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賃貸不動産を相続する人を誰にするかの検討要素

遺言がない場合、相続の時には遺産分割協議として相続人全員で誰が何を相続するかを決める必要があります。

その手続きを経てご自身が何を相続するのかということが決まります。全員の合意がないと誰が何をするかを決めれないということなのですが、その際、税金のことを考慮するかどうかということをご相談いただくケースが多いです。

賃貸不動産についてどのようなことを考慮するか整理してみます。

目次

相続税の視点

相続税の視点で考えると賃貸不動産であれば小規模宅地の特例を適用するかどうかがポイントです。

賃貸不動産ですと貸付していますからそういう不動産については小規模宅地の特例の貸付事業用に該当して、200㎡まで50%の評価減が適用できそうです。

申告期限まで賃貸継続していることが要件ですが貸しているものをそうそう引き上げるということはあまりないと思いますので多くが適用可能な条件を満たすと考えられます。

その際に他にも不動産があって小規模宅地の特例の適用が受けられる場合にはどの不動産で小規模宅地の特例を受けるか、ということは検討したほうがよいでしょう。

小規模宅地の特例は用途によって適用できる面積と評価減の割合が異なります。そのうえで有利選択が税務上は可能です。

どの不動産を誰が相続するかで適用要件が変わる、ということと、どの不動産で小規模宅地の特例を受けるかというこの2点がポイントになってきます。

相続税全体で考えると適用面積とその土地の単価が高い方が有利になるケースが多いです。

一方でそれぞれの相続人等が支払う相続税で考えると相続した財産の割合で相続税を負担しますので、ご自身が相続する不動産で小規模宅地の特例を受けれる方が相続財産の割合が下がります。

相続税のシミュレーション等でよく言われるのが誰が相続するかで相続税が変わってくるというのはこういう側面があるからです。

所得税の視点

賃貸不動産の場合、相続後は賃料収入があることで所得税の視点でも考えることができます。

例えば所得が年金だけの配偶者と、所得が給与でなおかつ高い子の相続人の場合を考えてみます。

配偶者の場合は年金だけですからそれほど所得は多くないでしょうし、遺族年金を受給するにあたっても所得税は非課税です。

年金200万円のところに不動産賃料収入が仮に年300万円としてもトータルで500万円の所得になります。

不動産賃料収入部分について経費等を加味して250万円が課税所得に上乗せと考えても10&の所得税であれば25万円、住民税10%で50万円の所得税・住民税です。

給与所得800万円の子が相続した場合にはそこに不動産賃料収入として300万円上乗せになるとすると、所得税率は想定で20%、住民税10%だとしても250万円(経費控除後)に対して50万円、25万円で75万円の所得税・住民税です。

所得が高い人が賃貸不動産を相続するとそこに賃料収入が上乗せになるため所得税としては高くなります。

配偶者のかたは遺族年金があるから賃料収入のある賃貸不動産は相続しない、というのも選択肢でしょうし、反対に生活費への充当で賃料不動産があったほうが安心ということであれば相続するというのもありでしょう。

この辺りは相続人のかたの所得に大きく影響しますので、特に不動産賃料収入が高く取れている場合には誰が相続するのが一番良さそうかは生活費等の面からの検討もしてみましょう。

一方で、配偶者のかたの所得が増えると想定としては2次相続の対象となる資産が増える可能性があります。

その点もどこまで考慮するか、逆に不確定要素なので考慮しないのか。何をどこまで検討するのかも含めてご相談いただくのがよいです。

まとめ

結局のところどうすればよいか。ご家族で納得できる分け方をするのが一番ですが、検討材料としていくつかポイントがあったほうがわかりやすいでしょう。

賃貸不動産もいつまで賃料を受け取れるかはわかりませんし、管理の手間や維持費、確定申告なども必要になってきます。

ご家族でよく話し合って検討して納得できる形での分け方を考えてみましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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