こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
フリーランスの経理について基本的事項を整理していくシリーズとして消費税について解説をします。
消費税の免税期間
フリーランスになって事業を始めた時には消費税を売上に乗せて請求をすることになります。
今まで給与で生活をしていた人も多いかと思いますが、消費税が払うものから請求し貰うものになります。
ではそのいただいた消費税分を納めることになるかというとフリーランスになりたての場合は少し事情が変わります。
現状では年間の売上高が1,000万円超になるとその2年後から消費税を納める事業者になるという特例があります。
仮に2021年の消費税込みの売上金額が1,000万円を超えていたら、2023年は消費税の課税事業者(消費税を納める事業者)になるということです。
他にも判定の基準はありますが法人など一定の事業者をメインの対象としていますので今回は割愛します。
消費税の課税事業者に該当するまでは消費税の分は売上に含められるということで、この点をもって益税と呼ばれることもあります。
もし仮にサービス業で消費税を納める事業者に該当した場合に年間の売上が1,100万円で簡易課税方式という方式を選択して納める消費税を計算した場合には
1,100万円のうち消費税分が10%とすると100万円が売上にかかる消費税で預かった分
簡易課税方式でサービス業50%のみなし仕入れ率を計算すると100万円×50%=50万円
となり100万円-50万円=50万円を納める消費税として計算をします。
いままでは100万円の消費税分も売上に含めれていましたが、そのうち50万円を納めることになるということです。
年間の売上金額が1,000万円を超えないのであれば消費税はずっと貰いっぱなしにできる、というのがこれまででした。
この状況に変化が生じそうなのが消費税のインボイス制度です。
消費税のインボイス制度
仕事の発注者の視点でまずは整理をします。
仕事を発注して支払をした場合には消費税を含めて支払いをします。消費税の計算上、その発注者が消費税をおさめる事業者の場合、消費税を計算する際に支払った消費税を預かった消費税から差し引けます。(原則課税の場合)
預かった消費税が500万円で支払った消費税が300万円の場合には200万円の消費税の納税額となる計算です。
いままでは発注者側の視点でみると取引相手が消費税を納めていても免税の事業者でも差し引ける金額に変わりがない状態でした。
それが令和5年10月1日からインボイス制度が始まると相手方が消費税を納めているか免税事業者かで払った消費税のうち差し引ける金額が変わってきます。
この点が発注者、受注者ともに影響が非常に大きくなると考えられています。
大きな企業ですと消費税を納めていない取引先とは取引をしなくなる、という可能性も出てきます。
相手方が消費税を納める事業者か免税の事業者かで消費税の計算に影響がでてきます。(経過措置もありますがその点も計算を複雑にする原因となっています)
消費税を納めている事業者側でも、また現状で消費税を納めていない事業者側でもこの制度による影響がでてきます。
経費の立替えなども消費税控除のための手間が増えるとされていますので立替経費請求など色んなところに波及すると考えています。
今後どうしていくのがいいか
ざっくりとした解説になりますが、フリーランス側から見ると年間の売上高が1,000万円以下の場合でも消費税を納めるか事業者になるか、ということを判断する必要があります。
現状で課税事業者に該当するフリーランスの方の場合にはインボイス制度の登録を済ませておくのが良いでしょう。
2023年の時点でも間違いなく課税事業者であるならそれが確かです。
フリーランスの方でも多くの方が消費税の免税事業者に該当するかと思いますがその場合には少し検討に時間を要したほうがいいです。
というのも事業の内容が対消費者向けであれば必ずしもインボイス登録をして課税事業者になる必要がないパターンもあるからです。
また2023年が消費税を納める事業者になるかどうかは今年の売上高に左右される部分もあります。
そういった意味で今すぐインボイス登録をしなくても少し時間をかけてお近くの税理士に相談してみるなどして検討をしていくのがよいでしょう。
前向きに先送りをしてしかるべきタイミング、フリーランスの方であれば来年の春、確定申告が終わったときが次のタイミングかなと。
まとめ
制度としては複雑になっていますのでご自身の状況に合わせて個別に判断する部分が多く出てきます。
情報を整理収集しつつお近くの税理士に相談をしていきましょう。