京都の税理士ジンノです。
知り合いの事業者から顧問税理士を変えたいんだけど、とご相談されることがあります。(私に、ではないのが痛いところですが)
またほかの士業さんから顧問先、関与先が税理士を変えたいと言っているんですが、という内々のご相談もあります。
顧問税理士を変えるというのはお客様にとってもハードルが高い場合が多いです。いきなり変えようとすると反発されるかもしれません。
顧問税理士を変えるその前に、こういうことを考えてみてはどうでしょう、というご提案を現役の税理士が解説します。
顧問税理士とのお付き合いのキッカケ
顧問税理士とのお付き合いの多くが
[box03 title=”お付き合いのキッカケ”]- 知り合いからのご紹介
- 開業時の融資支援からセットで
- 先代から継続して
というパターンに大体おさまります。各パターンについて掘り下げてみましょう。
知り合いからのご紹介
中小企業の経営者やフリーランスの個人事業主の場合、横のつながりを大切にされる方が多いです。
いわゆる同業者団体に加入しておられたり、知り合いの社長さん同士で趣味のゴルフをしたり、というのはよくありますよね。ご自身が経営者であれば友人・知人が経営者、というのはある意味自然なことです。
そのお付き合いの中で「今の顧問税理士がとてもよくしてくれる」というお話が出ると、じゃあ紹介してよ、という流れにもなるでしょう。
でも、その知り合いの社長さんにとってイイ税理士さんが、あなたにとってイイ税理士さんである、とは必ずしも限りませんよね。
開業時の融資支援からセットで
ご自身で開業される場合、融資を金融機関から受けることもあるでしょう。
潤沢な手元資金があれば別ですが、開業・起業には勢いが必要なこともあるので、おカネを貯める時間よりも勢いを優先して、おカネのサポートを受けて起業される方も多いです。
一般的に金融機関から融資を受ける際には、事業計画書とよばれる事業の見通しや計画、目的を作成して審査してもらう必要があります。
事業計画書の作成は初めて起業される方の多くが戸惑います。というのも専門用語が出てきたり、数字にあまり強くない方もいらっしゃるからです。そこで融資のサポートをしてくれる専門家を探します。(場合によっては金融機関からのご紹介がある場合も)
ここで登場するのが税理士ですが、融資のサポートをある程度格安でする代わりに顧問契約がセットになっているケースが多いです。
おカネを借りるサポートをする代わりに顧問契約を、というのは税理士側の戦略でもありますし、金融機関からしても顧問税理士がいるというのは安心材料です。
でも普段、税理士とお付き合いのない方がその税理士が自分と相性の良い税理士か、ご自分が税理士に求めることを今後もやってくれるのか、というのは未知数です。
当初は融資のサポートという税理士に求めることが明確でしたが、事業を継続していくことで税理士に求めることは変わってくるでしょう。
先代から継続して
先代から事業を引き継いだ社長さんの場合、先代とお付き合いの深い顧問税理士がいることでしょう。
ともすると先代と同世代の税理士であれば、事業を引き継いだ社長さんからするとご自分の親世代の税理士、というのはよくある話です。
せっかく事業を引き継いでこれから頑張っていこうと、お困りごとを相談をしても質問に答えてくれなかったり、ともすると怒られたりするかもしれません。
そうなると顧問税理士ではあるのですが、先代の意向をくんだ目の上のたん瘤に思えるかもしれません。
先代にとっては二人三脚で事業を大きくしてきて継続してきた大切なパートナーである顧問税理士であっても、後継者にとってはそうではない可能性があります。
それは先代と後継者の考え方や、経営者として顧問税理士に求めること、相談したいことが違うからです。世代間の考え方の違いというのも現実としてはあります。
先代にとってイイ税理士が後継者にとってもイイ税理士である、とは必ずしも限りません。
顧問税理士に求めることを整理しましょう
顧問税理士に求めることは何でしょうか?ここがかなりあいまいなケースが実はかなり多いです。税理士を変える前にここをまずは考えてみましょう。
税理士にどんなことを求めるのかでお付き合いの仕方も変わりますし、それが上手く伝わっていないだけかもしれません。
税理士に求めることの代表的な例としては
[box03 title=”税理士に求めることの代表例”]- とにかく記帳代行を安くしてくれたらいい、アドバイス等は不要
- 定期的に税理士と話をして第三者の視点を聞きたい
- 社長自身が数字を活用して、いい経営判断ができるようになりたい
- 経理部も社長も経理業務を効率化して時間を作りたい
- 事業承継の相談をしたい
このようなご要望があるかなと思いますが、これ以外にもあるでしょう。
ご自分が何を税理士に何を求めるかを整理しておくことで、税理士に対する見方が変わります。
そして税理士に求めることが整理できたら、ぜひやっていただきたいことがあります。それは今の顧問税理士にその要望を伝える、ということです。
今の顧問税理士さんにその要望を伝えてみましょう
せっかくご要望が整理できたのですから、その要望を今の顧問税理士に伝えましょう。
見方によってはクレームという側面もあるでしょうが、こんなことをしてほしいんだけど、というのは伝えて損はないです。いきなり顧問契約を解除しますと言われると税理士側も反発する可能性があります。
要望を伝えたうえで改善されるのか、それとも反発されるのか、様子を見てはどうでしょうか。
ひょっとすると関わり方が変わって、良い関係を構築できるんじゃないでしょうか。まずはそこを期待してみましょう。
顧問先から要望があった場合、税理士にとっても顧客の要望に応えるチャンスですから何かしらアクションをすることが多いと思います。
それでもダメな時は
ご要望を伝えて協力できることを協力しても改善されない場合も残念ですがあるでしょう。
例えば3か月なり半年なり、様子を見て改善される兆しがなければ、ここでいよいよ税理士を変えることを具体的に検討しましょう。
税理士に求めることが整理されていますから、税理士を探す視点も整理されています。今はインターネットでも税理士を探せる時代ですし、地元の税理士何人かに会って話を聞いてみるのもオススメです。
あとは会社に関わる他の士業、社労士や司法書士への相談も有効です。士業同士でいいネットワークがあることも多いので、親身になって紹介してくれたり探してくれるかもしれません。
あともう一つ大事なことですが、顧問税理士を変える場合には事業関係の書類がお手元に残っているか確認しましょう。
特に、決算書、申告書・各種届出の控え、総勘定元帳、領収書・請求書等、これらは基本的に事業者が保管しているものです。
逆を返すとこれらが一切ないとあとの税理士が相当に困ることになりますし、ないとお引き受けできない可能性も高いのでご注意ください。
あれ、見当たらないぞ、ということであれば顧問税理士に必ず確認しましょう。
まとめ
[box03 title=”税理士を変える前にやってみてほしいこと”]- 税理士に求めることを整理する
- 整理した要望を税理士に伝える
- 改善されるか様子を見てみる
- ダメなら次の税理士を探す
- 申告書等の書類が手元にあるか確認しておく
段階を踏んでおかないといざという時に税理士と揉めることになりかねません。
特に税理士に求めることを整理しておくと、もし次の税理士を探すことになっても探しやすいです。それは税理士に関与してもらう目的がハッキリしているからです。
あと資料の確認もお忘れなく。
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