こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
不動産を複数お持ちの方の場合にはいきなり相続対策で売買をすすめることはありません。そのような場合のスタートラインは不動産の状況を整理していくことです。
不動産の状況整理のポイントを確認しておきましょう。
利益がでているか
不動産を複数お持ちの場合にはいくつか賃貸に出しているものがあるケースが多いです。古くからの地主さんの場合にはいくつも賃貸物件があって、というのも珍しくはありません。
いくつか賃貸しているものがある場合には収益性がどうなっているかの確認をまず行ってみましょう。
例えば賃貸不動産2物件に駐車場用地がある場合で考えてみましょう。
土地の上に建物があってそれを貸している場合にはそれぞれの収益がどのようになっているか。
A物件は建物は新しいので賃料も高めに設定できており入居率も高いとか、B物件は建物は古いので賃料も低めだけれど借入返済は完了しているとか。
駐車場用地は何台分の車が止められていてどれくらいの契約率なのか。
こういったことを見つつそれぞれの物件ごとに収入と必要な費用のランニングコストを見てみます。
固定資産税はもちろんのこと、管理会社と契約している場合には管理費用、入居の広告を出している場合には広告費などがかかります。
それぞれの物件ごとにいくらぐらい収益が出ているのか確認をします。
普段は複数の賃貸物件の収益をまとめて申告をしている状態ですがそれぞれ分解してみるというイメージです。
意外に思うことが出てくるかもしれませんし、駐車場は想定よりも利益が出ていることがよくあります。(必要経費が固定資産税ぐらいなので賃料設定を間違えずに利用率が高ければ基本的にプラスになります)
借入がある場合にはその部分も加味してチェックをしてみましょう。収益性は利益を主に見ますがお金が残っているかも大事な視点です。
売りやすいかの確認
不動産なんだから流動性はないだろうと思うかもしれませんがここで見ておきたいのは売りやすいかどうか。
というのも一般的には人に貸しているほうが実は売りにくいです。人や会社に貸してしまうと権利関係が発生するからです。
権利関係があると退去してもらうことも難しくなります。
単純な比較はできませんが、新しいアパートよりも古いアパートでほぼ入居者がいない、という場合のほうが売りたいと思った時に取り壊し前提で思ったより早く売れることがあります。
自宅や駐車場も権利関係としては建物を貸している状態ではないため比較的売りやすい物件となります。
なぜ売りやすさを確認するかと言うと複数の不動産を持っている場合には相続税が高額になることと同時に納税用の現預金が足りないことが予想されます。
そういった場合にその不動産が売りやすいかどうかは気にしておきたいポイントです。
売りたいときに売りたい値段で売れないのが不動産と言われたりもしますが、売りやすいかどうかと生前に整理しておく観点で見ることも大事です。
自宅についても生前に手放して高齢者向けのサービス付き賃貸住宅などに住み替えをする場合には居住用不動産を売却した際の特例も使いやすいです。
(相続後の売却についても似た特例制度がありますが生前の居住用不動産売却のほうが適用のハードルが低いです)
残したい不動産と手放す不動産を考えてみる
複数の不動産をお持ちで相続対策を進めていこうと考えている場合には税金のことは一旦脇に置いておいて、残したい不動産と手放す不動産の整理をしていくことが大切です。
前段で少しふれたように生前のほうが適用しやすい特例もありますが、それよりも財産を遺す立場としてどれを引き継いでもらいたいか、どれは売却して手放してもいいかということは考えたほうがいいでしょう。
それがひいては財産を遺してもらう相続人の立場で見たときにも理解されやすいと思います。
いきなり売却する必要もないですし時間をかけてじっくり検討していただければと思っています。
何もない状態で考えるよりもこのように不動産をいろんな視点で見比べてみて、判断材料を手元に置くためのスタートラインが棚卸しです。
まとめ
不動産が複数ある場合には色んな選択肢がありますので判断する材料をまずは揃えてみましょう。
中にはこのあたりの検討や相続税の試算をしないで不動産の建替えや売却、購入などを検討している場合がありますが効果が判断できませんのでじっくり腰を据えて検討するほうがいいと考えています。
いきなり決められる内容ではないですのでその点も踏まえてお元気なうちに