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起業するときには日商簿記3級の勉強を合わせてやってみよう

簿記の知識

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

起業したりフリーランスになったりすると自分で経理や帳簿付けをしなければいけません。税理士に丸投げするのであれば自分でやる必要はないと思うかもしれませんが、私はそう考えていません。

 

会社や事業の数字を会計のルールに則ったカタチで見ることができると、事業に対して経営とは違った視点で見ることができます。

起業するときには日商簿記3級レベルの知識があると、数字の見え方、帳簿の付け方が大きく違ってきます。

 

目次

帳簿付けのための簿記の知識

まずは経理と帳簿付けの線引きをしてみましょう。

 

売上があったので請求書を発行する、仕入の請求書が届いたので支払をした、現金で支払いをする、こういったおカネに関する取引の行動そのものが経理とすると、こういった行動を仕訳という形で記録をするのが帳簿付けとなります。

 

売上があったので請求書を発行したら、(売掛金)/(売上)100,000円 といったように記録を付けていきます。

 

この帳簿付けの作業は決算(事業年度の成績(利益)を計算し、現在の資産負債を報告)をまとめ、申告をするために必要となります。

 

決算作業と申告作業をご自分で完結したい、費用的にまだ税理士に依頼できない、という場合もあるでしょう。

そういう場合には帳簿付けで使う会計ソフトの使い方も大事ですが、根底にある簿記(帳簿記録)の知識があるほうが役に立ちます。

 

オーソドックスな仕訳例を学び、取引からどういう仕訳を入力するかを知っているかどうかで決算の精度、正確性が大きく違ってきます。

 

売上について例を考えてみましょう。

 

掛売上があり請求書を発行したら以下のような仕訳となります。

(売掛金)100,000(売上)100,000

 

その後その売掛金が振込手数料を引いて99,450円が入金されたらどのように入力すれば良いでしょうか?

(普通預金)99,450/(売掛金)100,000

(手数料)   550

複合仕訳(2行以上の仕訳)が入力できるならこのようにしてもいいですし、一行ずつ入力するのであれば

(普通預金)100,000(売掛金)100,000

(手数料)   550(普通預金)   550

としてもよいです。(普通預金を相殺すると結果的に同じ内容になります)

 

こちら側で立て替えした支払実費があり、売上と別に請求した場合はどうでしょうか。

立替で実費を支出した時はこのように帳簿付けをします。

(立替金)1,650(現金)1,650

 

売上と一緒に請求した時は、請求書には立替金の分を記載しますが売上の仕訳は

(売掛金)20,000(売上)20,000

としたとします。

 

これが21,650円の入金になったときにはどのように帳簿付けをしますか?

(普通預金)21,650(売掛金)20,000

         (立替金)  1,650

となります。もし一行ずつ入力するなら

(普通預金)20,000(売掛金)20,000

(普通預金)  1,650(立替金)  1,650

となります。

 

このように売上ひとつとっても単純に売掛金が入金されるだけではなく手数料を引かれていたり立替金が関わってくることもあります。

 

源泉徴収の対象のお仕事だと源泉所得税が徴収されて入金になるケースもあります。源泉所得税のことを正しく理解して処理をしていないと、税金計算をする申告の際に源泉徴収されたものを精算できず損する可能性もあります。

 

全ての取引において上記のようなややこしさがあるわけではないですが、簿記のルールを知っているという土台があるとその上に事業を積み上げていきやすいのです。

 

事業の土台なので頑丈なほうがよいと思いませんか?

 

フリーランスの方が青色申告特別控除を受けようと思うと複式簿記に基づいた帳簿作成が要件となっています。もしご自分で帳簿付けを完結させるということでしたら簿記の知識はないよりあったほうが断然によいです。

 

別に試験を受けなければいけないわけではなく、テキストがたくさん市販されているので、これがイイなと思うものがあればそれを使ってみればよいでしょう。

事業の現在地をみるための簿記の知識

現在の事業の利益も大切ですが、資産負債の現在地を確認しておくことも大切です。

 

資金繰りの話にも通ずるのですが、いつおカネが入ってきて、いついくら払う必要があるのか。その時におカネがいまどれくらいあって、いつの時点でいくらぐらいになっているのか。

 

売上があってもおカネが回らなければ黒字倒産ということになりかねませんし、赤字が続いて債務超過なら手を打たなければなりません。

融資を受けるかどうかの判断も、現在の資産負債の状況も含めて数字という客観的な情報がベースになります。

 

顧問先の社長から連絡があって、融資を受けるために試算表がいる、早くしてくれ、資料は今から渡す、明日データをくれ、みたいなことが発生することがあります。

 

これは試算表といういわば月次決算について自分でコントロールできていないことの表れですが、資料をもらったからといって明日試算表が出来上がるほど簡単なものではないです。

 

簿記に関する知識があれば正確な試算表を作成することの大変さも、タイムリーでもらえることのありがたさも両方を感じるハズです。

 

一朝一夕に、エイヤーとやって一瞬で試算表や決算書ができるわけではなく、一つ一つの取引を丁寧に帳簿付けしていくその積み重ねの先に出来上がるものなのです。

 

この数字の積み重ねは正確であればあるほど有用ですし、客観性も増します。月次試算表をタイムリーに手にすることで今月、今週、明日、今日、何をするべきか経営判断に資する情報と思えるかどうかは大きな違いです。

 

まとめ

簿記の知識があると帳簿付けや色んな判断に有用というのが少し感じていただけたのではないでしょうか。

 

簿記の知識はないよりかあったほうが事業を見る視点が大きく変わります。ぜひ一度勉強してみることをお勧めしています。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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