こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
勤めていて給与をもらう形式で仕事をしていたかたが独立してフリーランスに年の途中でなるかたは多いです。
その際に源泉所得税を退職時にもらいますので必ず保管しておきましょう。その理由とフリーランス初年度の確定申告についてザックリと解説をします。
年末調整の位置づけ
給与をもらう形式で仕事をしていた正社員、派遣社員、アルバイト、パートの人は毎年年末調整をします。
年末調整の位置づけとしては給与所得者の確定申告のようなものです。
普段のお給料から所得税を天引きされているのですがそれを精算しましょうというのが年末調整の役割です。
毎月5,000円の源泉所得税だとして、年末調整をしたら年間で5万円の所得税でよいことが判明した場合。
1月から11月までの11か月分の源泉所得税55,000円だとすると、50,000円でよいはずですので5,000円オーバーしています。
このオーバーした分を還付することで年間の所得税を精算していることになります。
反対に年末調整をしたら天引きされていた所得税が足りないというケースもあります。こういう場合には徴収されることで精算となります。
なぜこの年末調整=所得税の精算が必要かと言うと普段の所得税の天引きには、自分で加入している生命保険や個人年金保険、介護保険、地震保険などの情報が加味されていないからです。
年間を通じて加入しているかどうかを給与支給のつどで確認するのは大変煩雑になりますので、年末の時点で自分で加入している保険や扶養家族の情報を整理し反映することで精算します。
一般のフリーランスの場合は給与がない場合には年明けの確定申告でその年の所得を計算し、税金を計算して納税をします。
給与をもらって仕事をする人にとっては年末調整をすることでミニ確定申告をしている、そんなイメージを持っていただくと分かりやすいです。
では年の途中で退職した場合はどうなるか。
年末調整はその字のごとく年末時点における情報を加味して所得税を精算するということでした。
所得税を計算する期間は1月1日から12月31日です。年末が到来していませんので年末調整がができません。
つまり年末調整が済んでいない状態(年調未済(ねんちょうみさい)といいます)となるわけです。
勤めているときは会社側に必要事項を記入して書類を提出すれば年末調整してもらえていたわけですが勤め先がないので、なにをするかというと確定申告をすることになります。
仮に退職してからは仕事についていなかった場合には天引きされた所得税は確定申告をすれば還付になる可能性が高いですので確定申告をしておきましょう。
では退職をしてフリーランスになった場合はどうなるでしょうか。
フリーランス初年度の確定申告
仮に3月31日まで勤めていて給与をもらっていたとします。退職して4月からフリーランス・個人事業主として仕事をはじめて年末まで頑張った場合。
この場合には
1月1日~3月31は給与所得者
4月1日~12月31日は事業所得
ということになります。
確定申告のときにはこの2つの所得を合算して所得税を計算することになります。
理由はさきほど触れた「所得税の計算の期間は1月1日~12月31日までとなるから」です。
つまり退職の時(または退職後)に勤め先からもらうであろう源泉徴収票(年調未済)は確定申告の際に必要となります。
もし紛失してしまっている場合には勤めていた会社に依頼して再発行をしてもらいましょう。もしこの源泉所得税の分を申告書に反映していない場合には所得計算に誤りがあることになります。
もし給与から源泉所得税が天引きされているものがあれば事業所得と合わせて計算した所得税から控除することができます。(前払いしていますので)
これはどういうことか説明をします。
給与から引かれていた源泉所得税:30,000円
すべての所得を合わせて計算して算出した年間の所得税:100,000円
だとしますと、既に源泉所得税は給与から差し引かれて前払いしている状態ですのでこの所得税の分は年間の納めるべき所得税から差し引かれます。
100,000円-30,000円=70,000円という計算です。
10万円所得税を納める必要があったけれど、3万円は給与から差し引いて前払いしているから差し引き7万円が今回納める所得税だ、ということになります。
給与所得は給与所得の確定申告書を作り、事業所得は事業所得で確定申告書を作り、ということではありませんのでご注意ください。
まとめ
独立初年度の方は所得の種類が2つあることになります。源泉徴収票が手許にない、または発行されていない場合には今のうちに発行してもらうように連絡をしましょう。
年末調整はなくて給与所得と事業所得をあわせて確定申告書を作る、ということはアタマの片隅に置いておいてもらえればと思います。