税務調査があるとよく確認される項目の1つが交際費です。法人にとって交際費は必要不可欠だという社長もいれば、交際費なしで営業している方ももちろんいらっしゃいます。
交際費が高額な場合、どういった内容を確認されるか整理しておきましょう。
交際費が否認されると問題になることが多い
税務調査のきっかけにもなり得る交際費ですが、やはり交際費が多いと、調査官は比較的その部分をよく見てくる印象です。
なぜかというと、仮に交際費が社長のプライベートなものだということになると、経費ではなく社長の個人的な支出であり、賞与や給与に該当するとみなされる可能性が高いからです。
この場合、法人の役員報酬は定期同額給与等、一定の金額を毎月支払う方法など、比較的要件が厳しくなっています。
その要件から外れた交際費が給与になるわけですので、全額が損金不算入となる可能性が高いです。
また、社長個人の所得税の金額も変わりますし、源泉徴収税額にも影響する可能性が高いです。
そのため交際費が社長のプライベートの経費になると判断されると、影響が法人税、社長の個人所得税、源泉所得税の3つに及ぶ可能性があり、影響が大きいからです。
そのため、交際費として計上する際には、いろいろなことを説明できるようにしておきたいところです。
交際費の「いろいろなこと」とは
交際費として経費にできる要件の1つが、事業に関連しているものという取り扱いがあります。
例えば、社長が1人で外食するというケースだと、人間は生きていれば普通にご飯を食べますので、「仕事ではなくてプライベートでしょう」という判断になりがちです。
社内の人といるか、社外の人といるかというのもポイントになってきます。
社外の人がいる場合には、基本的に10,000円というラインはありますが、交際費と考えてもらって構いません。
社内の人だけだと福利厚生費になるケースもありますし、交際費に認定されることもあります。
最も多いのは、社外の人とお付き合いで飲食を共にするというケースでしょう。仕事上の付き合いというのがポイントです。
お中元やお歳暮も同じで、取引先の方にするものであれば、「今後のお付き合いもよろしくお願いします」という意味合いが含まれていることは想像しやすいです。
記録を残すことが重要
飲食において大事なのは、どういう取引先と行ったかということが分かるようにしておくということです。
領収書に行った人の名前や人数などを書くのが望ましいとされていますが、そこまでできるかというとなかなか難しい面もあるかもしれません。
ただ、それが絶対的な要件というわけではありませんので、例えば手帳やメモで残しておく、「誰と一緒に行ったのか」「どこのお店だったか」「何人だったか」といったことを書いておくと、税務調査で「これは何ですか」と聞かれたときに説明がしやすいです。
この説明ができるということは、やはりポイントが高いです。調査官はそういったところをやはり細かく見てくることが多いので税務調査で指摘されづらくなりますし、認められやすくもなるでしょう。
何の記録も残っていないよりは全然よいと思います。
税務調査が想定されるような会社の規模だったり、交際費が多い企業であれば、どういう取り扱いをして、どういう記録を残しておくかというルール作りをしておいた方が望ましいでしょう。
もちろん、会計ソフトの入力内容で摘要の部分に「誰と行って何人で」ということを書いておくのも良いでしょう。手帳やカレンダーなどに記載しておくのも良いです。
大事なのは、後で説明を求められたときにきちんと情報を示すことができるという、その状態です。
交際費を否認されるケースだと、この部分がかなり曖昧になっていて、悪く言うとゆるい運用になっているケースも多いので、そういうところを突いてこられたときに困らないように整理しておきましょう。
まとめ
交際費は税務調査で重点的にチェックされる項目です。
否認されると法人税だけでなく、役員個人の所得税や源泉所得税にも影響が及ぶため、日頃からの記録管理が重要です。
「誰と」「どこで」「何人で」「どういう目的で」支出したかを記録に残し、事業関連性を説明できる体制を整えておくことで、税務調査にも対応できます。
交際費の運用ルールを明確にし、適切な記録を残すことを心がけましょう。
