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事業承継対策を始めるときの年数設定のポイント

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

事業承継のサポートをする際に心がけていることのひとつに「〇年後に事業承継して後継者にバトンタッチしましょう」というワードを使わないということです。

自分事に落とし込んでいく視点が必要と考えています。

目次

〇年後と言わない理由

よく現場で耳にするのが、〇年後にバトンタッチしましょうという方が多いということ。

 

例えば5年後や10年後、というのはよく分かる話ですが、〇年後にと言うと「そんな先の話は分からない」という社長さんは意外と多いです。

 

確かに自分のことに当てはめてみても5年前にいまの状況が想像できたかというと全く想像できていませんでした。

5年後という設定の仕方も悪くはないですが、少なくとも5年後の「いつ」までなのかは明確にしておくほうがよいでしょう。

 

今日から見ても明日から見ても5年後は5年後で目標設定として少し幅がある状態です。ピンポイントにしておくことでより明確になります。

 

5年後の社長の誕生日なのか、5年後の会社の事業年度終了日なのか、5年後の年末なのか。

同じ5年後でも「いつ」なのかで全く日付が異なってきます。

 

目標の年数が設定出来たらそこから株式を移すタイミング(所有のバトンタッチ)と経営者を移すタイミング(経営のバトンタッチ)を考えていきます。

どちらが先じゃないとダメというものでもなく、両輪で考えることが大切です。

 

税理士という立場ですとついつい株式を移す、税務的な対策に目が行きがちですが、会社の経営は株式を持っていればスムーズにできるかというとそういうわけではありません。

経営者としての判断や、取引先との関係、従業員の育成、組織運営、いろんな経営者としての仕事があります。

 

明日から株式も渡すしとりあえずやってみて、ということで会社を運営できるほど甘いものでもないでしょう。経営のバトンタッチも忘れずに行いたいところです。

 

目標年数の設定の仕方

事業承継計画を進めていく際には目標年数を社長さんの自分事の落とし込むことが必要です。

〇年後というワードだと少し弱いことは前述しましたので、少し踏み込んでみましょう。

 

私の場合は提案として、社長さんと後継者と会社の社歴をそこに入れてみるようにしています、するとより社長さんに実感が湧いてきます。

例えば以下のようなシートを作るだけでも少し違って見えてきませんか?

1年後 2年後 3年後 4年後 5年後
社長 62歳 63歳 64歳 65歳 66歳
後継者 34歳 35歳 36歳 37歳 38歳
社歴 23期 24期 25期 26期 27期

この表を引き延ばして10年で考えることが多いです。(見やすさを考えて今回は5年で表記しています)

 

社長さんが65歳の時がキリがイイからと考えるのか、会社が25周年の時に後継者へのバトンタッチを取引先や金融機関を含めて周知して、さらにその5年後の30周年の時に完全にバトンタッチするのか。

 

キリの良さをどう考えるかは社長さん次第ですがこうしてみると自分が何歳で、もし引退したらやりたいことがあるのか(仕事だという社長さんは多いですが)、いくら手許にあれば穏やかに過ごしていけるか、合わせて考え始めます。

 

お孫さんがいればお孫さんの年齢を入れてもいいでしょう。より身近になってきて、お孫さんが何歳になるまでは自分も元気でいたいな、と考えるそうです。

 

現社長が2代目や3代目のときには、ご自身が引き継いだ時には何歳だったのか、その時から比べていま会社の状況がよくなってきているのか、今は少し悪いのか。

どういう状態で会社を引き継ぎたいのか、もちろんいい状態で会社を引き継ぎたい。ではそのためには何をする必要があって、事業承継とは別に事業計画として必要なことはなにか?

 

事業承継と一言で言っても実感が伴わないと全く前に進みません。

少なくとも会社を続けてほしいから事業承継を考えるわけでそのために何をいつまでに行うか、実感が伴っていることがとても重要です。

 

まとめ

事業承継税制という非上場株式に関する納税の猶予制度がありますが、それを受けるためには事業承継計画を策定して認定を受ける必要があります。

事業承継税制を受ける、受けないに関わらず事業承継計画を作ることをお勧めしていて、その中にご自身の年齢、後継者の年齢、社歴を入れるようにしています。

実感が伴う計画を作れるかどうかはその後を大きく左右します。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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