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夏のイベント前に整えておく経費と帳簿

夏のイベントが近づくと、印刷費・外注費・交通費と、まとまったお金が一気に動きます。

そして毎年、確定申告の時期になって「あのときの領収書はどこだっけ」と探し回る——スポット相談でも本当によく聞く光景です。

イベントの税務会計や帳簿は、終わってから慌てて整えるものではなく、始まる前にその半分が決まります。

今回は、イベント前の”いま”だからこそ整えておける経費と帳簿の準備を、「あとで自分が楽をするための段取り」として整理します。

目次

1.イベントで動く経費を、先に”種類”で把握する

まず、夏のイベントでかかる支出を、あらかじめ種類ごとに見取り図にしておきます。

  • 印刷費
  • 外注費(表紙・寄稿・アシスタント)
  • ブース・設営費
  • 交通費・宿泊費
  • 備品・釣り銭準備

「何の科目になるか」を先に決めておくと、当日以降の記録が一気に楽になります。

特に金額の大きい印刷費・外注費については、支払い方法(振込・現金・カード)と支払いの時期も意識しておきましょう。あとから通帳やカード明細を突き合わせるときの手間がまったく違ってきます。

確定申告を効率的に行おうと思うと「この支払いなんだったっけ」とか「領収書があったはずだけど見つからない…」といった、思い出したり探したりする時間を極力減らすことです。

2.印刷費は「部数の把握」がポイント

経費のなかでも、印刷費には少し注意が必要です。というのも、印刷費は「支払った金額をそのまま全額その年の経費にできる」とは限らないからです。

イベントが終わっても手元に残っている本は、在庫、すなわち棚卸資産です。売れ残った分に対応する印刷費は、その年の経費ではなく、翌年以降に繰り越されます。

この棚卸の計上漏れは、税務調査で指摘される定番といってよいほどよく見られる論点です。

そして、この棚卸を正しく計算するために必要になるのが「部数の把握」です。何部刷って、何部残っているのか。ここが分からないと、印刷費のうちいくらを今年の経費にできるのかが計算できません。

印刷部数は発注書や納品書で確認できますが、大事なのは残った部数を自分で数えて記録しておくことです。

イベント後に段ボールを開けて数えるのは面倒に感じますが、この一手間が申告時の作業を大きく減らします。

3.売った部数の把握も同じくらい大事

部数の把握は、経費だけでなく売上の面でも重要です。頒布した数が分かれば、単価をかけるだけで金額が計算できます。

基本になるのは、次のシンプルな式です。

印刷部数 -(残った部数 配った部数)= 売れた部数

「配った部数」には、見本誌の提出や献本などの頒布分、宣伝目的で配布した分などが含まれます。これらは売上にはなりませんが、印刷部数からは確実に減っていますので、分けて記録しておく必要があります。

売れた部数、残った部数、配った部数——この3つを押さえておけば、それぞれに単価をかけることで、売上金額も、在庫として繰り越す金額も、広告宣伝費として扱う分も、無理なく計算できます。

逆にここが曖昧だと、すべてが推測になってしまいます。

4.現金売上の記録は、想像以上に重要

イベント頒布の売上は、その多くが現金でのやりとりです。そして現金売上は、税務調査でとりわけ確認されやすい部分です。

通帳やキャッシュレス決済の記録と違い、現金の売上は本人が記録しない限りどこにも残りません。だからこそ、記録を残しているかどうかが、そのまま申告内容の説明力になります。

具体的には、次のような形で残しておくと確実です。

  • 釣り銭準備金の額を、イベント前にメモしておく
  • イベント終了時の現金残高を数えて記録する
  • 残部数を数え、頒布数と突き合わせる

釣り銭準備金と最終的な現金残高の差額、そして印刷部数と残部数から逆算した頒布数。この2つが近い数字になれば、記録の信頼性は大きく高まります。

5.外注が絡むなら”支払いの前”に確認する

表紙・寄稿・アシスタントなどを外注する場合、支払う側に源泉徴収が必要になるケースがあります。原稿料・イラスト料・デザイン料などが典型です。

「友達だから」「少額だから」は免除の理由になりません。イベント直前は支払いが立て込みますので、”払う前に”源泉徴収の要否と金額を確認しておくと、あとから修正する手間がなくなります。

あわせて、支払調書の作成に必要な取引先の情報(氏名・住所・マイナンバー等)も、この時点で整理しておくと年明けがぐっと楽になります。

6.”当日”の記録を、いまのうちに仕組みにしておく

イベント当日は忙しく、記録はどうしても後回しになります。だからこそ、事前に「記録の型」を決めておくことが効きます。

  • 頒布数の記録方法(頒価×数、釣り銭準備金と残部数からの逆算)を先に決める
  • 領収書が出ない支出(現金での細かい買い物等)に備え、メモの残し方・撮影ルールを決めておく
  • 会計ソフトの取り込みやレシート撮影の運用を、イベント前に一度ならしておく

当日にやることを減らしておくほど、記録は残ります。

まとめ

イベントの税務は「終わってから」ではなく「始まる前」に半分決まります。

  • 動く経費を種類で把握する
  • 印刷費は部数を押さえ、残部数の棚卸を忘れない
  • 印刷部数-(残部数+配った部数)で頒布数を出せるようにしておく
  • 現金売上は記録を残すこと自体に意味がある
  • 外注は”払う前”に源泉徴収を確認する

現実的な第一歩としては、印刷・外注・交通の3つだけでも「科目と記録方法」を先に紙に書き出しておくこと。それだけでも、来年の申告の負担はかなり変わります。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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