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役員借入金の贈与を検討したほうがいいケース

役員借入金の贈与の検討したほうがいいケース

相続対策や事業承継の関係で顧問先の社長に提案することのひとつが役員借入金の贈与です。

株式の移転ももちろん大事ですが役員借入金の贈与も相続税対策の選択肢として検討してみましょう。

目次

相続税対策として

役員借入金は会社からみて役員からお金を借りている状態です。

中小企業ですと社長が当座の分としてお金を融通してしのぐということはありますし、会社が支払うものを社長が立て替えるということもあります。

こういったときに会社側としては社長にお金を借りている処理をしますので、勘定科目として役員借入金という表示をします。

この役員借入金は会社としては特に大きな問題がなく資金繰りに余裕があれば返済しておけばよいのですが、問題は社長の相続のときに顕在化してきます。

社長側から見ると会社にお金を貸していることになりますから、貸付金です。

こうなると会社がよほどの状態で倒産したとかそういうことではないと、基本的に相続財産に該当するのです。

相続人からすると社長がお金を返してもらえるものですので、相続財産ですが手元にお金があるわけではないので相続税負担としては重くなります。

会社からみると役員借入金、社長から見ると貸付金は相続財産になって相続財産の規模によっては相続税の課税対象ですので対策できるならしておいたほうがよいです。

もちろん会社側に資金があるのであれば返済しておくのが望ましいですがそうではないケースも多いので、会社側に資金がない場合の選択肢のひとつが役員借入金の贈与です。

可能であれば後継者である相続人に事前に分散しておけると相続税対策になります。

生前贈与加算の対象期間は相続開始から3年以内が現状ですが順次延長されていき最終的には7年になりますので、早い段階で可能であれば贈与しておくにこしたことはないです。

相続人が後継者としてすでに会社の役員になっているケースや役員借入金の金額が多く相続税負担が予想されるケースでは役員借入金の贈与も選択肢として検討してみてください。

役員借入金の贈与のしかた

役員借入金は社長からみるといわば債権です。役員借入金の贈与は債権の贈与と言えますので実際の贈与手続きとしては比較的簡易です。

贈与契約書を準備していついくらの役員借入金を贈与するか記載し、贈与者と受贈者で署名しておきます。

仮に210万円の債権贈与だと贈与税は10万円ですので、会社から10万円を引き出して贈与税を受贈者が支払えば個人の持ち出しなしで最終的には200万円の役員借入金の移転ができます。

書面だけで贈与は可能ですが実際に役員借入金の贈与を行うかどうかは社長本人の相続財産の状況や会社の財務状況、後継者がいるかどうかなどに大きくかかわります。

トータルでみて実行したほうがよいかは改めて顧問税理士と相談してください。

贈与実行後は金額によっては贈与税の申告納税(債権の贈与を受けた側)が必要なことと、決算内訳書の表示変更も忘れないようにしましょう。

会社からお金を引き出す権利(債権)を贈与していますのでその点はお互いにきちんと認識したうえでの贈与実行が大切です。

勝手にお金を会社から引き出されると困る、資金繰りを圧迫しそう、受贈された側が会社の状況をよく理解していないというケースでは債権贈与しないことも検討しておいた方がよいです。

まとめ

役員借入金の贈与についてお伝えしてきました。贈与そのものは簡易に行えますが、その分注意点もありますので実行する前に顧問税理士とよく検討することをおすすめします。

会社の株式とあわせて上場していない企業の経営者兼オーナーの相続財産としては比較的高い比率のケースもあります。事前にできることがないか検討してみてください。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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