こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
中小企業ではあるけれどひとりでやっている、という方も中にはいらっしゃいます。
フリーランスから法人成りした場合などは最初のうちはひとり社長(自分ひとりだけの会社の社長)でスタートする方も多いです。中には法人成りした後もおひとりで社長をやっていくひともいます。
個人事業主の場合とは中小企業、会社を作ると変わる部分がありますので今日はその点を解説します。
法人税(国税部分)
法人という組織で事業を運営していきますので法人に利益があれば法人税を納める必要があります。
事業年度は個人の場合には暦年(1月1日から12月31日)ですが、法人は任意で決められます。
1年でなくてもいいのですがその分決算の回数が増えますので手間も増えます。多くの場合は事業年度は1年です。1年間の損益を計算し利益について法人税が課されます。
スケジュールとしては事業年度末から2ヵ月以内が原則です。延長して1ヵ月延ばす場合もあります(申請し承認を得る必要があります)がいずれにせよ申告をして納税をしなければいけません。
8月決算法人であれば10月末までに申告し納税をします。
どれくらいの税金がかかるのかをザックリと把握しておくのも大切です。資金繰りなどにも影響します。
普通法人で資本金の額が300万円の京都市に本店がある会社、今期の利益金額が500万円という想定で計算をしてみます。(市区町村によって税率等が変わる部分があります。記事執筆時点での税率等を利用して試算しています)
まずは法人税を計算してみます。
法人税はいわゆる中小企業に該当する場合には年間利益800万円までは法人税率が15%となります。
利益金額500万円×15%=75万円の法人税額です。
続いて地方法人税を計算します。
地方法人税は法人税額をベースに計算をします。地方法人税の税率は10.3%です。
750,000円×10.3%=77,250円の地方法人税額となります。
国税はこれで計算できましたが法人の利益について地方税も課税されます。京都市で言うと法人府民税等と法人市民税です。こちらも見ておきます。
地方税(都道府県部分)
まず法人府民税等ですが、等と記載しているのは複数のものがあるからです。
法人府民税は京都府の場合は税率が1%です。これが法人税割の部分で法人税額に対して課税されます。もうひとつが法人の規模に応じて課税される均等割額があります。
法人税割額:750,000円×1%=7,500円
均等割額:資本金1,000万円以下の法人に該当するため20,000円
合計で27,500円です。
法人府民税と同じ括りで計算されるのが法人事業税と特別法人事業税です。こちらも都道府県に納める地方税です。
法人事業税の税率は、年間所得金額(利益金額)の金額に応じて課税されます。京都府の場合は年400万円以下の部分は3.5%、年400万円を超えて年800万円までの部分は5.3%です。
所得金額500万円の例に基づいて計算してみますと
年400万円までの部分:400万円×3.5%=140,000円
年400万円超800万円までの部分:(500万円-400万円)×5.3%=53,000円
合計で193,000円となります。
特別法人事業税は法人事業税の金額をベースに計算をします。この例で言うと直上の193,000円です。税率は37%となっています。(京都府の場合)
193,000円×37%=71,410円と計算できます。
地方税(市町村部分)
最後に法人市民税の計算をすれば法人税の計算が完了します。
法人市民税にも法人府民税と同じく法人税割額(法人税額をベースに計算する部分)と均等割部分(法人の規模に応じて計算する部分)があります。
法人税割額は京都市の場合には上記の例に基づくと6%、均等割は50,000円です。
法人税割額:750,000円×6%=45,000円
均等割額:50,000円
合計で95,000円という法人市民税が計算できました。
すべて合計すると以下のようになります。
法人税:750,000円
地方法人税:77,250円→77,200円
法人府民税:27,500円
法人事業税:193,000円
特別法人事業税:71,410円→71,400円
法人市民税:95,000円
(百円未満は切り捨てしています)
合計で1,214,100円の法人税関係の税額です。
予定納税などは加味していませんがもし利益金額が500万円だとすると他の要素は全く考慮せずに法人税を計算するとこれぐらいかかるということです。
このほか前事業年度に一定以上の法人税を支払っていれば前払い分が次の期が始まってから8か月目に納付することになります。消費税もありますが今回は割愛しております。
心とおカネの準備をしておく
一つ一つの税金をみていくと税率や税金計算の方法が違いますのでわかりづらいです。
上記の例でみると所得金額500万円に対しておよそ120万円の法人税等がかかっていますので24%となっています。実効税率と表現したりします。
これぐらいかかるんだなということを把握できれば心の準備とおカネの準備がしやすいのではないでしょうか。
税金の金額をある程度でもつかんでおくと突然言われるよりかは幾分か心の準備ができます。
税理士と打ち合わせをできていない場合には申告の段階でいくらですという通知が税理士から突然あるわけです。事前に知っておくのと知らないのとでは同じ金額でも感じ方が違うように思います。
またおカネの準備も当然必要です。
利益がでていれば税金を納める必要があるわけですので、決算から納税までのタイミングで大きい買い物、支出がある場合には資金繰りが大丈夫かは確認しましょう。
決算前に税理士とどんなことを打ち合わせするんですか?と聞かれることがはじめて決算を迎える社長さんから聞かれるのですがこういうこともお話の内容のひとつです。
できる節税策があるのであるか、それをやりたいかどうかのご意向の確認も必要です。
また納税申告にあたって決算を確定する必要があり株主総会の日取りであったり、その際に決める向こう一年間の役員報酬(定期同額給与)の金額の相談もあります。
もちろん決算にあたって必要な書類なども最初のうちはわからないこともあるでしょうし、そういった打ち合わせもします。
月次の延長というよりは会社にとっては一年の締めくくりですので普段とは少し勝手が違うこともありますがそういうものだと思っておきましょう。
会社が続く限りは必ず必要なことですので。
まとめ
はじめての法人税の申告にあたってどんなことを打ち合わせするのかというご質問をいただくことがあります。
法人税申告の流れやザっとした金額(今回の場合で言うと利益に対して25%)など心とおカネの準備をしておきます。
しっかりと税理士と打ち合わせをして備えておくのがいいでしょう。