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税務調査がきっかけで不正が発覚する――調査は「答え合わせ」の場でもある

「税務調査って、税金をごまかしていないかを調べるものですよね?」――ご相談の中で、よくいただく質問です。

その通りです。ただ最近は、調査がきっかけで、経営者ご本人も知らなかった社内の不正が見つかる、という話を聞くことが増えました。

経理担当者による横領、実態のない外注費、売上の入金先のすり替え。

調査官は、帳簿とお金の流れと書類を突き合わせていきます。そのとき、合わないところが出てくるのです。そこを不審な個所とされて追及されます

税務調査は、会社の数字の「答え合わせ」の場でもあります。

長年経理を任されていた担当者が、架空の取引先への支払いを装って会社のお金を引き出していた。それが調査で初めて分かった、という報道を目にすることもあります。

今回は、なぜ調査で不正が見つかるのか、見つかったら税務ではどうなるのか、日ごろどう備えるかを整理します。

目次

帳簿とお金の流れ――どこかで必ず合わなくなる

調査では、帳簿の数字だけを見るわけではありません。通帳、請求書、領収書、取引先とのやりとりの記録まで照らし合わせます。

不正があると、どこかで帳簿とお金の流れが合わなくなります。実態のない外注先に毎月支払いが出ている、売上の入金が会社の口座に入っていない、といったことです。

反面調査(取引先に取引の内容を確認すること)で、相手の記録と食い違いが出ることもあります。

一方で経営者は、「任せているから大丈夫」と思っていて、ご自身では突き合わせていないことが少なくありません。

税理士も同じです。税理士は監査人ではないので、不正を見つけることそのものを仕事にはしていません。受け取った資料をもとに帳簿を確認していても、資料そのものが作られたものであれば、帳簿を眺めているだけでは気づきにくいのが実際です。

税理士がついているから安心、とは言い切れない。それが正直なところです。

本人がやっていなくても――会社の税金の問題になる

では、調査で社内の不正が見つかったら、税務ではどうなるのでしょうか。

会社のお金が横領されていた場合、会社には「お金を失った損失」と「横領した人に返してもらう権利(損害賠償請求権)」の両方が生じます。

従業員や役員による横領では、この二つを同じ時期にあわせて計上する考え方が一般的です。損失だけが計上されるわけではないので、結果として所得が減らないことが多いのです。

横領した人に返す力がまったくない場合など、個別の事情で扱いが変わることもあります。

また、架空の外注費として処理されていたものは、経費として認められません。従業員がやったことでも、会社の申告が過少になっていれば、会社が修正申告をして税金を納めることになります。

さらに、従業員が帳簿や書類を隠したり偽ったりしていた場合、会社に重加算税がかかることがあります。その従業員の立場や権限、会社がどこまで管理・監督していたかなどから、会社自身の行為と同じと見られる場合があるためです。

経営者や役員ご自身が会社のお金を私的に使っていた場合は、役員への給与として扱われ、会社とご本人の両方に税金がかかることがあります。

▶ 関連記事:〈売上除外と重加算税――「うっかりの計上もれ」と「除外」は何が違うのか〉

性善説でいたい――だから仕組みで守る

人を疑いたくはありません。だからこそ、疑わなくてもいい仕組みにしておくことが大切です。

まずは、お金を動かす人と、記録する人を分けることです。小さな会社でそれが難しければ、通帳だけは経営者が毎月見るようにしましょう。

支払いは、請求書と照らし合わせて、経営者が承認してから行うのがおすすめです。

外注先が実在すること、どんな仕事をしてもらったかが分かる記録も残しておきましょう。調査で「なぜこの取引を?」と聞かれたときの説明にもなります。

定期的に税理士と一緒に通帳・帳簿・請求書を突き合わせる時間をとるのも一つの方法です。

作家さんの場合も同じです。ご家族や外部の方に支払いや経理を任せているなら、入出金の明細だけはご自身で見ておきましょう。

たとえば、ネットバンキングの閲覧権限を経営者も持っておく、月末に通帳の明細を経営者に回してもらう、といった工夫は、手間が少なく始めやすい方法です。

仕組みは、任せる人を守るだけでなく、任された人を守るものでもあります。きちんと仕事をしていることを、数字で示せるからです。

まとめ

  • 調査では帳簿・お金の流れ・書類を突き合わせるため、社内の不正が見つかることがある
  • 税理士は監査人ではなく、帳簿を見ているだけでは不正に気づきにくい
  • 本人がやっていなくても、会社の修正申告や加算税の問題になる
  • 性善説でいたいからこそ、お金を動かす人と記録する人を分け、通帳を自分で見る仕組みを

まずは、会社の通帳を毎月一度、経営者ご自身が見る日を決めてみましょう。任せすぎていると目の前に大金があり自分の裁量で動かすことができると魔が差してしまうものです。

こういったことは早めに見つけるというのも損害やダメージを減らすためには有効ですので、定期的なチェックや日々の業務に取り入れておくのがおすすめです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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