとそのあとは段階的に収入金額が減ります。

卸価格変更については一律ということになっていますのでもし今後も同じぐらいの販売価格で数量が見込める、そうなれるように頑張るということであればインボイス登録をしておくことを検討したほうがよいです。

メインの仕事があるなら

同人活動がメインではなく給与をもらって仕事をしていて活動は土日など休日を使ってやっているという場合や副業的に考えている場合は登録しない選択肢もアリです。

というのもインボイス登録をするとやはり申告と納税がセットでついてきますのでその部分を負担に感じるのであれば登録しないのもよいかもしれません。

登録をしない場合には収入が少し減る可能性があってその収入で生活をしているわけではないということであれば、ということです。

すでに課税事業者になっている場合はどちらにせよ消費税の申告と納税があるでしょうから登録しないと収入面で損をすることになります。

事務的な手続き、申告書作成については2割特例、簡易課税を使える範囲であればそれほど手間はかかりません。

売上をきちんと集計できればそれで間に合うからです。

どうしても事務手続きが苦手とか自分でその時間をかけるなら作品作りに時間をかけたいなどがあれば税理士に依頼するのも選択肢です。

まとめ

「インボイス登録をしないことで減る収入」と「インボイス登録をして納税する金額見込みと事務手続き」を天秤にかけることになります。

特にこの2社のプラットフォームについては卸価格が改訂されることが明示されているのでわかりやすい部分はあります。

今後どうしていきたいかを含めてインボイス登録の可否を検討してみましょう。もし登録をする場合には早めに登録をしておくのがおすすめです。各社ともにいつまでに登録して番号を通知することでどのタイミングで反映されるかが決まっています。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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