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制度会計と管理会計の違いと活用

管理会計に興味が出てきたら

中小企業は特に制度会計だけに取り組んでいる、というケースも多いかもしれませんが、少し踏み込んで管理会計を取り込んでみるとまた違った見方が事業においてもできてきます。

制度会計と管理会計のお話を少し書いてみます。

目次

制度会計と管理会計

制度会計というのは、決算、税務申告等のための会計でいわゆる日々の帳簿付けから仕訳帳、総勘定元帳を作成して行く流れを指します。

資産負債の状況を明らかにする貸借対照表、売上と経費をもとに利益や損失の計算をする損益計算書、株式等の持ち分の変動を計算する株主資本等変動計算書の3つの帳票を作成します。

事業をするにあたっては毎事業年度においてこれらを作成し、利益が出ていれば納税をする、ということを事業が続く限りはおこなっていきます。

一方で管理会計はというと、経営や事業を管理するため、経営に資する情報を作る会計です。

どこかに提出するものではなく自社のなか、自部門の中で完結させてよいので制度会計と比べると自由度が増します。

制度会計との対比でみるのであれば、資金繰りも制度会計ではなく管理会計に位置づけられるでしょう。

資金繰りそのものは制度会計においては意識しなくても上で挙げたような帳票を作成することができます。

会社の資金がうまく回るように借り入れをしたり、回収サイト・支払いサイトの見直しをしたりといったことは利益計算には直結しません。

原価計算なんかもひとつひとつの商材について細かく計算することは制度会計では求められませんので管理会計の位置づけと捉えています。

制度会計はカチッと堅いもの、管理会計はルールを自由に設定できるやわらかいイメージで捉えていただくとわかりやすいです。

制度会計はすでに起こった取引について細かく記録をしていく側面が強く、管理会計はこのあとどうしようかという行動に向けての数字を見ていく側面が強いので、同じ会計ではありますが役割が全く異なります。

管理会計の活用

管理会計は比較的自由なものですから興味があるものに取り組んでいくのがいいでしょう。

指標として確認するのもよいですがと例えば損益分岐点を確認してみると最低限の売上がこれぐらい必要だ、ということが見えてきます。

損益分岐点のお話はこちらから

毎月末の資金繰りが少し厳しく、資金繰りに奔走することがある、ということであれば簡易でもいいのでまずは資金繰り表を作ってみると改善点が見えてくるかもしれません。

借り入れをするのかどうするのか、という部分も数字で見ると判断がつきやすいでしょう。(資金繰りを確認しているから必ず借り入れができるというものではありませんが)

少なくともどのタイミングで資金繰りが厳しくなるかを見るには役に立つはずです。

例えばここから夏にかけての会社のイベントや税務のことを考えると、労働保険料の支払い、源泉所得税の納期特例による半年分の支払い、賞与の支払いなどが控えています

これらの資金需要がどれくらいあるのか確認しておくと安心につながります。

ほかにも安全性の指標である借入金月商倍率(借入金に対する月商の割合)であったり、債務償還年数(借入を何年で返済できる見込みかという指標)もあります。

自社の状況に合わせてこういう指標が分かれば具体的にアクションが起こせるのにな、と思ったらそういうものがないか確認して取り組んでみるとより行動につながりやすいです。

会社ごとの工夫があってもいい

管理会計は会社ごとの工夫があって良いと考えています。

例えば棚卸しひとつとっても制度会計上は期首と期末の在庫が分かれば利益計算ができますのでそれで十分です。

ただその状態だと期中、ある一定時点においての実際の原材料などの使用分が分かりません。

例えば5月に今後3か月で使用する原材料の使用をしたとしましょう。

制度会計上はその三か月の中に期末が入っていなければ5月の仕入れ分をすべて原材料費にしても問題はないです。

制度会計上は使った分を把握したほうがよいので、仮に5月に3,000万円の仕入れがあった場合には在庫棚卸を把握しておくと、5月は500、6月は1800、7月は700みたいな形で原材料の使用分を計算できます。

事業年度トータルで見ると利益の金額が変わらなくても、月々で見ると利益の金額が変わってくることになります。

なので例えばこの会社では月々の在庫管理、棚卸は月末に行っているけれど制度会計上には反映させず管理会計上のみで把握している、ということにしました。

これで問題があるかというと制度会計上は何ら問題がないので、このまま進めてもらって大丈夫です、ということになります。

もし金融機関に原材料の棚卸のことについて確認をされたら、制度会計に反映させることもよいでしょうし在庫棚卸の月末一覧をお見せするなど取り組んでいくることを何らかの形で示すのもよいです。

会社ごとにいろんな取り組みや工夫があってよいのが管理会計の良いところでもあり、楽しい部分でもあります。

まとめ

管理会計についてお伝えしてみましたがもし興味があることがあれば取り組んでみる、ぐらいの軽い気持ちで始めてもよいでしょう。必ずやらなければいけないものではないので。

もし堅苦しい指標が苦手ということであればまずは現預金の推移から確認してみてはどうでしょうか。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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