フリーランスとして活動を始めるとき、手元の資金についてはある程度確認してスタートすると思います。
事業関係の各種支払とか生活費とか、出ていくものについてはある程度把握している方、予想をしている方も多いですが、一番確認が不足しているのが実は住民税です。
そして忘れている分インパクトが非常に大きく感じるのも住民税の特徴です。
フリーランスの独立初年度の住民税について解説します。
住民税のしくみ
住民税の計算の仕方をまずは確認しておきましょう。
計算の対象期間など
住民税はその年の1月1日において住所地がある市区町村に前年の所得をもとに計算されて課税されます。
確定申告をしている場合にはその確定申告の情報が税務署から市区町村へ提供されます。
確定申告をしておらず給与について年末調整の見受けている場合には、年末調整をした会社から市区町村へ所得の情報が提供されます。
お勤めの方の場合、毎月のお給料から住民税が控除されて会社が代わりに住民税を支払ってくれますが、このシステムのことを特別徴収といいます。
お給料から差し引く場合、6月から翌年5月までに12等分して支払いが行われます。
今年でいうと、2018年分の所得について課税された住民税が、2019年6月から2020年5月まで分割して支払われることになります。
お勤めでなくフリーランスとして活動しておられる方の場合には、5月から6月にかけて住民税の通知書が届き、それを6月、8月、10月、翌年1月に分割して納付(一括納付もできます)することになります。
差し引く給与がないため自分で納める必要があり、その納付方法のことを普通徴収といいます。
お勤めの場合は12等分して住民税をお給料から天引きで払っている、という形がスタンダードです。お手元に給与明細がある場合には一度見てみましょう。
ちなみに住民税の税率は一律10%です。一部地域においては特例により微差がありますが、基本的には住んでいる市区町村で損得はありません。
会社を辞める時はどうなる
お勤めでお給料がある場合には、住民税が12等分されて天引きされていると説明をしました。
ではお勤めしていて転職や退職する際にはどのような処理になるかというと、
- 翌年5月までの住民税の残りを最後の給与から一括で天引きしてもらう
- 翌年5月までの住民税の残りを届いた通知で自分で支払う(退職時には住民税の残額のお知らせと納付書がお住いに届きます)
- 転職先で再び特別徴収をしてもらう
という3つのパターンのいずれかになります。
会社の方針によるところも大きいですが、いずれにしても自分で支払うパターンが多いと思います。
私の場合は年末に退職し独立しましたので、翌年5月分までの分割で払う予定だった住民税を手元に届いた通知書兼納付書を使って自分で納付をしました。
フリーランスをめぐる住民税の注意点
この住民税ですが、給与から天引きされていることが多いので支払っている感覚が薄く、資金繰りの確認の際に失念しがちです。
例えば私の場合ですと、年末に退職し1月から5月までの住民税をまず支払う必要がありました。
その後5月から6月にかけて住民税の通知が手元に届くわけです。2018年分の所得について課税された住民税です。
給与所得がある場合には2019年6月から2020年5月まで分割して納付していたであろうものが一括で手元に来るわけです。
しかも、お勤めの時にそれなりの水準で給与がある場合には、フリーランスになって所得が減っているであろうところへガツンと住民税の通知が来ます。
もし独立後の事業の状況が芳しくなく、本来普通徴収のところを分割して納付したい場合には分納の相談を市区町村窓口でしてみるものひとつです。
失業している状態などであれば減免申請ができたりしますので、払えないからといって放置しておかないようにしましょう。
独立時における住民税については、天引きされていたものが顕在化するということと、去年分の所得をベースに課税されていてそこを忘れがちなのが一番注意したいところです。
控除金額等は異なりますが、所得税と同じ計算構造をしているので退職して独立する際には住民税を一度試算しておいたほうが良いでしょう。
住民税の試算については別の記事を準備する予定です。
まとめ
[box03 title=”本記事のまとめ”]- お勤めの場合は住民税を12等分して給料から天引きされるのがスタンダード
- 給与から天引きされていると支払っている感覚が薄い
- 天引きされているものが顕在化してくるので影響が大きい
- 支払ができないからといって放置せず市区町村窓口で相談を
住民税の減免申請は許可が出るまで審査があったりとハードルが高いです。
自己都合退職の場合には基本的に減免は難しいのですが、分割納付の相談は出来ると思いますのでお困りの方は是非一度ご相談してみてはいかがでしょうか。