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海外に相続人がいる場合の相続の注意点

海外に相続人がいる場合の相続の注意点

海外に移住したり生活の本拠を移していたけれど終の棲家は日本で、というかたは一定数いらっしゃいます。故郷に骨をうずめたいという気持ちが湧いてくるそうです。

そういう方でも相続人である子は海外にとどまるというケースはあります。その場合の相続について注意点を整理しておきます。

目次

海外に相続人がいる場合の課税財産

親世代は日本に帰国し、国内に住所があるものとします。子は国内に住所がなく(非居住者)で日本国籍はあるという場合を想定します。

この場合の相続税がかかる財産の範囲は非居住無制限納税義務者と呼ばれる相続人が相続しますので国内・国外財産のいずれも日本の相続税の課税財産です。

つまりは相続税の納税義務者として海外居住者の子は日本国内の財産も、日本国外の財産も対象となります。

現預金だけの相続ならそれほど手間はかかりませんが、日本国内に賃貸不動産がある場合二は賃料収受に源泉所得税の問題が出てきます。

また相続財産の中に有価証券がある場合に非居住者である海外居住の子が相続すると、国外転出時課税の対象となり対象資産の含み益に所得税が課税されることとなっています。

このように財産の内容によっては確定申告等の負担が増すことは頭の片隅においておきましょう。

可能であれば海外に居住している相続人には手続き面で考えると現預金を相続してもらう内容にしておく方が良いです。

不動産の場合は相続登記の手続きが必要になり、賃料が発生する場合には後段で触れる海外相続人が確定申告をする際、賃料収受の際の手間が増えます。

遺言のあるなし

国外財産については分割協議をすることになるもしくはその財産が存在する国で遺言を作っておくのが望ましいとされています。

日本で海外財産の遺言を作成していると相続手続きがものすごく煩雑になることもあるそうです。

よくあるのがハワイやオーストラリアに資産をお持ちで日本で亡くなった場合の相続手続きや税金手続きの事例です

戸籍がない国では親族関係の証明からして大変だそうですので遺言があることの便利さというのが身に染みたとお聞きします。

やはりこれは何事においても契約があってこそ、という欧米式の考え方に基づくのでしょう。

なのでもし国外財産をお持ちの場合には現地での遺言作成はセットで考えておくべきです。

相続人の確定申告

海外居住の相続人が日本国内にある賃貸不動産を相続したら税務関係はどうなるでしょうか。

海外居住の相続人は非居住者に該当するでしょうから、その場合は非居住者は日本国内の国内源泉所得を有することを意味します。

こうなると賃料を受取時に20.42%の源泉所得税を差し引かれてから賃料を収受するというルールです。

つまり300,000円の月々の賃料だとすると20.42%である61,260円引かれて238,740円の手取りになります。

非居住者はこの場合に日本国内での確定申告が必要で、源泉徴収されている所得税については確定申告の際に精算です。

納付すべき金額に足りなければ納付で、納付すべき金額よりも多く源泉徴収されている場合は還付という処理は居住者と変わりません。

その代わり非居住者は日本国内での確定申告について納税管理人を選定しておくことになります。日本国内にいる親族や場合によっては税理士が納税管理人になる場合もあります。

まとめ

海外に相続人である子がいる場合の注意点について書いてみました。

特に賃貸不動産がある場合にはその海外居住の相続人には相続させないというのも選択肢に入れておいた方がよいでしょう。源泉所得税の処理は煩雑になる可能性が高いです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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