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非公開裁決 関裁(諸)令6第72号 裁決書

相続税対策による不動産の取得について総則6項が適用された事案の非公開裁決を情報公開請求で取得しましたので内容を確認してみます。

目次

裁決書等

非公開裁決 関裁(諸)令6第72号 裁決書

非公開裁決 関裁(諸)令6第72号 裁決書 別表

非公開裁決 関裁(諸)令6第72号 裁決書 別紙1-2

非公開裁決 関裁(諸)令6第72号 裁決書 別紙3 各鑑定評価の要旨

基本情報

以下は生成AIに資料を読み取らせてまとめた事案の基本情報と争点などです。

事案の基本情報

項目内容
事件番号関裁(諸)令6第72号
裁決日令和7年6月18日
主文審査請求をいずれも棄却
税目相続税(財産評価基本通達6項=総則6項の適用事案)
請求人長男(総代)・二女・孫(長男の子で被相続人の養子)の3名

事実関係の流れ

被相続人は平成24年11月〜平成27年9月にかけて17件の賃貸用不動産(別表1-1の順号1〜17)の売買契約・工事請負契約を締結し、銀行・信金からの借入金を原資に平成25年1月〜平成28年3月に取得しました。取得総額は約20億円、借入れは総額約21億円です。相続開始日時点で、これら不動産の通達評価額は合計7.9億円、借入残高は合計18.9億円で、差額約11億円が他の相続財産を圧縮する構造になっていました。

その後の展開がこの事案の特徴的なところです。

  1. 当初申告(法定申告期限内)― 全不動産を通達評価額で申告
  2. 調査(令和3年9月30日開始)― 国税庁長官が評価通達6の適用を指示、国税局依頼の鑑定士が鑑定評価
  3. 修正申告(令和5年6月12日)― 請求人らは指摘を受けた物件のうち一部のみ(不動産1〜4、建物10、建物13=「修正対象不動産」)を鑑定評価額に改め、残り(建物5〜9、11、12、14〜17=「更正対象建物」)は通達評価額のまま据え置き
  4. 原処分
    • 令和5年7月6日:修正申告に対する過少申告加算税の賦課決定処分1
    • 令和5年7月7日:更正対象建物について更正処分+賦課決定処分2
  5. 更正の請求(令和5年12月26日)― 一転して、鑑定評価額で申告した分も含め全部を通達評価額に戻すよう請求 → 令和6年3月11日、更正をすべき理由がない旨の通知処分

なお、修正対象不動産と更正対象建物の違いは取得経緯です。前者は被相続人が土地建物ごと購入した物件等であるのに対し、後者は先祖代々の土地(昭和56年に父から相続した土地等)を敷地として建築された建物が中心でした。原処分庁は建物のみ鑑定評価額を用い、その敷地は通達評価額のままとしています。

争点と結論

争点1:理由の提示に不備があるか → 不備なし

請求人らの主張は主に2点で、①加算税の賦課決定処分について「正当な理由がないこと」を基礎付ける具体的事実の提示が必要、②更正処分等について鑑定評価書そのものの提示が必要、というものでした。特に①は、修正対象不動産は調査官の指摘に従って鑑定額を採用した部分なのだから詳細な理由が要る、という筋です。

審判所は行政手続法14条1項・8条1項の趣旨(行政庁の恣意抑制+不服申立ての便宜)を充足する程度に具体的に明示されていれば足りるとし、通知書には通達評価額と鑑定評価額の対比とかい離の程度、および平等原則に反しないと判断した具体的根拠が記載されているから、鑑定評価書の添付がなくても判断過程を検証して反論できるとして排斥しました。

争点2:総則6項の適用が平等原則に違反しないか → 違反しない

規範は令和4年4月19日最判と同じ枠組み(通達評価が実質的な租税負担の公平に反するというべき事情があれば合理的理由あり)で、あてはめは次のとおりです。

軽減の程度 ― 取得・借入れがなければ相続税総額は大幅に高額だったところ、実際の総額は約80%減少。「著しく軽減された」と認定。

軽減の意図 ― ここが認定の中心です。

  • 高齢になってから、自己や親族の生活上の必要が特段ない状況下で、約3年間に17件を新規借入れで取得。いずれも賃貸用で居住用ではない → 収益目的のみとはいえない
  • 銀行担当者との面談記録(平成24年7月23日〜平成25年1月30日の9回分が認定事実として列挙)。長男が「相続税を軽減したい」「課税評価の低いものを購入し相続税額を下げた方が効果的」と述べ、収益物件購入による相続税額への影響の説明を受けて購入方針を決定した経緯
  • 信金の稟議書に「相続対策を企図して融資を申し込んだ」旨の記載
  • 長男が共著者となった書籍に、融資を受けて不動産を購入し路線価と実勢価格のかい離を利用して相続税の圧縮を図る手法が記載されており、これが実際に採用された方法と共通

請求人らの反論と排斥理由

  • 「先祖代々の土地の有効活用・純粋な収益目的だった」→ 租税軽減意図と収益目的は併存し得るので、後者の存在は前者を否定する根拠にならない
  • 「書籍は出版社委託のライターが書いたもので、相続税対策とは言っていない」→ 具体的な地名・物件概要や手法への言及は長男が自ら口述しなければ記載し難く、長男の体験に基づくものといえる
  • 「相続税は納税義務者単位で考えるべきで、意図を知らない二女・孫との関係では平等原則違反」→ 両名も相続人として軽減効果を享受できる立場にあり実際に享受した以上、通達評価額によることこそ他の納税者との間に不均衡を生じさせる

争点3:鑑定評価額が時価を上回るか → 上回らない

鑑定は「貸家及びその敷地」として収益還元法による収益価格を標準とし、原価法による積算価格を比較考量して複合不動産価格を決定し、割合法で建物・土地に配分する手法で、不動産鑑定評価基準に従った相当なものと判断されました。請求人らは①建物の再調達原価に直接法を用いていない、②現価率・還元利回り・市場性修正率・効用比の根拠不明、③建物1〜3の再調達原価412,000円/㎡の類似建設事例が不明、と指摘しましたが、直接法・間接法の選択は鑑定士の判断事項であり、その他の指摘も「具体的根拠を伴う内容ではない」として、鑑定内容が不合理との疑いは生じないとされました。

争点4:過少申告加算税の「正当な理由」があるか → ない

「真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、加算税を課すことが不当又は酷になる場合」という一般的規範のもと、長男に軽減意図があったこと、二女・孫も軽減効果を享受したことに照らして正当な理由を否定。また、当初申告で本件以外の不動産について自ら鑑定士を起用して鑑定評価額を採用していた点(=鑑定額が通達評価額を下回る場合の話)についても、鑑定評価額が通達評価額を下回る場合に鑑定が優先する旨の公的見解は見当たらないとして排斥しました。

その他の主張:建物は鑑定・敷地は通達という「いびつな評価」について

請求人らは、収益物件である以上土地建物一体で時価を求めるべきなのに、建物だけ鑑定評価額、敷地は通達評価額とするのは評価通達の採否が分裂したいびつな方式だと主張しました。審判所は、土地と建物で取得の経緯や目的が異なる場合、土地には当該事情がないため通達評価額、建物には事情があるため通達評価額を上回る価額とすることは当然起こり得るとし、また鑑定評価額が時価を上回るか否かは当該建物の鑑定の適否の問題であって、別個の不動産である敷地の評価方法に左右されないとしました。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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