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事業に関係のない親族に株式を持たせることのリスク

株式分散

こんにちは、京都の税理士ジンノです。

中小企業の事業承継や相続の場面で、その会社の非上場株式を親族にとりあえず相続させておこう、と考える方がいらっしゃいます。

 

不動産もですが非上場株式も事業に関係のない親族に株式を相続されると後々面倒なことがおきたりします。

どういうことにリスクがあるのか確認しておきましょう。

 

目次

株主になるということ

株主になるというと何か憧れを感じるやもしれませんが、中小企業の社長(多くの場合が筆頭株主)にとっては考えておかなければならないことがあります。

 

例えば

それは会社の経営や運営に口を出そうと思えば出せるということ

会社の決算書などを見せてくれと言われたら断れないこと

会社のことをよく知りもしないのに配当を出せと言われるかもしれないこと

ひょっとすると勝手に株を売ってしまうかもしれないこと

あくまで可能性ではありますが、このようなことを実際に主張したり実行する人がいるのも事実です。

 

上場企業とは違い、広く一般に株主を募り資金を集めるという意味あいではなく中小企業における株主は会社を支配する側面が強く出るケースが多いです。

 

自分が社長の立場で考えてみてください。

 

会社のことをよく知りもしないのに経営のことに口を出されていい気がするでしょうか?

いまは関係が良くてもそのうち関係が悪くなる日が来てしまったら、場合によっては株主総会だって承認してもらえずハンコがもらえないかもしれません。

 

後継者候補ではない人が株を持っても、将来的に上場を目指すような規模や目標がないのであれば、事業に関係がない親族が株式を持っても会社運営上のデメリットはあってもメリットはありません。

 

不動産の共有と同じく、嫌がらせをしようと思えば出来てしまう可能性を株式を持たせる行為は生んでしまいます。

 

共有と同じく黄金株や無議決株式、無配当株式など中小企業にとって果たしてどれだけ効果があるのか定かではない種類株式の導入も慎重になったほうがよいと私は考えています。

 

ただただややこしくなるだけですし、本人たちの理解が及ばない施策はやらないほうがいいという考えに基づきます。

 

株主が分散すること

事業に関係のない親族が株式を取得した場合に考えられるのが、株式が分散することです。

例えばその親族が株式を保有したまま亡くなったときには、どのようなことがおこるでしょうか。

 

配偶者がいれば配偶者に、お子さんがいればお子さんに、株式を相続する権利が発生します。

誰がどのように株式を取得するかは会社側では基本的に口を出せないですから、どんどん分散していく可能性が高まるわけです。

 

株主が一度分散を始めると、歯止めが利かなくなることがあり、7~8人ならまだしも、10人20人になってくると管理することすら難しくなります。

 

こうなると前述のようなリスクもありますし、社長にとっては会ったことも話したこともない人が株主になるリスクもはらんでいるわけです。この状態になってしまうと株式を買い戻すだけでも相当に時間と費用がかかります。

 

本来であれば経営に集中したいにもかかわらず、横やりを入れられる形で会社を運営することになりかねません。

 

対策として

株式は分散させない、という認識をまずは持ってもらうことが大切です。

 

そのうえで例えば

・譲渡制限株式に設定する

・すでに分散しそうな状態なら社長や会社で買い戻す

・後継者に対して生前贈与、または遺言を書く

・代償分割になるなら原資を作る

こういった対策をどこまで行えるかでその後が大きく変わってきます。

 

会社の株式を好き勝手に売買できないようにする(譲渡制限を付与する)こともできますし、相続があった場合には会社側で買い取るという条項を定款に記載することもできます。

 

今の時点で話し合いができ金額で折り合いがつくなら社長個人や会社で買い戻す提案もできるでしょう。

 

社長が保有する株式を後継者に贈与したり、遺言で財産の移転を検討することも大切な対策となります。将来的に後継者が株式を買い集めるのであれば、そのための資金の手当てを考えておくことも必要です。

 

株式を分散させないというと言葉では簡単ですがやるべきことはたくさんありますし、時間も費用も掛かります。

 

円滑な事業承継をしようと思うとそれだけ大変だということも意味していますので、いまの時点で株主名簿がない、株式が分散しそうな場合は早めに対策に着手することで事業承継の成否も大きく左右します。

 

まとめ

事業に関係のない親族に株式を持たせることには慎重な判断が必要です。いまの関係が良好でもこの先どうなるかは誰にも未知数です。

事業に関係のない人に悪意があれば今日お伝えしたような嫌がらせができてしまうことも意味します。

 

スムーズにバトンを後継者に渡すために早めに顧問税理士などの専門家に相談しましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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