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同人作家がインボイス登録するかどうかの判断目安

同人作家の方の顧問をしていると、消費税のインボイス登録をしたほうがいいかというご相談を受けることがあります。

スポット相談でもインボイス登録について聞かれることが最近は増えてきましたので、ここで少し整理をしておきます。

目次

そもそもインボイス登録をする必要があるかどうか

インボイス登録をすると、基本的には課税事業者になります。消費税の申告をして納税をするという手続きが必要になるということです。

ただし、そもそも免税事業者の人がインボイス登録をして課税事業者になった場合には、2割特例という特例を使って消費税の申告と納税をすることができます。

同人作家の場合は、この2割特例を使うと有利に消費税を計算できるケースが多いです。

もし免税事業者の方がインボイス登録で消費税の課税事業者に登録なった場合には、2割特例の申告をするということを忘れないようにしましょう。

出版社との取引について

ではそもそもインボイス登録をする必要があるかを検討します。

お客様にヒアリングをしている限りでは、出版社の方からインボイス登録を求められているケースというのはほぼ見かけません。

今はまだ仕入税額控除について特例があるため、出版社の方でも登録がない場合には本体価格を調整するか、雑損失という形で仕入税額控除の金額を修正していると思われます。

今のところはそれで問題がないということであれば、免税事業者なのであればあえてインボイス登録をして課税事業者になる必要はないというのが私の考えです。

プラットフォーム販売について

FANZAやDLsiteなどのプラットフォームでは、基本的に免税事業者について卸値が少しだけ低く設定されています。

これは先ほどお伝えした仕入税額控除の関係もあると思われますが、だからといって免税事業者の方がインボイス登録したらお得になるかというと、結構微妙な金額になっています。

2割特例で登録する位なら、あえて登録しなくてもいいかなと考えています。

申告と納税の手間がそれに勝るかどうかですが、ほぼ変わりないというのが私が試算したところによる判断です。

登録してしまったのであれば仕方がないですが、あえて登録しなくてもいいかなと思っています。

売上が1,000万円を超えている場合

また、今の時点ではインボイス登録をしておかないと来年1月1日からは受けられない(登録をしたい日の15日前までに申請が必要)わけですが、2024年と2025年の売上が1,000万円を超えている場合には、いずれにしてもあと2年は消費税の課税事業者に自動的になります

ですので、インボイス登録をしなくても課税事業者になるのであれば、インボイス登録をしておいた方が良いと考えています。

なぜかというと、FANZAやDLsiteが主戦場になっている同人作家の場合は、先ほどお伝えしたようにインボイス番号がないと卸値が少し調整されているわけです。

なので、どっちにしても売上が増えた関係で課税事業者になるのであれば、インボイス登録をして卸値を課税事業者としての価格にしておくというのが望ましいです。

インボイスをやめたくなっても2年間は継続することになっています(いわゆるインボイス制度の2年縛りというやつ)ので、現時点で2025年の売上が1,000万円を超えている場合には登録しておくのが望ましいと考えています。

2027年まではどちらにしても課税事業者になるからです。

インボイス番号取得後の手続き

インボイス登録した後の手続きについても少し触れておきます。

登録の流れ

インボイス登録は、国税庁のホームページや会計ソフトで行うことになります。

届出をして概ね1週間から2週間ほどで番号の通知がありますので、その番号をサークルページで登録することを忘れないようにしておきましょう

サークルページへの登録

プラットフォームでの電子書籍販売が主戦場の場合は、プラットフォーム側でそのサークルの同人作家がインボイス登録したかどうかを判定するには番号の登録しかありません。

なので、番号の登録を忘れていると、たとえ課税事業者になったとしても、免税事業者としての卸値でやり取りされる可能性が非常に高いです。

ですので、インボイス登録をしたら必ず番号をサークルページで登録することを忘れないようにしてください

取引先への通知

また、出版社や取引先についてもインボイス登録しているのであれば、相手方で控除の計算の仕方が変わりますので、可能な限り通知しておくのが望ましいです。

法人の場合はインボイス番号が法人番号に紐付いていますので、インボイス登録を検索しやすいのですが、個人事業主の場合は個人のマイナンバー等とは紐づいていませんので、番号を取得して検索をしないとその人が登録しているかどうかが分かりません。

ですので、インボイス登録をしたら必ず番号を取引先に通知するということを忘れないようにしてください。

申告義務について

また、登録した場合には課税事業者に自動的になりますので、仮に売上が1,000万円を下回る年があったとしても申告の必要が出てきます。こちらも忘れないようにしてください。


まとめ

同人作家の方のインボイス登録については、以下のように判断されることをお勧めします。

登録しなくてもよいケース:

  • 出版社から登録を求められていない
  • 売上が1,000万円以下で現状で超える見込みがなく免税事業者
  • プラットフォーム販売がメインで、卸値の差が微小

登録を検討すべきケース:

  • 2024年・2025年の売上が1,000万円を超えている(どちらにしても課税事業者になるため)
  • FANZAやDLsiteでの販売がメインで、卸値の差が気になる

登録後に必ずすべきこと:

  1. サークルページへのインボイス番号登録
  2. 取引先への番号通知
  3. 売上額に関わらず毎年の消費税申告

迷われている場合は、ご自身の売上状況や取引形態を踏まえて、税理士にご相談されることをお勧めします。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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