会社の資産を私物化していると場合によっては業務上横領になりかねませんが、税務上において会社の資産を役員に贈与することはデメリットが大きいです。確認してみましょう。
社有車の処理
社有車があるというのは会社の運営上問題ないですが以下のような使用状況だと問題があります。
- 業務に使っていない
- 会社に関係のない人が使っている
- 業務上の必要性がない
これは従業員、役員問わずです。
業務に使っていないというのは文字通り、会社で購入した車だけれどプライベートのために使用している、その割合がとても高い場合をいいます。
会社の資産をプライベートで使っているわけですから経費かどうかというよりも会社の運営上問題があるでしょう。
あなたが社長だとして従業員が社有車をプライベートでしか使っていないと知ったらどう考えますか。
短気な社長なら瞬間的に激怒するかもしれません。
二つ目の会社に関係のない人が使っている、というのはイメージしづらいかもしれませんが以下のようなケースです。
社長や会長など役員の配偶者が社有車を使っている、という形です。
そんなことあるの?と思うかもしれませんが現実問題として中小企業だとときどきあります。
これも経費かどうかという以前に業務使用していないわけですから会社の運営上まずいです。
あとは業務上必要性がない、という場合も該当しますがこれは例えば業務を行うのに車が必要ないケースです。
プログラミング業を営むひとり社長(従業員がおらず社長一人で運営している中小企業の社長)が業務のために社有車が必要かどうか。
プライベートで使っている可能性が高いのではないか?そういう風に税務調査で見られるかもしれません。
業務関連性というのはこうして〇〇だったことにしておく、ということがある意味簡単に取り繕うことができますが、反対に簡単に見破られます。
普通に考えたらおかしいことがわからない時点で税務調査があったときにぼろがでてすぐにばれます。
もし仮に社有車を役員に無償で譲渡、つまり贈与した場合はどうなるでしょうか。
法人側、個人側の処理
役員にタダで何かを渡す、というのは法人から見ると単なる譲渡に見えますが役員が相手というのがポイントです。
役員報酬は法人税のルールで経費になる部分の規定が厳しくされています。なぜかというとオーナー=社長の中小企業の場合、このルールを厳しくしておかないと役員報酬で会社の利益をいくらでも操作できるからです。
役員に対する会社資産の贈与は会社側からすると役員に対する経済的な利益供与になると考えられますので役員報酬に該当します。
そうなると役員報酬の経費になるルールから外れる役員報酬ですので法人税の計算上は経費にならず法人税が増えます。損金不算入といって会計上は経費になっていても税金計算上は損金にならないのです。
また個人側も無償で贈与されていますが役員賞与として取り扱われていますから給与課税されます。
税務調査で否認されたりすると法人税、所得税、源泉所得税のトリプルパンチになり、そこに消費税の話が加わってくる可能性もありますのでやはり注意が必要です。
課税上は法人から役員への会社資産の贈与や低額譲渡はデメリットのほうが多くありますのでお勧めしません。
やむを得ずというときの選択肢にはなりますが少なくとも贈与してしまうと法人個人ともに得をしたということはないですから最終的な選択になります。
全く価値がなくなってしまった車両ということであればまだ検討の余地はありますが
まとめ
あまりないケースですが無意識に行っているケースもあり注意が必要です。とくに役員の配偶者で従業員でもないかたが会社資産を使っている状況はよくないというかまずすぎる状況ですので避けるべきです。
そのうえで会社資産を役員が取得したいというのであれば適切な価格でのやり取りが望ましいでしょう。