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確定申告しなくてよいケースのまとめ

申告しなくていいか の判断は意外と難しい

確定申告時期になりますと「自分は申告をしないといけないか」というご質問をいただくことがあります。

確かに申告をしなくていいならそのほうがよいですが、「申告をしたほうがいい方」も「申告をしないといけない方」も多いです。むしろ申告しなくていい人のほうが少ない印象です。

所得税の確定申告をしなくてもよいケースを整理しておきましょう。

 

目次

確定申告が必要でないケース

確定申告をしなくてもよい者ということでこういう状況の人は申告をしなくてもよいですよとされています。

 

①その年分の所得の合計額がすべての所得控除額の合計額よりも少ない者

②所得控除額の合計額を超える所得金額に対する所得税額が配当控除額及び年末調整にかかる住宅借入金等特別控除額の合計額以下の者

 

①については所得の合計額=合計所得金額がすべての所得控除額の合計額よりも少ないというのはここからこの金額を引いた場合です。ここがマイナスであれば申告は必要ないですよということ。

 

ただし申告は必要ないですが例えば青色申告をしている事業者で今年分は赤字が積みあがっていて損失になっている場合はどうかというと、「申告をしたほうがよい」です。

 

なぜかというと税金を計算するためではなくて損失を繰越すためです。

青色申告の場合には確定申告をすることで損失を繰越すことが可能です。この場合、仮に来年に利益が出ている場合には繰越してきた損失と相殺が可能です。3年間は損失を繰越すことができます。

 

なので赤字だから申告をしなくてもよいのですが申告はしたほうが良いケースが多いということです。

 

株式の売買や国内でのFX取引についても一定の場合には損失を繰越すことができますので、申告をしなくてもよいけどしたほうがいいと言えます。

 

②については所得税額が配当控除及び年末調整でされた住宅ローン控除の合計額よりも少ない場合ということで、税金がゼロになっている場合ということです。

 

税金が結果的にゼロなら申告をする必要がないわけですが、これがもし還付になる、ということでしたら「申告をしたほうがよい」ということになります。

 

還付申告は税務署は「申告をしてくださいよ」と指示したり奨めてくるわけではありませんので自発的に申告をしないと還付されません。

 

納めている税金が還付になる場合は税務署側から見ると「申告はしなくてもいいですよ」ということですが、こちらからみると還付されるものがある場合には「申告をしたほうがよい」ということになります。

 

還付申告をする手間や手間と還付される税金を天秤にかけて考えてみるとよいかもしれません。

 

ほかにも「確定申告をしなくてよい者」はいます。

①給与所得の方で収入金額が2,000万円以下、かつ次の㋑または㋺に該当する者
(一定の確定申告をしなければいけない者を除きます)

㋑給与等を1か所から受けている者で給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の者

㋺給与等を2か所以上から受けている者で次のⒶまたはⒷに該当する者

Ⓐ従たる給与等の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得との合計額が20万円以下の者

Ⓑ給与等の収入金額の合計額が所得控除(※)の合計額に150万円を加算した額以下の金額で、かつ、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の者

(※)社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除

給与を受け取っている場合を想定している内容となっています。

 

給与が2,000万円以下でほかに所得がない場合には申告をする必要がない(→年末調整で完結していると考えられるため)ということと、給与以外の所得が20万円以下の場合には申告が必要ないと規定されています。

 

ざっくりとですが年末調整を受けていて副業などをしていない、または副業しているけれど所得(利益)が20万円以下であれば申告の必要はないですよとのこと。

 

逆に言うと年末調整で控除されない所得控除(医療費控除など)があれば確定申告をすると還付申告の可能性が高いです。この場合も「申告をしなくてよい」けど「申告をしたほうがよい」と言えます。

 

給与所得者であっても上記に該当しない、副業で利益が20万円を超えている場合などは

 

年金を受給している方にも「申告をしなくてよい者」がいます。

その年中の源泉徴収対象の公的年金等の収入金額が400万円以下でその年の公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下の者

年金を受け取っているかたでその収入金額が400万円以下の場合にほかの所得金額が20万円以下の場合には申告の必要がないよ、ということを指しています。

 

迷ったら確認をしたほうがいい

確定申告をしなくていいケースを確認しましたがこれは所得税の場合という注意点があります。

 

住民税はほかの所得が20万円以下の場合のケースについては適用がありませんので、副業をしていて利益が出ている場合には所得税の申告は必要ないけど住民税の申告は必要、ということも起こり得ます。

 

損失を繰越したり、還付を受けたいという場合には申告は必要ないけど「申告をしたほうがいい」という状態です。

 

これらをパッと聞いただけ、見ただけで判断をするのは結構難しく、聞かれたときには「年末調整で完結しているなら申告はしなくていいかも」というにとどめています。

 

聞いてきた人が「申告をしなくていい」と「申告しなくていいけど申告したほうがいい」を区別しているかどうかもわかりません。

 

また「申告をしなくていい」かどうかは結果的に利益の計算をしないと判断できないことも多く、ふたを開けて中身を確かめないと何とも言えないケースが大半です。

 

なのでもし自分が申告をしなくていいかということを確認するのであれば、利益がでているなら所得税もしくは住民税の申告が必要、損失繰越等をするのであれば申告が必要、それ以外であれば申告はいらないかも、ぐらいの認識のほうがよいです。

 

利益が出ていて申告は必要なのに申告しないのは本来納めるべき税金を納めていないわけですので状況としてはとてもマズイです。

 

また申告をしたら扶養から外れてしまって結果的に損になるとかそんなことは副次的なことで申告が必要かどうかに影響しません。

 

利益があれば申告をして納税をするという基本的な流れを理解しつつ、自分が申告をしたほうがいいかどうかは改めて所得の内容などを確認して判断しましょう。

 

まとめ

申告をしなくてよいケースを確認してみましたが、申告しなくてもいいけど申告したほうがいい人というのもいます。

申告しなくていいかどうかの判断は結構難しいので、所得などを整理して当てはまるかどうかを確認しましょう。

利益が出ているのであれば基本的にいずれかの申告が必要になります。

 

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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