「税務署からまた通知が来たんですけど、これ何ですか?」
所得税の予定納税の話をした直後に、こう続けて聞かれることがあります。
7月以降、消費税の課税事業者のもとには、所得税の予定納税とは別に「消費税の中間申告・中間納付」の通知が届きます。名前も仕組みも似ているため、混同してしまうのも無理はありません。
今日は、通知が届いて戸惑っている方に向けて、これは何なのか・いくら払うのか・資金繰りをどう考えればよいのかを、足元の確認として整理しておきます。
「予定納税を払ったのに、また払うんですか?」——所得税の予定納税との違い
相談で最初に来るのが、この質問です。結論から言えば、両方あり得ます。
予定納税は「所得税」の前払い、中間納付は「消費税」の前払いです。まったく別の税金なので、所得税の予定納税を済ませていても、消費税の中間納付は別に発生します。
消費税の中間納付は、前年の消費税額を基準に、税務署から通知が届いて納める仕組みです。
自分で「今年はいくらになりそうか」を計算して申告するものではなく、原則として前年の実績にもとづいて金額が決まります。
やっかいなのは、所得税の予定納税と消費税の中間納付が、どちらも同じ夏の時期に重なることです。
通帳から立て続けにお金が出ていくため、「二重に取られているのでは」と感じてしまう方が少なくありません。
しかし、これは二重取りではなく、別々の税金をそれぞれ前払いしているだけです。どちらも最終的には確定申告で精算されます。
「うちは何回払うことになるんですか?」——回数は前年の税額で決まる
次に多いのが、回数と金額についての質問です。
消費税の中間申告は、前年の消費税の年税額に応じて回数が変わります。おおまかには、年税額が一定額を超えると年1回、さらに大きくなると年3回、もっと大きくなると年11回、という区分になっています。
売上規模がそれほど大きくないフリーランスの場合、年1回のケースが多くなります。なお、前年の年税額が小さければ、そもそも中間申告の対象になりません。
金額については、悩む必要はありません。届いた通知に納付額が記載されており、基本はその金額をそのまま納めれば手続きは完了します。
ただし、例外的な選択肢もあります。前年に比べて今年の売上が大きく落ち込んでいる場合、通知どおりの金額を納めると、確定申告のときに払いすぎとして戻ってくることになります。
資金繰りの観点では、その間ずっとお金が寝てしまうわけです。
こうしたケースでは、その期間の実績で実際に計算し直す「仮決算」という方法を選ぶこともできます。
ただし仮決算を行う場合は、通常の確定申告と同じように帳簿を締めて計算する必要があり、手間も判断も相応にかかります。無理にご自身で進めず、一度ご相談いただくのが安全です。
「急に言われても資金がない」——中間納付は“預かっている税金”の前払い
相談のなかで、いちばん切実なのがここです。
前提として押さえておきたいのは、消費税はもともと「売上とともにお客様から預かっているお金」だということです。売上に含まれて入金されているので混同しやすいです。
にもかかわらず、入金された金額をそのまま生活費や経費に回してしまうと、納付の時期になって手元に資金がない、という事態になります。
これは、課税事業者になって最初の1〜2年でとても起こりやすい、典型的な注意点です。
見方を変えると、中間納付は年1回のまとまった負担を分割してくれている面もあります。先に少しずつ納めておくことで、確定申告のときの一括負担がその分軽くなります。
「余計な支払いが増えた」のではなく、「支払いのタイミングが前倒しになっただけ」と捉え直すと、心理的な負担はいくらか減るはずです。
そのうえで、実務的な備えとしておすすめしたいのは次の2つです。
ひとつは、売上が入金された時点で、消費税相当額を別口座に取り分けてしまうこと。手元に残っている限り使ってしまうのが人間なので、物理的に分けるのがいちばん確実です。
もうひとつは、納付予定を年間カレンダーに入れておくこと。
所得税の予定納税、消費税の中間納付、住民税、国民健康保険料——年間の支払いスケジュールを一枚にまとめておくだけで、「急に言われた」という感覚はかなり消えます。
会計ソフトで日々の記帳が仕組み化できていれば、そのときの数字の見通しも立てやすくなります。
まとめ
消費税の中間納付は「新しく増えた税金」ではありません。その年の消費税の前払いであり、確定申告で必ず精算されます。
通知が届いたら、まず「回数」と「金額」、そして「納付期限」の3つを確認してください。基本はその通知どおりに納めれば完了します。
そして現実的な第一歩は、預かった消費税分で納税用に別に分けておく仕組みを、ひとつだけ作ることです。それだけで、来年以降の7月の通知は、ずいぶん怖くなくなります。
