こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
フリーランスのかたが経理から帳簿付けまでをしていくにあたって、なにをしたらいいのか分からない、自分のやり方が合っているのかどうかがわからない、というご相談をよくいただきます。
フリーランス経理の教科書と題してひとつずつ、フリーランスになったらやるべき経理、帳簿付けについて解説をしていきます。今日は売上について書いていきます。
業務が完了したら請求書を発行する
色んな業種がありますが自分の業務が完了したら売上を計上することになります。
製品を売る場合には引渡し基準といって相手にモノを渡した際に売上を認識することが多いです。
ほかには相手が受け取った時点や相手方で検品が終わった時点で計上する方法もありますが引き渡した時点が一番判断が簡単ですしオーソドックスな方法です。
サービスを提供する場合には役務(サービスのこと)提供完了時において売上を認識します。
いずれの場合においても業務が完了し引渡しまたは役務提供が完了したら売上金額を相手方に請求します。請求書の日付は認識時点でよいです。
請求書に記載すべき事項は以下の項目が一般的です。
請求するひと(請求書発行者)の氏名
相手方の名称
請求日付
支払期日
取引の内容(品目や数量)
取引の金額
消費税の区分記載(8%や10%など)
消費税のインボイス情報(今後もしインボイス事業者になったら)
これらを記載して請求書を発行します。
請求書はExcelで自分で作ることも可能ですがクラウド会計ソフトには請求書や見積書を作成する機能が備わっているものもあります。
そういう機能を使っても良いですしインターネットからひな形を探してきてそれを自分で加工して作ってみるというのもよいでしょう。
請求書を発行して売上を計上するわけですので帳簿上の処理も必要です。
請求書を渡したその場で現金で売上を受け取った場合には以下のような帳簿入力となります。
9月28日 (現金)/(売上)11,000 〇△商事 HP運用代行
請求書を渡したその場で現金で受け取ることは少ないかと思いますのでその際には売掛金という項目を使って帳簿入力をします。
9月28日 (売掛金)/(売上)11,000 〇△商事 HP運用代行
売掛金というのは売上をいまだ受け取っていないときに使用する項目です。いわゆるツケやカケと呼ばれたりもします。
未収のものを帳簿につけて記録しておくというのはとても大事な作業です。
というのも未収の管理をしておかないと入金があったかどうかが分からなくなってしまうからです。
請求書発行後の処理
請求書発行後、売上が未入金の場合には入金までは待つことになります。
支払期限を請求書に記載しておくとひとまずはそこまでには支払ってくれるだろうという期待感を持って待てます。
もし仮に入金が支払期日までに確認できなかったらどうするか。まずは入金が確認できていない旨を連絡してみましょう。
電話や直接対面したら感情的になってしまいそうな場合にはメールを使うのもひとつ方法としてはあります。
まずは連絡をしてみて促してみることです。支払漏れかも知れませんし事情があるかもしれません。
事情があったときにさらに期限を延長しておくのか、分割支払などにするかは請求者次第です。今後の取引継続も考慮しつつ対応を決めましょう。
支払期日までに入金があった場合の帳簿付けは以下のようになります。
10月31日(普通預金)/(売掛金)11,000 〇△商事 売掛金入金
請求金額と入金金額に差異がなければ売掛金の管理としては完了です。
もし相手方から領収書発行の以来があった場合には応じる必要がありますが、請求書発行時に備考や契約書締結時などに請求書と振込明細をもって領収書に代える旨を確認しておくのも方法です。
また入金があったかどうかを逐一金融機関まで出向いて通帳の記帳をしていると手間ではあります。
インターネットバンキングを利用できれば自宅や事業所から入出金が確認できますし、インターネット専用銀行もありますのでそういった金融機関を使うのもいちいち銀行に行かないという効率化のサポートにもなります。
帳簿上のチェック
請求書を発行し入金があって事業主としては安心したいところですが帳簿上のチェックは定期的に行いましょう。
請求書の金額と入金金額が異なるケースもあります。
例えば相手方で振込手数料を差し引いている場合でそれに気が付かずに処理をしている場合には以下のようになります。
10月31日(普通預金)/(売掛金)10,450 〇△商事 売掛金入金
こうなると請求書上の11,000円と入金金額10,450円に差異がある状態で、帳簿上は売掛金が残ってしまう状態です。(売掛金と入金額の差額が未回収)
こういったことがないように入金があった際には請求書金額との差異がないかは確認しておきたいところです。
ちなみに550円の振込手数料が差し引かれた場合の処理は
10月31日(普通預金)10,450/(売掛金)11,000 〇△商事 売掛金入金
(支払手数料) 550 〇△商事 振込手数料負担
もしくは
10月31日(普通預金)/(売掛金)11,000 〇△商事 売掛金入金
10月31日(支払手数料)/(普通預金)550 〇△商事 振込手数料負担
という形です。
また取引先が少ない場合には入金があった際に入金漏れが確認をしやすいですが取引先が増えてきた際には帳簿上でチェックしておくのもよいです。
請求書自体に入金があったかどうかチェックをつける機能がある会計ソフトもありますが、紙で控えがある場合には請求書に入金があった日付を書くなども漏れがないようにするために有効です。
帳簿上においても入金漏れや差異がないか、残高がマイナスになっていないか(売上未計上)をチェックしておくのがオススメです。
チェックする帳票は、残高試算表や売掛金の元帳、補助元帳(売掛金に補助科目、タグ、取引先を設定している場合)で行います。
会計ソフトを使用している場合には記載しているような帳票が設定されていますので確認してみましょう。
freeeですとレポートから、マネーフォワードは会計帳簿から確認できます。各種会計ソフトには基本的に備わっている機能ですのでご自身が使っている会計ソフトで探してみましょう。
(freeeのレポート画面)
(申込内容によって表示の仕方が少し違うかもしれません)
(マネーフォワードの会計帳簿画面)
まとめ
売上だけでも結構やることがなるなぁと感じたかもしれません。
請求書発行、帳簿付け、入金確認、未入金の場合には連絡、帳簿付け、売掛金の残高チェックなど。
一度流れを把握して慣れてくるとちゃんとできるようになります。2~3か月経過した時に税理士に見てもらえる環境があるとなお安心です。
コメント
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