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PS5は生活用動産(所得税の非課税対象)になるか

Ps5を転売したら

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

PS5の転売熱はまだまだ収まる気配を見せませんが、私自身は転売の方からではなく正規の価格で買うべく昨年の発売日以後、コツコツと申し込みし続けるもいまだに当選する気配がありません。

少し前にはせどり(価値のある本などを安い価格で買ってきてそれをプレミア価格で売る)がお手軽にできる副業として流行った時期もありました。いまはPS5が転売ヤ―(転売をするひと)のターゲットになっています。

PS5の転売と生活用動産、税務申告について考えてみましょう。

 

目次

PSは生活用動産になるか

みなさんもブックオフやリサイクルショップ、メルカリなどで読み終わった本や聞きまくったCD(最近だと洋服や楽器なども多いようです)など持ち込むことがあると思います。

 

反対にそういったお店やアプリで漫画や本を買うこともあるでしょう。

ではこのブックオフ・メルカリで自分が読んだ本を買い取ってもらう行為で税金を支払っているかというとそういう人はいないと思います。

 

これは生活用動産といって簡単にザックリお伝えすると自分が買ったもので自分が使うことを目的とした生活物品のことを指し、こういったものを買取してもらっても税金はかかりませんというルールがあります。

 

このように書くと、一度使えば生活用動産として仮にプレミアがついて高くなっても利益が出ても税金を支払わなくていいのかという極端な主張をする方がいます。

 

自分が買ったものでもそれを売って儲けよう、利益を得ようと思っている場合にはそもそも自分が使うために買っているわけではないと言えるので利益に対して課税の対象になると考えられます。

 

[box03 title=”所得税の課税されない譲渡所得”]

生活用動産の譲渡による所得
家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。
ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。

(国税庁HPより)

[/box03]

 

生活に通常必要な動産の譲渡というのがポイントでメルカリやブックオフで何かを売るときには「自分ではもう着なくなった、使わなくなった、読まなくなった」というのが前提にあります。

 

PS5について例えば買ってみて遊んでみたはいいけれども対応するソフトがなくて持て余してしまった、というのならわからなくはないです。しかし、そもそも転売しようという気満々で購入しているのであればその利益は課税の対象となります。

 

では何回ぐらいPS5を使えば生活用動産として非課税になるかと疑問に感じるかもしれません。何回使えば生活用動産という線引きはありませんし、では損になると分かっていても売るかどうか。

売却して儲けるつもりならその転売益は課税対象となります。

 

税務申告の必要性

利益を得ているのであれば原則として申告をして納税をする必要があります。

 

原則としてと書いたのは例えば雑所得であれば20万円以下の利益であれば所得税の確定申告は不要(住民税の申告は必要)という特例があるからです。

 

継続反復して利益を得る目的でPS5やその他のプレミア価格の付く物品を転売していることを生業(なりわい)としている場合には事業所得に該当するでしょうし、サラリーマンの方が片手間でたまたま重複して手に入れられたPS5を転売したぐらいであれば雑所得に該当すると考えられます。

 

そもそも転売行為そのものは犯罪ではありませんが、仮に犯罪行為だとしてもその行為で得られた利益については課税の対象となります。

[box03 title=”所得税基本通達36-1″]法第36条第1項に規定する「収入金額とすべき金額」又は「総収入金額に算入すべき金額」は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。[/box03]

 

その収入の起因となった行為が適用かどうかを問わない、つまり違法行為で得られた収入であっても課税の対象となると規定されています。

 

転売はなぜ起きるのか

税務申告のことは一旦脇に置いておいて、なぜ転売が起きてしまうのか少し考えてみましょう。

 

モノの値段というのは需要と供給で決まると言われますが、欲しい人がたくさんいても供給量が少ない状態だと値段があがります。

PS5は今まさにその状態に近いと考えられます。

 

PS5の製造販売元はソニー・インタラクティブ・エンターテインメント(以下SIE)ですが、増産しているとは言いつつも供給量が格段に少ない状態です。

PS2は発売2日で100万台を国内で売り切ったと言われていますし、PS4でも初週は32万台とされているのにPS5は12万台となっています。

 

単純に台数が足りず欲しいと思っている人がたくさんいるので転売しているものの値段が跳ね上がっています。正規価格の倍以上も珍しくありません。

 

またこの正規価格の倍以上でも売れてしまう状況というのは転売を生業とする人たちの事業熱を過熱させている要因にもなっているでしょう。仕入れられれば仕入れ値の倍で売れると思えば気合も入るものです。

 

転売熱に拍車をかけているのが流通ルートの多様化もあると考えています。

いまは個人でメルカリやYahooオークションなどでいろんなものを売買できる事態です。インターネットやスマートフォンの発達で転売屋から見たときの販路が拡大していることも少なからず影響しているでしょう。

 

SIEも転売を防止する措置を努力していますがそんなものは転売屋からしてもなんのことはないのでしょう。

 

転売をなくそうと思うとユーザー側が転売屋からPS5を購入しないという行動が必要です。

転売自体は違法行為ではありませんが得られた利益を適切に申告していないとそのうち税務当局に捕捉される日がきます。

 

インターネットは便利な反面追いかけようと思うと結構簡単に足跡をたどれるそうですので、転売益の申告についても個人的には取り締まりを強化してほしいと考えています。

まとめ

ゲームのハードというのは企業努力やマーケティングもあって発売日の価格が設定されています。値付けの難しさというのはありますし、生産台数がまだ少ないであろう状況は理解していますが転売屋からPS5を買うことで良しとしたくない自分もいます。

欲しいと思う方の手元に正規価格で品物が届くことがSIEに対してユーザーができることのひとつですし、SIEの望みでもあるはずです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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