インボイス登録をしたフリーランスは所得税の確定申告に加えて、消費税の申告と納税をする必要があります。
所得税は経費や控除などからかからなくても消費税は利益が出ていれば納税になる可能性は高いです。
2割特例適用による消費税申告書作成の帳票、手引きが公表されていますので確認しつつ申告書を手書きで作ってみます。
前提の整理
2割特例は激変緩和措置として本来は免税事業者だったけれど、インボイス登録に伴い課税事業者になったかたが適用できます。
個人事業主の場合は2年前の売上（補助金など非課税のものを除く）が1,000万円を超えていないことがまずは前提のひとつです。
- 2023年10月～12月：2021年の売上をチェック
- 2024年：2022年の売上をチェック
- 2025年：2023年の売上をチェック
というふうにみていきます。
2023年10月1日付で登録をしている方は今年に関しては3か月分の売上を集計すれば申告書のための情報としてはOKです。
あくまで2割加算の特例を受ける場合ですが簡易課税精度を選択している場合も消費税の申告上は課税売上（補助金など非課税の収入を除く）を把握すれば事足ります。
申告書を手書きしてみる
では実際に申告書の流れとしてどう見ていくのか、必要な数字をどこにどう書いていくのかを見ていきます。
3か月分の売上として220万円（税込 すべて10％の課税区分）として計算します。
2割特例を受ける際に必要な申告書の種類としては第1表、第2表、付表6の3つです。第1表から作成するかと思うかもしれませんが、申告書の多くは第1表は計算結果を記載するものでその中身は第2表以降のことが多いです。
今回確認する2割特例の計算でもまずは付表6から金額を入れて計算していくのが適切な流れで、付表6→第2表→第1表とさかのぼって記載していきます。
付表6で消費税額を計算していきここから第2表、第1表と金額を書き写していきます。記載の順番としては上からです。
売上をまずは税抜金額に計算（×100/110）して課税標準額（千円未満切り捨て）を計算し、そこに7.8/100を乗じて消費税額を計算します。（消費税部分は7.8％ 地方消費税部分は2.2％なのでここでは7.8/100を乗じるのですが詳しいことは横に置いておいて、そうなんだなぐらいの認識で大丈夫です）
売上返還等がなければそのまま金額がスライドして下段（⑥）にいきます。その金額をもとに控除する部分の計算のため×80％をします。
2割特例の計算なので消費税部分に20％を乗じればよいのですが計算構造上は80％特別控除という流れとなるため80％を乗じます。
付表6から転記する形をとるのが第2表です。付表6の所定のマスにはその記載金額をどこどこへ、という指示がありますのでそれに従えば記載できます。一番下の地方消費税の課税標準となる消費税額の部分だけは計算して記載しました。
最後に第1表に第2表からの転記と計算で申告書の記載内容をまとめることができます。納付税額の合計が消費税額200,000円の20％になっているかどうか確認しておきましょう。そうなっていない場合には間違っている可能性があるので見直しが必要です。
※地方消費税の計算、帳票でいうと8,800円は31,200円×22/78で求めることができます。
2割特例を使って計算をするときには帳票の右側中段にある「税額控除に係る経過措置の適用（2割特例）」のところに〇をつける必要があります。
※⑮の「この課税期間の課税売上高」の欄は本来だと記載の必要がありますが2割特例適用の場合は記載の必要がないとのことです（手引きに記載）
まとめ
普段から青色申告をしている場合には売上の集計自体は問題なく行えるでしょう。手書きで申告をしている場合はそれなりに手間がかかりますが、確定申告書等作成コーナーでは売上金額を入力すれば簡易課税方式での計算のようにおそらくすぐに申告書作成はできそうです。
これを機会に電子申告、確定申告書等作成コーナーでの申告にトライするというのもよいでしょう。青色申告の承認を受けているのであれば特別控除の金額も増えますし、手書きをするとどこかで間違う可能性が高まりますのでシステムを上手に活用してみてください。
