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支払調書の作り方と提出、受け取ったときの処理

「外注アシスタントさんへの報酬から源泉所得税を天引きした。次は何をするの?」——スポット相談でよく来る質問の続編です。

前回(6/23)は支払い時に源泉を引くという行動の話でしたが、今回はその後の手続き、つまり「納付」と「支払調書」を整理します。

ただ、ここで一つ強調しておきたいことがあります。クリエイターの方の多くは、支払調書を発行する側ではなく、取引先から受け取る側です。

そして受け取った支払調書の扱いには、売上計上を間違えやすい落とし穴があります。記事の後半で、この点をしっかり説明します。

目次

1. 天引きした源泉所得税を納付する

外注先への報酬から源泉所得税を天引きしたら、その税金は国に納めなければなりません。アシスタントさんの代わりに天引きしたものを納めるわけです。まずは発行する側の手続きから見ていきます。

  • 原則として、支払った月の翌月10日までに所轄の税務署へ納付します。
  • 納付方法はe-Taxで申告をしてオンラインで納付、または金融機関の窓口から。
  • 少人数の事務所には「源泉所得税の納期の特例」があります。申請すると、1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日にまとめて納付でき、毎月の手続きが不要になります。

外注の件数が少ないうちに、この特例を申請しておくと管理がぐっと楽になります。

毎月であっても半年に一回であっても源泉徴収した金額を集計して納めるということになります。ポイントは集計をタイムリーにできているかどうかです。

2. 支払調書とは何か(発行する側の話)

支払調書とは、年明けに「この人にいくら払い、源泉をいくら引いたか」を税務署と本人に知らせる書類です。

アシスタントやデザイナーを継続的に使っていて、自分が「支払う側」になっている場合に作成します。

  • 提出期限は翌年1月31日(税務署への提出)。本人への交付は任意ですが同じ時期が目安です。
  • 対象は原稿料・デザイン料・イラスト料などの「報酬・料金等」で、1人あたり年間5万円超が税務署への提出対象です。
  • ただし「5万円以下なら出さなくていい」のはあくまで提出義務の話。源泉徴収義務はそれとは別で、少額でも源泉が必要なケースはあります。

実務上は会計ソフト(freeeなど)で出力できることがほとんどです。手書きでも構いませんが、e-Taxで提出すると記録が残って楽です。

3. ここが本題——支払調書を「もらう側」の注意点

実際のところ、支払調書を発行する作家さんはそれほど多くありません。一方で、出版社やクライアントから支払調書をもらう作家さんは非常に多い。だからこそ、もらった支払調書の使い方を間違えないことが大切です。

支払調書は「入金ベース」で作られている

最大の注意点はここです。支払調書は、取引先が実際にあなたへ支払った金額(入金ベース)で作成されます。

一方、あなたの確定申告で計上すべき売上は、原則として「その仕事が完了して報酬が確定した時点」で計上する発生主義です。この二つは、必ずしも一致しません。

締めのタイミングでズレが生じる

たとえば12月末に納品して報酬が確定した仕事が、取引先の締め処理の都合で翌年1月に入金されたとします。

あなたの帳簿では、この売上は仕事が完了した「昨年12月」の売上として計上すべきものです。

ところが取引先が発行する支払調書には、入金した「今年1月」分として載ってくる——あるいは前年の支払調書から漏れる——ということが起こります。

つまり、支払調書の金額と、あなたが申告すべきその年の売上金額は、年をまたぐ取引でズレるのが普通なのです。

支払調書の金額をそのまま売上にしてはいけない

ここから導かれる結論はシンプルです。支払調書に書かれた金額を、そのまま自分の売上として確定申告に転記してはいけません。

支払調書をもとに売上を集計すると、本来計上すべき年とズレた金額で申告してしまい、間違いのもとになります。

売上はあくまで自分の請求書・契約・納品の記録をもとに、発生した時点で集計します。

支払調書はあくまで「源泉がいくら引かれたか」を確認する参考資料、そして引かれた源泉税を申告で精算するための材料、と位置づけるのが正しい使い方です。

4. 実務でよくある疑問

Q. 支払調書が届かないのですが、売上を計上しなくていいですか?

A. いいえ。支払調書の有無にかかわらず、売上はあなた自身の記録(請求書・入金)をもとに計上します。支払調書はもらえないこともありますが、それで売上が消えるわけではありません。

Q. 支払調書に載っている源泉徴収税額は、どう使うのですか?

A. 確定申告で「すでに前払いした税金」として精算します。年間の所得税を計算し、源泉徴収された分を差し引いて、納めすぎていれば還付されます。

Q. 外注先が法人だった場合は?

A. 法人への支払いは原則として源泉徴収が不要です(一部例外あり)。支払調書の対象も変わります。

Q. 支払調書を外注先に渡すタイミングは?

A. 法律上の義務は税務署への提出ですが、相手が確定申告に使う可能性があるので1月中に渡せると親切です。ただしあくまで取引先への発行は任意です。

まとめ

源泉所得税の徴収や支払調書の発行、また受け取った支払調書の処理はご質問として多いところです。一つずつ確認して整理しておきましょう。

  • 外注の税務は「支払い時に源泉を引く → 翌月10日に納付 → 翌年1月に支払調書」の3ステップ。件数が少なければ特例で納付を年2回にまとめられます。
  • 支払調書を発行する作家は多くなく、もらう作家のほうが多数派です。
  • 支払調書は入金ベース。締めのタイミングで、年をまたぐ取引は売上計上のタイミングとズレます。
  • 支払調書の金額をそのまま売上にすると間違えます。売上は自分の記録から発生主義で集計し、支払調書は源泉税の精算資料として使いましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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