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従業員から役員に代わるときの注意点

従業員から役員に代わるときの注意点

法人において従業員から役員に身分が変わるということはあります。ものすごく頻繁にあるというわけではないですが注意点がいくつかありますのでお伝えしておきます。

目次

立場と契約の違い

役員は法人と雇用の関係にあるわけではなく、委任関係にあるとされています。

つまり従業員の時は雇用関係があり、いろんな法律やルールに守られている面があったのですが、役員に就任すると委任関係になりますのでそういったルールの適用がありません。

具体的にいうと、労働基準法の枠外になることや雇用保険料の徴収等もなくなるというわけです。

そのため今まで従業員の立場だった場合には、住宅手当や残業手当などが各種あったと思うのですが、それらがなくなることも意味します。

そういう面を考慮した上で役員報酬をいくらにするかという決定が必要です。

雇用保険の対象外になりますので、雇用保険の資格喪失の手続きをして、給与計算の仕方も変わりますので、その点も注意しましょう。

役員と法人の関係と注意点

給料が役員報酬に変わることで、法人税法上の役員報酬の対象として注意が必要になってきます。

役員報酬は中小企業であれば定期同額給与という毎月決まった金額の報酬と、場合によっては事前確定届出給与による支給が考えられます。

毎月決まった分=定期同額給与から外れた役員報酬や利益供与は損金の額に入らない、つまり税金計算上経費になりません。

特に役員への経済的な利益の供与は会社や役員本人がその状態になっていることに気が付いていないことがあるためより一層注意が必要です。

手続き的なものとしては、役員就任の際に株主総会等と開いて役員の就任の承認をします。これは登記事項ですので、司法書士に依頼して役員登記をしてもらう必要があります。

定期同額給与も事前確定届出給与も事前に株主総会等で金額を決定するということも必要です。

また従業員から役員になったときには退職金を支給するかどうかを決めます。

雇用関係から委任関係に変わりますので、従業員を一旦退職して役員に就任するという形を取るわけです。

そのため従業員退職の分の退職金を支給するかどうか決定する必要があります。

同族会社で親族で役員が構成されている場合や、親族だけで運営しているという場合は支給しないケースもあるようですし、退職金規定に基づいて支給するケースもあります。

まとめ

従業員から役員に切り替わるときにはいろいろと手続きがありますが、手続きそのものはそれほど難易度が高いわけではなく一回やれば済むものばかりです。

ただ従業員の時の給与と役員の役員報酬は意味合いと取扱いが変わるのでその部分は特に意識しておいた方がよいでしょう。

役員報酬の決定プロセスや取扱いは税務調査でもチェックが重点的に行われる部分ですからより慎重・適切な処理ができるようにケアしておくのが望ましいです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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