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電子書籍メインの同人作家の売上が高い要因

電子書籍メインの同人作家の売上が高い要因

同人作家のお客様の確定申告を対応している関係で、売上の種類があるか少しずつわかるようになってきました。

特にアダルトコンテンツ系の電子書籍を出している方の場合はヒットすると、紙の印刷物の雑誌や同人誌の売り上げをはるかに超える売り上げになることがあります。

売上の傾向について少し確認してみましょう。

目次

卸価格とは

FANZAやDLsiteなどで電子書籍を出している場合には、著作権の使用料や原稿料といった印税に近い形で報酬が支払われます。

DLsiteでは卸売価格という形で表記がされていますが、1000円のものを売るといくらが報酬という形になっています。

消費者に対して販売している価格が売り上げになるというわけではなく、卸売価格が作家本人の売り上げです。

差額については取り次ぎ料のような形で支払手数料という名目で引かれていることになります。

通常の一般書籍であれば、紙に印刷したものについては7%から8%、良くて10%というのが印税の相場らしいです。

電子書籍の場合にはDLsiteの卸売価格表によると1,100円の販売価格だと卸売価格は660円です。

紙の書籍で10%だとしても110円ですから価格差6倍です。これがいかにインパクトがあるかわかるでしょうか。

仮に1,100円、3,000部で紙の書籍でDLsiteとで比較すると紙の書籍は10%印税でも330,000円なのに対して、電子書籍だと1,980,000円です。

先日漫画家さんの無申告の件で金額を目にしましたが、印税や原稿料だけであの金額になるということよりも、二次利用印税などメディア展開しているケースにおいては特に売上が増えることはあり得ます。

電子書籍であればコンテンツの種類にもよるかと思いますが、結構な売り上げになることはままありますので、作品がヒットするように取り組んでいる同人作家さんも私のお客様には多いです。

注意点についても触れておきますと、住宅ローン等などの融資は収入が不安定なせいで通らないというケースはままあります。

3年から5年分を確定申告書を提出して所得もそれなりに多い(数千万円)にもかかわらず審査に通らないことがありますので、キャッシュでご自宅を購入するというケースも見かけます。

また住宅ローン控除は合計所得2,000万円超の方は対象になりませんので、そういう意味でも同人作家の方で、ヒット作が複数ある場合には住宅ローン控除が受けれない所得になっていることも。

一方で、いつまで作品が売れるかわからないという不安を抱えておられる作家さんも多いです。シリーズ物であれば複数作出すとある程度ストックビジネスのような形でで前作、前々作も合わせて売れるという事はよくあるそうなのですが、それでも自分の作品が売れなくなるかもしれないという恐怖感はあるそうです。

また、アダルトコンテンツの場合には作品作りに対するエネルギーが年をおうごとに枯渇していくというケースはあるようで、しっかり稼ぎきって、後は自分の好きなことをしたいと自分の好きな作品を書きたいとおっしゃっているのを見聞きします。

モデルケースで計算してみる

仮に月220万円の売上、経費が10%、青色申告という場合をモデルケースにして計算してみます。

  • 年間の売上は220万円×12=2,640万円
  • 経費は2,640万円×10%=264万円
  • 青色申告特別控除65万円
  • 文芸美術国保年間保険料38万円(45歳の場合)
  • 国民年金保険料20万円
  • 小規模企業共済84万円
  • 基礎控除48万円
  • 源泉所得税:月306,300円((2,000,000円-1,000,000円)×20.42%+102,100円)
  • 消費税:年1,200,000円(簡易課税50%で計算)

こうすると所得税は以下のように計算できます。

  • 2,640万円-264万円-65万円=2,311万円→合計所得金額
  • 38万円+20万円+84万円+48万円=190万円→所得控除金額
  • 2,311万円-190万円=2,121万円→課税所得金額
  • 21,210,000円×40%-2,796,000円=5,688,000円→所得税
  • 5,688,000円×102.1%=5,807,400円→復興特別所得税含む所得税
  • 5,807,400円-306,300円×12=2,131,800円→源泉所得税の精算 納付分

所得税納付2,131,800円

消費税納付1,200,000円

という計算になりました。

月の売上220万円がどれくらいの目安かというと卸価格660円であれば月の販売部数は3,337部で660円×3,337部=2,202,420円となります。

アベレージで220万円、年間2,640万円ですが一作出すと550万円売れる実績があって年間2冊出せるということなら新作2つで1,100万円です。

2,640万円-1,100万円=1,540万円となりこれを10か月で割ると154万円ですから部数にすると2,334部です。

今回は平均課税については検討していませんし、消費税の納税分を経費に入れずに試算していますがそれでも全く夢物語の数字にはなっていないかなと。

まとめ

電子書籍でアダルトコンテンツをリリースしている同人作家のかたは商業出版から仕事の場を変えてこられると売上がものすごく増えることがあります。

紙の書籍の印税と電子書籍の卸価格の比較を通じてご自身がどこで勝負するかは改めて考えてもらうのがよいですね。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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