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ひとり社長が役員報酬を支払ったときの経理処理

ひとり社長が役員報酬を支払ったときの経理処理

ひとり社長がご自身で記帳、経理をしている場合に高確率で間違っている可能性があるのが役員報酬絡みの処理です。

意外と手続き関係も多いので気を付けましょう。

目次

役員報酬の支払いでよくある間違い

役員報酬の支払いを自分の会社の口座から自分のプライベートの口座に振り込むわけです。

例えば300,000円の月額役員報酬の額面だとすると振込金額は236,982円みたいな感じになります。

なぜか。

社会保険料と所得税、住民税が控除されて支払われるからです。

基本的に法人組織で給与、役員報酬を支給する場合には社会保険の加入義務があります。お勤めの時の給与明細と同じくいわば勝手にひかれて手元に入ってくるわけですね。

一人社長になって自分宛てに役員報酬を振り込んでいる方はわかると思いますが、月末に会社の口座から社会保険料が引き落としされるもしくは支払います。

これは労使折半といって役員報酬(給与)から差し引いた社会保険料の預かり分と、会社が負担する金額(預かっている分とほぼ同じ金額)を足した金額が会社の口座から落ちるからです。

社会保険料は給与等から預かる分と、会社が支払う分で半分ずつ負担してねというルールになっています。

そのため役員報酬からは社会保険料がひかれて、さらにその引いた金額に対して所得税と住民税がひかれて手元に入ります。(役員の場合は雇用の概念がないため雇用保険料はなしです)

つまり額面300,000円の役員報酬であっても、社会保険料、所得税、住民税が引いて振り子込みをする必要があり、ここが間違う原因になります。

振り込んでいる金額で役員報酬を計上すると間違いなわけです。

本来は300,000円なのに、236,892円で計上しているというケースは本当によく見かけます。

役員報酬236,892円ではなく300,000円です、と説明すると振り込んでいる金額との差額の処理をどうするか、ということが問題になります。

以下は仮の数字です。

  • 役員報酬/普通預金 300,000円
  • 普通預金/預り金 50,008円(社会保険料)
  • 普通預金/預り金 8,100円(源泉所得税)
  • 普通預金/預り金 5,000円(住民税)

とすると

普通預金は相殺されますので支払いは300,000円-50,008円-8,100円-5,000円=236,892円となります。振込金額と一致しますね。

では預かった社会保険料などはどう処理するかを確認しておきます。

社会保険料、源泉所得税、住民税関係の処理

社会保険料は会社が負担する分と一緒に会社の口座から引き落とし等されます。

今回の例でいうと51,000円ぐらいが会社負担としましょう、すると支払い上はこうしたくなります。支払い金額は51,000円+50,008円=101,008円ですので

法定福利費/普通預金 101,008円

こうしたくなるのですが社会保険料の預かり分は預かったままの状態になってしまうので社会保険料が引き落としの時に以下の処理をします。

預り金/法定福利費 50,008円

こうしておくと預かった分がなくなります。支払いの時に預り金ではなく法定福利費で入力する方法もありますのでわかりやすい方法でやってください。

源泉所得税はというと年2回、半年ごとに1月、7月にまとめて支払いますので支払いを行うときには以下の処理をします。

預り金/普通預金 48,600円(8100円の半年分)

源泉所得税は役員報酬以外にも士業の支払いなどで発生しますのでまとめて処理をします、忘れないようにしましょう。

住民税については振込用紙が市区町村から届いているはずですので毎月10日までに前月分を納めます。納めた時の処理は以下のようになります。

預り金/普通預金 5,000円

こちらも半年分まとめて納付する処理ができますし、電子納税もeLtaxが使えると便利ですので興味があればトライしてみましょう。

まとめ

ご自身で経理をしている方の帳簿を拝見するとネックになるのが預り金処理が絡む部分のことが多いです。

預り処理ができればほかの経理処理もスムーズに行るようになるかと思いますので一つずつ確認しながら処理をしていきましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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