京都の若ハゲ税理士ジンノです。
いま社長さんが50代、60代の中小企業において一番の懸念は会社をどうしていくか、そしてご自身の相続を考えていくことではないでしょうか?
事業承継を考えていくうえで大切なのが現状把握です。
社長さんはいまご自分が株式をどれくらい保有しているか、そして株式の評価額がいくらか把握していますか?
株式の現状確認をする
株式の現状と言っても何から確認していくのがよいか、なぜ確認する必要があるのか、お伝えしていきます。
株式の保有数の確認
中小企業においてキチンと株主名簿が整備されていることは少ないです。普段から配当を出しているような中小企業ですと意識しますが、普段はあまり意識しないのではないでしょうか。
当然社長さん自身がきちんと把握できていればよいですが、株主名簿を作って定期的にメンテナンスをし、誰に何株を動かしていくかプランを考えることは大切です。
移動の手段も、贈与なのか、相続なのか、譲渡なのか、そういうこともトータルで考えていく必要があります。
いつ、どのタイミングで、どれくらい。
株式を動かすことを考えるのであれば、現時点での株式数は確認しておく必要があります。
一番身近なものでいうと法人税申告書の第2表と呼ばれる帳票には主要な株主と株式保有数の記載がありますのでココをまずは確認してみましょう。
続いて、株主総会の議事録等、事実が確認できる書類をチェックし、誰がいくら保有しているのかを確定していきます。
株券の存在を確認する
かつては株式会社を作るとき、株券を発行する必要がありました。ただし、後述する譲渡制限が規定されている場合には株式を不発行=発行しなくてもよい、という状態でした。
会社法という会社の運営をつかさどる法律の成立により、原則は株券不発行という形となったことで、より株券を発行している会社と発行していない会社とが混在する形になっています。
社歴の長い会社ですと、株式会社設立時には7人の発起人(株主)が必要だったこともあり、キチンと株券を発行している会社もあるでしょう。
現状として株券を発行している会社なのかそうではないのか、という確認が取れているかというとなかなか取れていないのではないでしょうか。
株式の移動を考える際にも気にかけておきたいところですので、現状で株券を発行している会社なのかは確認しておきましょう。確認方法としては、会社の登記簿謄本を取得すると分かります。
株券の存在と登記簿謄本上の株券の発行不発行に違いがないかチェックしてみましょう。
譲渡制限がかかっているか確認する
株式の種類においてもう一点確認しておきたい点があります。それが譲渡制限株式か否か、という点です。
この譲渡制限株式であるかはとても重要で、例えばこの譲渡制限がかかっている株式を譲渡する場合には、その株式を発行している会社の株主総会や取締役会で承認を得る必要があります。
株式の分散を防止する、という点を考えると譲渡制限がかかっていない場合には悪いことを考えようとすると誰かに株式を譲渡することができてしまうということです。
事業承継においては株式を集約する、上手に引き継がせることがとてもキーポイントになってきます。会社の支配権を抑えておくことは会社の経営上も重要です。
株式を集約するという点においても譲渡制限がかかっている場合とそうでない場合とでは大きな違いが生まれますので、譲渡制限株式かどうかはチェックしておきましょう。
譲渡制限株式かどうかは会社の登記簿謄本により確認することができます。
どういう引き継ぎ方をしたいかを考える
現状を確認したうえでどのように会社の株式を取り扱うかを考えていきましょう。
後継者がいるのであれば後継者にどのように引き継ぐのか。後継者はいないけれど会社を存続させたいので会社を買い取りをしてくれることを検討するのか。
会社のオーナー=株主としてどの方向性で行くのかは決めておく必要があります。
ドンドン会社を大きくして上場を目指すのか
いい会社にしてM&Aで売却するのか
後継者に会社を引き継がせるのか
自分の代で精算するのか
選択肢としてはこの4つのいずれかです。
どれで進めていくかで会社の将来はもちろんですが、社長個人の相続やライフプランも大きく影響されます。
事業をどのようにしていくのかは大事なコトなのですが中々考える時間を持てないというのも現状としてはあるかと思います。
少し半日だけでも時間を取ってまずは確認をしてみて、正直なところどこへ進んでいきたいのかは考えたほうがよいでしょう。
まとめ
[box03 title=”本記事のまとめ”]- 株式の状況をまずは確認する
- 株式数、株券、譲渡制限、この3つ
- 会社を今後どうしていくのか社長自身のライフプランと一緒に考える
定期的に時間を取って、可能であれば事業承継計画を顧問税理士と一緒に策定してみてはどうでしょうか。