「同人活動やイラスト・漫画の仕事で収入が発生しているのに、まだ開業届を出していない」——そういう方は思いのほか多いです。
開業届を出していなくても確定申告はできますし、罰則もありません。ただ、青色申告の特典を受けようとすると、話が変わってきます。今回は、開業届の位置づけから帳簿の選び方まで、最初に整えておきたいことをまとめました。
開業届は「スタートライン」として出しておく
開業届は、提出が義務というよりも、「ここから自分の事業を始める」という宣言に近いものです。出さなくても罰則はありませんし、確定申告もできます。
それでも出しておくことを勧めるのは、青色申告を使うための前提になるからです。また、屋号付きの銀行口座を開設したいときや、事業実績を示す場面でも、開業届が役立つことがあります。
提出は原則「事業を開始した日から1か月以内」とされていますが、遅れても問題ありません。「いつから出せばよかったかわからない」という方も、今日から提出できます。
青色申告承認申請書はセットで出す
開業届だけでは青色申告は使えません。青色申告承認申請書を合わせて提出することで、いまは最大65万円の青色申告特別控除が受けられるようになります。
この控除の税効果は、具体的に考えると実感しやすいです。仮に所得税率と住民税率がそれぞれ10%の場合、65万円の控除で13万円の節税になります。
年間の手取りに13万円の差が出ると考えると、かなり大きな金額です。
さらに、現在改正が予定されています。青色申告特別控除の上限が65万円から75万円に引き上げられる見通しで、55万円の控除はなくなる方向です。
電子申告(e-Tax)も要件になりますが、事業所得であれば65万円か75万円の控除を狙えるように準備しておくことをお勧めします。
承認申請書の提出期限は以下の通りです。
その年の1月1日から事業を行っていた場合:3月15日まで
開業した年から適用したい場合:開業日から2か月以内
この期限を過ぎると、その年の青色申告には間に合いません。
帳簿は何を使えばいいか
帳簿は手書きでも法律上問題ありませんが、実務的にはfreeeかマネーフォワードを使うのが現実的です。
どちらを選んでも機能に大きな差はありません。無料期間に両方触ってみて、使いやすいと感じた方を選んでください。
雑所得で申告していた方へ
これまで副業的な収入を雑所得(業務)で申告していた方は、事業所得への切り替えを検討する余地があります。
事業所得かどうかは、次の3つの観点から総合的に判断されます。
- 営利性・有償性:継続して利益を得る目的があるか
- 継続性・反復性:単発の収入ではなく、繰り返し行われているか
- 独立性:独立した事業として活動しているか
同人活動やイラスト・漫画の仕事で継続的に収入を得ているなら、これらの要件を満たす可能性は十分あります。
開業届の提出や帳簿の作成は、あくまで形式的なものに過ぎず、それだけで事業所得と認められるわけではありません。
ただ、「事業として活動している実態がある」ことを示す補強材料にはなります。実態が伴っているなら、書類面も整えておく意味があります。
以前は事業所得について所得の目安みたいなものがあったのですが、帳簿備え付けができているのであれば事業所得として認められやすいという状況になっています。(一部要件があります)
事業所得として認められれば青色申告特別控除の対象になり、税負担が大きく変わります。自分の活動が事業所得に当たるかどうか判断に迷う場合は、一度専門家に確認してみてください。
「今年は間に合わない」場合でも、今から動く意味がある
承認申請書の期限が過ぎていれば、今年の確定申告に65万円控除を使うことはできません。それでも、今から動くことには十分な意味があります。
今からでもできること:
開業届と青色申告承認申請書の提出(来年分から適用)
帳簿ソフトの導入と記帳の練習
領収書・経費の整理習慣をつけること
「今年は間に合わなかった」ではなく、「来年に向けて今から整える」という視点で動いてみてください。
