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相続後の不動産売却の注意点

相続後の不動産売却の注意点

相続した後の不動産の売却をご相談いただくことがありますが注意点がいくつかありますので整理しておきます。

目次

相続税申告がある場合

相続税申告がある場合には注意点が増えます。特に相続税計算上の特例として小規模宅地の特例を受けている場合には要注意です。

基本的に小規模宅地の特例の適用を受けた不動産については申告期限までの所有継続が必要です。

ひとつだけ例外なのが配偶者が特定居住用宅地として自宅を相続した場合には申告期限までの所有要件はありません。

他の場合には小規模宅地の特例を受けている不動産については申告期限までは売却しないようにしましょう。

万が一申告期限までに売却をしてしまうと小規模宅地の特例が受けられなくなり相続税への影響が大きいです。

この点は不動産業者も把握していなことがありますので申告書を提出した日ではなく申告期限までは所有しておく必要があることを確認しておきましょう。

相続税申告をした場合で納税額があるときにはその不動産にかかった相続税は売却時の取得費にプラスできます。

これを取得費加算といい、不動産にかかる相続税分を譲渡所得税の計算上考慮しましょうという措置です。

この取得費加算については期限があり、相続開始から3年10カ月以内に譲渡した不動産や有価証券などに適用できます。

併用可能な特例としては居住用の3000万円控除の特例などがありますが、相続空き家の特例は併用できませんので注意しましょう。

相続した時の価額、ではない

不動産の譲渡所得のご相談のときによく見聞きするのが、相続した不動産の原価のはなしです。

不動産の譲渡所得、つまりは利益を計算するときには売却対価-譲渡原価-諸経費で利益計算をします。

売却対価と諸経費(譲渡にかかった費用)は直近で売却しているのですぐにわかりますが、譲渡原価はどの価額を用いるか。

相続税評価額、つまり相続税計算上の相続した時の価額を使いたくなるのですがそうではありません。

相続した不動産についてはそのものだけではなく取得価額、その不動産を購入した時の価額を引き継ぐことになります。

50年前におじいさんが購入した不動産を父が相続し、子である自分が相続して子が売却したとすると50年前のおじいさんが購入した時の価額、ということです。

これは物価高騰などの影響を考慮しませんのでそのまんま購入した価額を引き継ぎます。

土地については上記の例でいうと値上がりしているケースが多いでしょうし、建物の場合は経過年数で減価償却という手続きで価値が減少します。

相続の時の価額で試算をしていると間違った内容ですので適切な内容で試算をすると思っていた以上に税金がかかりそう、ということはよくあります。

購入してきた価額がわからない場合には売却対価の5%を取得費としてよい、というルールがありますが、かなり利益が出る計算になってしまいますので出来れば契約書などをベースに取得価額を把握したいところです。

まとめ

不動産の譲渡所得の計算にはいろんな特例ルールがあり、相続したものを合わさって注意点が増加します。

特に慎重に判断が必要な部分ですので丁寧な対応と専門家への相談を欠かさないようにしましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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