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住宅ローン控除改正の方向性を確認しておく

住宅ローン控除

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

家を買うときにはもちろんどんな家にするかを考えるのが最初ですが、住宅ローン控除についても確認しておきたいところです。

住宅ローン控除は改正が予定されていますので方向性を確認しておきましょう。

 

目次

住宅ローン控除の概要をザックリと

住宅ローン控除がどういうものかまずはザックリと概要を把握しておきましょう。

 

要件を満たした自分が住むための住宅を購入しますと、それにあたって住宅ローンをしている場合に一定の割合で税金を控除します、という制度です。

 

この「要件」の部分がその時の経済状況などに合わせて変わってくるという点と、税金の控除がされるという点を把握しておくのがよいです。

 

要件については現状では大きなところをかいつまむと

・自分の住むための住宅

・居住用の面積が床面積の2分の1以上

・家屋の床面積が50㎡以上

・借入金の期間が10年以上

・合計所得金額が3,000万円以下

というのが住宅ローン控除を受ける際の柱となる要件です。住宅ローン控除と言ってもいろんな種類がありそれぞれに要件が設定されています。

 

税金の控除は年末時点の借入金額の残高×1%です。(4,000万円(認定住宅の場合には5,000万円)を限度)

 

最高金額で4,000万円×1%=40万円となり、所得税から引ききれない分は住民税から控除することができます。(住民税からの控除の限度額は所得税の課税総所得金額等の7% 13.65万円です)

 

いわゆる人的控除といって基礎控除や扶養控除、医療費控除などとことなり税金を直接控除できるインパクトというのはかなり大きいです。

 

最長で13年間にわたり所得税の控除がある状態はかなり影響が大きいです。

概要としては以上のような内容をおさえておいて実際に自分が購入する際には個別の内容となりますので辛なず専門家に確認をしましょう。

 

改正の方向性

住宅ローン控除が現状では税金を減らす効果が非常に高いのですが(その分ローンがありますので考え方次第ではあります)、改正が予定されています。

 

消費税が10%になるタイミングであったり社会情勢に合わせていままでは控除期間が伸びたりといったカタチで要件が緩む、効果が大きくなる、という方向性でした。

 

今度予定されている改正の方向性は控除金額が減る、という引き締めの方向性の改正が考えられています。

 

控除額の計算を思い出していただきたいのですが、現行では年末の借入残高について1%が一律で乗じることができます。

 

1%の根拠というかなんで1%なのかというのは確かにあって、住宅ローンの利息を補填するという意味合いがあると言われています。

 

住宅ローン控除により不動産購入を後押しするということも制度の趣旨としてはあるかと思います。

 

そのような意図があるにしても年末残高の1%は控除しすぎではないか、というのが今この住宅ローン控除をめぐる議論のなかで問題視されている部分です。

 

住宅ローンの利率は変動利率や固定利率がありますので一概には言えませんが1%を切っているものも多くあります。

 

つまり現行の住宅ローン利率に対して控除対象となる1%の割合が大きくなっているケースが多いとみられています。

 

このことは会計検査院という税金制度の在り方や効果、実態を調査する機関からも指摘されています。

検査したところ、住宅ローン控除特例の控除率である1%を下回る借入金利で住宅ローンを借り入れている者の割合が78.1%となっているなどの状況、新住居の取得に住宅ローン控除特例の適用を受けた3年後に、旧住居を譲渡して譲渡特例の適用を併用して受けていて、制度の趣旨に鑑みると、必ずしも必要最小限のものとなっていないと考えられる状況、3特例について、納税者が適用額の計算を誤るなどしていたのに、税務署がこれを見過ごすなどしていた事態が見受けられた。

(会計検査院HPより抜粋)

 

さらに、昨年の税制改正大綱でも住宅ローン控除について触れられています。

なお、平成30年度決算検査報告において、住宅ローン控除の控除率(1%)を下回る借入金利で住宅ローンを借り入れているケースが多く、その場合、毎年の住宅ローン控除額が住宅ローン支払利息額を上回っていること、適用実態等からみて国民の納得できる必要最小限のものになっているかなどの検討が望まれること等の指摘がなされている。消費税率8%への引上げ時に反動減対策として拡充した措置の適用期限後の取扱いの検討に当たっては、こうした会計検査院の指摘を踏まえ、住宅ローン年末残高の1%を控除する仕組みについて、1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定するなど、控除額や控除率のあり方を令和4年度税制改正において見直すものとする。

(令和3年度税制改正大綱より抜粋)

 

低金利時代が長く続いており1%で住宅ローン控除が取れるということはいわば逆ザヤの状態となっています。

 

この状態を解消する方向で改正が検討されていると言われており、1%で固定されている割合を実際の借入利率を上限とする案があります。

 

特に昨年に発表されている税制改正大綱においてはハッキリと「令和4年度税制改正に置いて見直す」と言及されていますので令和3年の末に公表されるであろう税制改正大綱に注目しておきましょう。

 

まとめ

税制改正があるから駆け込みで自宅不動産を買うかというと本来で言うと逆だと考えています。

自宅不動産を買おうと思って実際に希望に合う条件の物件がすぐに見つかるかと言うとそうではないでしょう。

また住宅ローン控除の分を生活費のあてにしたりするとあとで困ることになりかねません。

欲しい不動産が出てきたときに少し気を付けて住宅ローン控除を受けられるか、実際に受けられるというときにどういう効果がありそうか、という順番に通常はなると考えられます。

とても大きな買い物ですので優先順位をしっかりと設定しておきましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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