京都の若ハゲ税理士ジンノです。
フリーランスの方、ひとり社長の方からよくいただくご相談で、「〇〇の支出はどの勘定科目ですか?」というものがあります。
勘定科目はこれじゃないとダメ!という決まりは実はないんですが、でも決めておいたほうがイイんですね。理由を解説します。
会計上の勘定科目は自由でいいけど
勘定科目(かんじょうかもく)とは、会計や経理をする上での資産や負債、収入や支出を分類するための項目の呼び名です。分類コードのようなイメージでよいです。
特に損益計算書(利益を計算する書類)においては、適切な利益計算ができていれば勘定科目についてとやかく言われることはありません。
極端な言い方をすると適切な利益計算ができているならば、全ての費用を「雑費」という勘定科目で処理してもよいわけです。
所得税の確定申告を例にしてみると青色申告決算書にはたくさんの経費項目がすでにデフォルトで記載されています。
図でいうと黄色の部分ですね。
黄色の部分の下に空欄がいくつかありますが、その部分にはご自身でこの費用については分類しておきたいなという項目があれば作って記載することが可能です。
この黄色の項目を使わずに最後に記載されている雑費(下の図で緑の部分)を使ってもいいっちゃいいです。
決めておいたほうがイイ理由
では、同じ利益の決算書があったとして、経費項目がキチンと分類されている決算書と、雑費にすべてがまとめられている決算書があったとして、どちらの方が印象が良いでしょうか?
例えばあなたが事業に関して融資を受けている場合、決算書や申告書を定期的に金融機関に提出する必要があります。
ふたつの決算書のどちらが、より適切に利益計算ができている印象を与えるでしょうか。
もっというと雑費勘定一本で利益計算されている決算書を見て、相手がどう感じるか。
もし私が金融機関の担当者であれば「大丈夫なんだろうか?」と不安になります。
同じことが対税務署にも言えて、雑費勘定一本で利益計算されている決算書を見て、ちゃんと計算できているのかな?と思われる可能性は無きにしも非ずです。
以上は対外的な話しですが、ご自身の事業運営においても雑費のみで経理していると不都合が生じる可能性があります。
もしあなたが事業計画を作っている場合、予算を組んで実際との差があるかどうかチェックをしたほうがより事業計画達成に向けて効果的です。
その際に勘定科目を設定して経費を分類しておかないと、雑費ひとつでは比較対象がおおざっぱすぎて何をどう削るのか、という判断ができません。
またご自身で経理していく際には漏れがないか確認をすることになります。
地代家賃を例にして考えてみましょう。
毎月定期的に計上されるであろう地代家賃ですが、月ごとに経理ができているかチェックした時、雑費にそのほかの項目と一緒くたにして計上されているよりも、地代家賃として計上されているほうが漏れに気が付きやすくなります。
極端に表現すると
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | |
雑費 | 70,000 | 70,000 | 70,000 | 70,000 | 70,000 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | |
地代家賃 | 50,000 | 50,000 | 0 | 50,000 | 50,000 |
雑費 | 20,000 | 20,000 | 70,000 | 20,000 | 20,000 |
何かの原因で雑費が70,000円計上されていた場合、地代家賃が雑費に含まれているのかな?それともただ計上漏れなのかな?というチェックがしやすくなります。
雑費だけで経費を計上していると、チェック機能がうまく働かないことが想定されます。
細かくしすぎると経理・記帳の手間が増えてしまうのでオススメはしませんが、少なくとも決算書に既に記載されている経費の項目は分類してみてはいかがでしょうか。
その際には自分なりのルールを決めておきましょう。切手代は消耗品でも通信費でも、ご自身が後でサラッと見返したときに、分かればそれで良いでしょう。
パターンを決めておけば悩むことも少なくなりますし、経理・記帳作業の効率化の一歩として時間節約になります。
まとめ
[box03 title=”本記事のまとめ”]- 勘定科目の設定は自由だけれどルールを決めておきましょう
- 決算書は外向けに見せることがあることを念頭に
- チェック機能のためにもある程度の分類を
勘定科目で迷い始めるとインターネットで調べたりして結構時間が経っていることがあります。時間節約も兼ねて一度ルールを決めておくことをオススメしています。