こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
先日、書面添付制度について当事務所の考え方を書きました。
実際のところ、事務所の運営方針、所長先生の考え方に依拠しますので書面添付をしたことがない、という税理士さんもいらっしゃるかと思います。
セミナーでも添付書面を書いたことがあるかお伺いすることがありますが、毎回何人かの方は法人も含めて全く経験がない、という方もいらっしゃいます。
書面添付制度を活用したいなと考えたときにどこから書面添付の書面そのものを持ってくるかなど解説します。
まず書面を準備
書面添付制度を採用する際には定められた書面を準備します。
書面添付(税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面(第9号様式))の一枚目は以下のような内容になっています。
ちなみにですが、こちらの書面を出す際には税務代理権限証書(税理士法30条規程)を併せて提出する必要があります。
会計ソフトや税務ソフトによっては書面添付の書面そのものが作成機能として備わっていないことがあるそうです。
そういうときには、税理士会HPの税理士会員向けページから必要に応じて取得しましょう。
近畿税理士会だと「税理士業務に役立つ資料室」というところから「書面添付制度」にアクセスしてもらえれば、書面添付に使用する書面がPDF、Word、Excelの各種様式で準備されています。
税理士会の会員向けサイトには書面添付マニュアルや事務運営指針もアップされていますので取り組まれる際には一読しておくと参考になります。
近畿税理士会では「書面添付制度に係る相談窓口」も設置されており、日税連と国税庁が書面添付制度の定着・普及に力を入れていることも垣間見えます。
実際の運用方法
相続税申告については「相続税申告に係る添付書面用チェックシート<令和元年分以降用>(任意)」というものがアップされており、当事務所でもこちらのチェックシートを活用しています。
申告書を作成するうえでの確認事項を補足的にまとめているものです。
実際に書面添付の内容を書く際には、各種研修なども参考にしつつ、財産の確認状況や財産評価で検討した内容などを記載することになります。
特に相続税申告の税務調査において指摘される名義財産関係について、確認できたことがあれば記載しています。
また、名義預金として実際に計上しているものがある場合にはどういう経緯で名義預金として形成されたかなど、申告書だけを見ても分からないであろう内容に重点を置いています。
税理士本人が作成した申告書の内容を補足的に説明するつもりで、もし自分が初見でこの申告書を見たらどういう点を聞きたくなるだろうか、という想像力も大事です。
内容それ自体は被相続人の状況に合わせて変わりますので思うように書けばよいとは思います。
税目ごとの添付書面記載事例集もアップされているので参考にしてトライをしてみてはいかがでしょうか。
書面添付の割合
では実際に書面添付されている割合がどれくらいあるか確認してみましょう。
平成30事務年度国税庁実績評価書という公表されている資料によると、
年度 | H26年度 | H27年度 | H28年度 | H29年度 | H30年度 |
所得税 | 1.1% | 1.2% | 1.3% | 1.3% | 1.4% |
相続税 | 11.8% | 13.6% | 15.6% | 18.2% | 20.1% |
法人税 | 8.4% | 8.6% | 8.8% | 9.1% | 9.5% |
とされています。
※上記の割合は税理士が関与した申告書の件数のうち、書面添付があったものの件数の割合です。
一番高い割合の相続税申告においても20.1%ですので、5件に1件。法人税申告においても9.5%ですので、およそ10件に1件。
普及定着にはまだまだ時間がかかりそうですが、取り組んでいる税理士が少ないので取り組んでもられば違いにもなり得ると当事務所では考えています。
まとめ
書面添付制度については税理士によっても賛否があるようですが、興味があれば取り組んでみるのも違いのひとつになり得ます。
お客様の安心のためにも当事務所では相続税申告に限らず、法人税、所得税(事業所得、不動産の譲渡所得)について書面添付制度を積極的に採用しています。