個人事業主の方の税務調査でポイントにあるのが家事関連費です。いわゆるプライベートと事業にまたがって支払われるもので、特に衣食住に関わる支出に関してはプライベートと事業と両方に使っているというケースがありますので、指摘されるケースが多いです。
どう問題になるかというとプライベートがメインなのに、事業供用の割合が高いとか、そういう指摘のしかたをするわけです。税務調査を見据えて、どのように衣食住に関わる支出を経費に該当すると考えるか整理しておきましょう。
衣服に関する支出
例えば舞台に立ったり、テレビに出たりいろんな人の目に触れる機会がある、仕事としていろんな人の目に触れる機会がある場合は、そういう場で着るものに関しては業務関連性が高いといえます。
例えば衣装として用意されたものについては経費になるでしょうし、準備しているものがあれば、それは経費と考えられます。
一方で、普段着のまま仕事をするということも場合によってはあり得るわけで、そういったものが経費になるかどうかでいうと、仕事をしていなくても衣服は切るわけですので、より説明ができる状況が必要になってきます。
よくご相談があるのがスーツです。弁護士や税理士など士業の方は特にスーツを着て仕事をするというケースも多いでしょう。
経費になるかどうかですが、業務関連性と考えるとどういった対策が必要になるか、例えば仕事場があってそこでスーツに着替えているということを客観的に説明できるようにしておくというのは、割と効果が高いと個人的には考えています。
他には作業着のような形で事務所の名前や法人の名前が刺繍されたスーツを着るというのも1つ選択肢にはなるでしょう。本当にやるかどうかは別として。
経費に該当するかどうかを考えるときにそこまでしないといけないのかという事はある程度考慮しておきたいところです。
食事に関する支出
食べるものについても仕事をしていなくても食事はしますので、普段の食事と仕事で必要な食事と線引きしておく必要があります。
例えば家族だけで食事をしてそれが配偶者が役員や事業専従者になっても、食事をしながら話をしないといけないかどうか、仕事の話をしないといけないかどうかっていうのは微妙なラインです。
そこにお子さんがいらっしゃったりするとほんとに仕事の話をしていたのかということになりかねません。
もし疑われるのが嫌だという方の場合は、こういった支出ははずしておくっていうのは予防的な対応にはなります。
飲みに行った、食事に関する支出が経費になるかどうかですか取引先と食事をしたということであれば、業務関連性が高いと考えられます。
取引関係の維持や信頼関係の構築など、いろんな理由があって、取引先や得意先と食事に行くことは、通常の業務の中で行われるものとして考えやすいです。
一方で1人で行って営業活動したというのは結果的に成績につながっている、営業につながったということはあり得るかもしれませんが、仕事につながらない食事ももちろんあるわけですので、全部が全部経費かっていうと難しいでしょう。
特に個人事業主の場合は、所得税法上は直接業務に関するものだけが経費になるというルールが必要ありますので、そこを考えると1人での食事は難しいでしょう。
例えばカフェなどで仕事をすることもあるかと思いますし、取引先間の異動の合間で待ち時間で使うというのもあるでしょう。
住に関する支出
リビングで仕事をしているかたもいるでしょう。リビングの全部が仕事用ではないので、仕事に使っている面積に対して全体の面積で家賃を按分したり、そこからさらに24時間のうちで4時間から5時間ということであれば時間で按分をさらにしていくことになります。
仮に90,000円の家賃でリビングに該当する広さが30,000円となり仕事スペースが半分なら15,000円です。さらに1日のうち4時間仕事だと4/24なので2,500円という計算ができます。
水やガスは事業を行うにあたって必要かというと、生活に関するものが大半と考えられますので、よくて5%から10%ぐらいかなという個人的な印象です。
事業利用した車のガソリン代であれば、事業利用した距離、取引先への距離に応じて按分です。きちんと計上するためにはメーターを記録しておくことが望ましいでしょう。
事業供用100%だと仕事でしか使っていないことになります。後で聞かれるときに説明できるようにしておきたいところです。
まとめ
個人事業主でも法人でも営む事業の種類によって大体これぐらいの経費の割合というのは税務署側でもアタリをつけているようです。
そこから大幅にズレている場合には税務調査で確認される項目になりやすいですのでそういった点も踏まえて衣食住に関わる支出の経費についていま一度見直してみましょう。