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こんな役員報酬はキケン

こんな役員報酬はキケン

中小企業の顧問サポートをしていますとよく話題になるのが役員報酬です。金額設定もですが悩ましいのが実情ではないでしょうか。

こんな役員報酬はキケンですので要注意です、ということをお伝えします。

目次

業務実態がない役員報酬

非常勤役員に多い印象ですが勤務実態がない、もしくはほぼないにもかかわらず役員報酬を支給しているケースです。

この場合は業務内容と役員報酬のつり合いが取れているかどうかもそうですし、親族が非常勤役員の場合には「親族だから」この金額なのでは?という疑いの目が向けられます。

業務をしているのであればきちんと記録を残しておくべきでしょうし、親族ならばなおさらです。

仕事してないのに役員報酬を出すというのは普通の経済行動としてはおかしな話でしょうから、脱税意図があると見做されても文句は言えないでしょう。

親族という点に限って言うと役員ではなく従業員の立場で仕事してないけど給料が出ている、というのも問題ありと指摘されやすいです。

従業員だからセーフというわけではなく、親族であれば特殊関係使用人といって普通の従業員とは感覚が違うでしょう、というのが税務署側の視点です。

特殊関係使用人の場合も役員と同じような見方をされますので、そういうこと(勤務実態がないのに給与を支給している)があれば支給を停止する措置をしておくのがよいでしょう。

役員に対する外注費

役員に対する外注費は問題ないかとご相談をいただくことがあります。

要は消費税対策なのだと思いますが、役員報酬はゼロもしくは限りなく低くしておいて役員に対して会社から業務委託等で外注費を支払うと。

役員報酬は給与なので消費税は非課税ですが、外注費として支払うと消費税分を見込めますので消費税計算上有利になります。

これを狙っているのかどうかは分かりませんが、役員に対して会社の業務を外注するという取引自体が問題になる可能性が高いです。

外注するぐらいですから会社の業務なはずですが、役員はその会社の業務をやって当然とみなされます。

そもそもその会社の業務をするための役員ですから、役員としての立場で仕事をしただけなので外注費ではなく役員報酬、と税務調査で指摘される可能性は高いです。

よほどの特殊な技能がその役員個人にあればまだ検討の余地はありますが、指摘されたときのダメージは意外と大きいです。

消費税の仕入税額控除は否認されますし、源泉徴収所得税の不足、定期同額給与から外れている分は損金不算入(つまり税金計算上の経費にならない)となり、追徴税額等が大きくなります。

税務署側からみると、消費税、所得税、法人税の三つが修正事項になりますからトリプルパンチです。

事前確定届出給与&役員退職金

事前確定届出給与という役員報酬支給の一つの形態があります。

文字通り事前に支給金額と支給日を税務署に届出ておくことで税務上も損金になる役員報酬です。

通常、社会保険料対策などで定期同額給を下げておいて事前確定届出給与を多く支給するという提案が社会保険労務士などからされることがあります。

この場合、税務上の問題は支給の時には出にくいのですが役員退職金算定時に問題になることがあります。

役員退職金の税務上のセーフティラインとしてよく言われるのが、最終月額報酬×在任期間×功績倍率という計算式で計算した金額です。

このときに最終月額報酬を使って計算をするので、定期同額給与を低く抑えているとセーフティラインが低くなることを意味します。

事前確定届出給与を含めた年棒を12で除して最終の報酬月額に代えるという処理をすることは審判所でも否定されており税務に影響を及ぼす可能性が高いです。

ましてや役員退職金は会社にとっても役員にとってもそうそうたくさんの機会があるわけではなく、金額も大きくなりますから否認されるとかなり税金に影響があります。

この辺りまでケアして事前確定届出給与の支給提案をしているかどうかは定かではないですし、もし導入するにあたっても慎重な判断が必要です。

まとめ

ほかにも役員の海外視察などもプライベートではと指摘されると役員報酬とみなされる可能性があります。

役員に対する金員の支給は常に「実態として給与ではないか」ということは意識しておきたいところです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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