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報酬が源泉徴収されているフリーランスは確定申告で精算しよう

理由が分かればポジティブに捉えられる

フリーランスの方で会社を相手に仕事をしている場合、請求金額や報酬から源泉所得税の天引きが必要なケースがあります。

業務にもよるのですが、源泉所得税を天引きされているフリーランスの場合は税金を前払いしている形になります。

この前払いしている税金を清算するのが確定申告ということを解説します。

 

目次

源泉所得税は売上にかかっている

仮にあなたがWebデザインのお仕事をしている場合を考えてみましょう。

 

HPやWebサイトを作る仕事の中の一工程としてのWebデザインをフリーランスとして法人から受注して納めているとします。

 

デザインのお仕事は源泉徴収を相手=お仕事の発注者にしてもらう必要がある報酬に該当しますのでフリーランスのあなたは売上に対して源泉徴収をしてもらわなければなりません。

源泉徴収についてはこちらの記事を読んでみてください。

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お仕事の相手が全部会社=法人で、年間の売上が600万円あったとします。

源泉所得税は相手からの支払いがある時点で天引きされていますので、額面は600万円だとしても入金は600万円ではありません。

報酬を請求する都度、源泉所得税を天引きしてもらう必要がありますが、事例として簡略化するために年間売上に対して計算しています。

 

月の売上が50万円、これを年間通して継続して受注できたとしましょう。

源泉所得税の計算をしてみると(消費税は割愛)

500,000円×10.21%(100万円以下は10.21%)=51,050円

この51,050円が毎月の売上から差し引かれてフリーランスのあなたの手元に入金されるということです。

 

差し引かれた源泉所得税51,050円は差し引いたあなたのクライアントがあなたの代わりに税務署に納めます。

 

コレが年間になるので51,050円×12ヵ月=612,600円となります。つまり、前払いで年間でいうと612,600円の所得税を納めている形になります。

 

でもここで一つ疑問を持ってほしいのですが、この所得税612,600円は売上に対して課税されています。

でも所得税は売上に対してではなくて利益に対して課税されるはずですよね?

 

ここで登場するのが確定申告です。確定申告をすると税金がいくらになるか簡単な例を使って計算してみましょう。

確定申告で利益と税金を計算して精算

確定申告を理解するため確定申告を以下のステップに分解してみましょう。

 

  1. 各種所得の計算をする
  2. 利益の計算をする
  3. 控除項目を差し引いて課税価格を計算する
  4. 税率をかけて税金を計算する
  5. 本来の所得税と前払いの所得税を精算する

 

この5ステップで考えると確定申告は分かりやすくなります。

 

①各種所得の計算をする

各種所得の計算をするは今回は年間600万円の売上と源泉所得税612,600円が既に計算されています。

 

売上と源泉所得税を全部かき集めてきましょう。

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②利益の計算をする

売上-経費=利益という計算構造になっています。経費については売上を得るために必要だった支出となります。

 

今回は簡略化するために経費は300万円だったと仮定しましょう。こちらもこまめに経理しているとすぐに集計できます。

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売上600万円に対して経費が300万円ですから、差し引きして利益が300万円となりました。

 

③控除項目を差し引いて課税価格を計算する

経費以外で支出しているものもありますよね。

国民健康保険料、国民年金保険料、生命保険料、ふるさと納税、医療費などがそうです。

 

利益計算上は経費にならないけれど、税金を計算するうえでは差し引ける項目というのが所得税にはいくつかあります。

各種の控除項目については別記事でご紹介します。

 

仮に控除項目が全部で150万円だったとしましょう。

利益からこの控除項目を差引しますので、300万円-150万円=150万円が課税価格という税金計算の対象となる金額となります。

 

④税率をかけて税金の計算をする

税率を掛ける対象の金額である課税価格の計算ができましたので、いよいよ税金の計算です。

 

150万円の課税価格の場合(平成30年分と仮定して)

150万円×5%=75,000円(所得税額)

75,000円×2.1%=1,575円(復興特別所得税)

75,000円+1,575円=76,575円が納めるべき所得税として計算されました。

 

これでめでたしめでたし、とはなりません。ごくまれにこの算出された76,575円の源泉所得税を納めてしまう方がいらっしゃいます。

何か忘れていませんか?そう、前払いの源泉所得税がありますよね?それを精算しなければなりません。

 

本来の所得税と前払いの所得税を精算する

前払いの所得税が売り上げに対して課税されていましたことを思い出しましょう。

金額は612,600円でしたよね、随分と大きい金額です。

確認ですがフリーランスのあなたは先のこの税金の金額を前払いで差引されています。

精算しない手はありませんね?

 

④で計算できた所得税76,575円-前払いしている源泉所得税612,600円=△536,025円

この536,025円が還付金額になります。

 

この一連の流れが確定申告書に表現されるとこうなります。(簡略化しています)

確定申告書第一表

まとめ

[box03 title=”本記事のまとめ”]
  1. 報酬に関する源泉所得税は売上に対してかかっている
  2. 利益・課税価格を計算して本来の税金を計算=確定申告
  3. 前払いの税金と本来の税金を精算する必要がある
[/box03]

確定申告に対してあまりポジティブなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

報酬に対する源泉所得税は売上に課税されているので、それを利益に課税するように精算する作業が確定申告、というイメージでよいと思います。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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