フリーランスの方の決算書を拝見していると福利厚生費や交際費に金額が計上されているケースがあります。
なんとなく福利厚生費や交際費としていることがあるようですので整理をしてみます。
福利厚生費とは
福利厚生費というワードを聞いたことがあるフリーランスの方も多いかと思いますが、読んで字のごとく福利厚生のための費用です。
ざっくりとした説明をすると「従業員が快適に仕事を続けられるための支出」となります。
キーワードとしては「従業員」というのがポイントです。
福利厚生費は正社員、従業員やアルバイト・パートのための支出となりますので例えば外注している人や会社に対する支出は該当しません。
漫画家のかたは外注でアシスタントさんに業務を依頼することがありますが、外注アシスタントさんへの福利厚生的な支出はどうでしょうか。
外注アシスタントさんは従業員として雇っているわけではありませんので福利厚生費とすることに対しては慎重になったほうがよいです。
雇用している人であっても福利厚生費としての経費計上には厳しい基準があります。(食費の現金補助支給は3,500円/月まで、それを超える場合は給与として課税など)
もし外注アシスタントさんが遅くまで仕事をしていることについて食費や銭湯の補助をしてあげたいなら、外注費をその分を加味した金額設定することを検討しましょう。
事業専従者がいる場合はどうでしょうか。
例えば家族が事業専従者として仕事をしているフリーランスの場合を考えてみますと、親族としての属性を持っている人が事業専従者になります。
事業専従者は家族、親族であることが前提ですのでその人に対する福利厚生費は従業員のためのものかと聞かれると区別が難しいのではないでしょうか。
従業員がいないひとりで事業をしているフリーランスや、法人の一人社長の場合でも福利厚生費の計上は難しいと考えておきましょう。
福利厚生費は従業員がいる場合を前提としています
交際費の範囲はとても狭い
福利厚生費について確認してみましたがでは交際費はどうでしょうか。
交際費の範囲ですが所得税のルールでは以下のように定められています。
必要経費に算入できる費用は業務と直接関係がある支出とされていて、交際費も例外ではありません。
つまり業務と直接関連していることが求められるということで法人の場合の交際費よりも狭い範囲だと考えられています。
その代わりと言ってはなんですが法人の場合の交際費上限は個人の場合にはありません。
フリーランスの場合の交際費はその支出が直接売り上げに必要だった、と説明できる必要があります。
こう考えるとやはり法人と比べると費用として計上できるものは少ない、範囲が狭いです。
交際費として計上できるものは限定的です
ところで会議費とはどういうもの?
ではここでもうひとつ経費の一つである会議費を確認してみましょう。
会議費とは文字通り会議のための費用で、例えば会議のために場所を借りた場合の支出や、会議打ち合わせのためのペットボトル飲料などが思い浮かびます。
もう少し範囲を広げてみますと、例えばフリーランスの方でカフェや喫茶店で仕事をすることもあるかと思います。
こういった場合のカフェ代はどうでしょうか?
いわゆる場所代と捉えてその支出を会議費とすることは良いと考えています。
ただし場所代ですので飲み物代に限るのが良いと当事務所では考えていてそのようにお客様にもお伝えしています。
テイクアウトはどうかというとただの飲食代じゃないか?と言われても反論しづらいかなと。
場所代のつもりで考えるとシンプルです。
また外でのカフェ代がすべて経費になるかというとそうではなく、前述のとおり仕事に関連しているかが前提です。
よってすべてが経費というわけではもちろんなく、プライベートのものも一定程度混ざっていると考えられます。
これはプライベートのもの、という場合にはそのレシートも取っておくことが望ましいです。
もし税務調査があったときには経費としての判断を問われることがありますが、会議費としてのカフェ代のレシートしか残っていないと、プライベートのものが混じっていないか?と疑われる可能性があります。
もしそうなった場合にはプライベートでのカフェ代のレシートがあると、「分けれています」ということが客観的に見せられるので心証としてはよくなるでしょう。
そんな心証なんかたいしたことないと思われるかもしれませんが調査官も人間ですので、細かいところが丁寧なほうが印象はよくなります。
少しの気遣いではありますが後々効いてくることもありますので外でカフェを利用する頻度が高い場合には検討してみてください。
少し手間ですがレシートを残しておきましょう
まとめ
経費としての勘定科目の選択は利益計算に大きな影響を及ぼしませんが、経費になるものかどうかと勘定科目が適切かどうかは別の問題です。
経費として適切かどうかを丁寧に確認しルール決めしていきましょう。
後で聞かれたときにきちんと説明できる、自分の判断根拠を示せるというのはとても大切です。