「いつもの納付書が届かないんですが、どうやって払えばいいですか」。ここ数年、こういうご連絡をいただくことが増えました。
税金の納め方は、紙の納付書を持って窓口に行くスタイルから、オンラインで済ませるスタイルへと、少しずつ切り替わっています。
税務署も納付書を配らない方向へ進んでいますし、銀行の窓口も以前ほど気軽には使えなくなってきました。
「制度が変わったから仕方なく」ではなく、「切り替えたら、金融機関に行く時間も手間もいらなくなった」と思えるのが、オンライン納付のいいところです。
11月の予定納税、来年3月の確定申告と納付の時期が続く前に、納め方を一度見直してみませんか。
税務署は、納付書を「配らない」方向へ
2024年(令和6年)5月以降、税務署からの納付書の事前送付が、一部の方について取りやめになっています。個人の方では、主に次のような場合です。
- e-Taxで「予定納税額の通知書」を受け取ることを希望した方
- 振替納税、ダイレクト納付、ネットバンキング、クレジットカードなど、納付書を使わない方法で納めている方
すべての方に納付書が届かなくなったわけではありませんが、国はキャッシュレス納付を広げる目標を掲げていて、この流れは今後も進んでいくと考えられます。
ここで気をつけたいのは、「納付書が来ない=払わなくていい」ではないということです。納付の期限は変わりません。納付書が届くのを合図にしていると、そのまま払い忘れてしまうおそれがあります。
また、納付書の様式そのものも変わりました。2026年9月下旬以降、税務署の窓口で配られる納付書は新しい様式になり、これまでの「整理番号」欄が13桁の「お問い合わせ番号」欄に変わるなど、書き方が少し変わっています。
お手元にある以前の様式の納付書も、しばらくの間はそのまま使えますが、新旧が混ざる時期は記入ミス等が起きやすくなります。
紙の納付書と付き合い続けるより、この機会にオンラインへ移ってしまうほうが楽かもしれません。
銀行の窓口も、以前ほど気軽ではありません
金融機関の側でも変化が起きています。税金や公金の窓口での受付時間を限ったり、取り扱う店舗を絞ったり、自治体によっては窓口での収納そのものをやめたりする銀行が出てきました。
取り扱っていない納付書を持ち込むと、取次の手数料がかかったり、納付が期限に間に合わなかったりすることもあります。
「期限の日の午後に銀行へ行ったら、もう受け付けてもらえなかった」ということも起こりうるので、窓口に頼る納め方は、だんだん不便になっていくと考えておいたほうがよさそうです。
キャッシュレスで納める方法と、向いている人
国税をキャッシュレスで納める主な方法は、次のとおりです。
| 納め方 | しくみ | 手数料・上限 | 向いている人 |
| 振替納税 | 届け出た口座から自動で引き落とし(申告所得税・個人の消費税) | 手数料なし | 確定申告の納付を「出しっぱなし」で済ませたい人 |
| ダイレクト納付 | e-Taxで申告後、登録口座から引き落とし。「自動ダイレクト」なら期限当日に自動で | 手数料なし・上限なし | e-Taxで申告している人。 |
| ネットバンキング・ATM(ペイジー) | 自分のタイミングで、パソコン・スマホやATMから納付 | 手数料なし(銀行による) | 引き落としではなく、自分で払う日を決めたい人 |
| クレジットカード | 専用サイトからカードで納付 | 決済手数料がかかる(納付額の1%弱) | 分割払いなど、支払いの時期を調整したい人 |
| スマホアプリ | スマホ決済アプリから納付 | 手数料なし・30万円以下 | 少額の納付をサッと済ませたい人 |
どれを選んでも窓口に行く必要はなくなりますが、フリーランス・個人事業主の方に特におすすめなのは、振替納税・ダイレクト納付・ネットバンキングの3つです。
振替納税は、確定申告分の引き落としが期限から1か月ほどあと(例年4月下旬。日付は毎年国税庁が公表)になるのも利点です。ダイレクト納付は所得税だけでなく、消費税や予定納税など全ての税目に使えます。
ただし、振替納税やダイレクト納付は、使い始めるまでに手続きで1週間〜1か月ほどかかることがあります。納付の直前に慌てて申し込むのではなく、時間に余裕のある今のうちに準備しておくのがおすすめです。
ネットバンキング・ダイレクト納付をすすめる理由
① 窓口に行く時間がいらない 期限の直前に、銀行の窓口の行列に並ぶ必要がありません。受付時間を気にせず、仕事の合間に自宅や事務所から納められます。
② 記録が残るので、あとから確認しやすい 納付の記録が口座の明細やe-Taxに残るので、「いつ、いくら払ったか」をすぐに確かめられます。帳簿付けや、翌年の予定納税の確認にも役立ちます。
③ 納付書をなくす・届かない心配がなくなる 紙の納付書を保管しておく必要も、届くのを待つ必要もありません。
当事務所でも、顧問先の皆さまには、ダイレクト納付や振替納税、ペイジーでの納付へ切り替えをおすすめしています。
特におすすめなのがペイジーでの納付です。ネットバンキング対応している銀行口座があれば基本的にペイジーが一番使いやすいと思います。
ひとつだけ注意したいのは、口座の残高不足です。引き落としができないと、延滞税がかかることがあります。引き落とし日の前には、残高を確認しておきましょう。
なお、住民税や国民健康保険料などの地方税でも、納付書のQRコードを使ったスマホ決済やネットでの納付が広がっています。使える方法は自治体ごとに違うので、お住まいの自治体の案内をご確認ください。
まとめ
- 紙の納付書は、届かなくなる方向に進んでいます。様式も変わり、銀行窓口も使いにくくなってきました。
- 振替納税、ダイレクト納付、ネットバンキングなら、窓口に行かずに済み、記録も残ります。
- 使い始めるまでに手続きの時間がかかるので、納付の直前ではなく今のうちに。
最初の一歩は、11月の予定納税(対象の方)か、来年3月の確定申告の納付を、どの方法で納めるか決めておくことです。金融機関に行く時間と手間を減らして、その分を本業に使っていきましょう。
