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インボイス登録する際に簡易課税の届け出を一緒にやっておくかどうか

インボイス登録する際に簡易課税の届け出を一緒にやっておくかどうか

インボイス登録をする際に併せて簡易課税方式の届け出をしておいたほうがよいか、ということをご相談いただくことがあります。

メリットもあればデメリットもありますのでご自身にとってどちらがよいかは考えていただいたほうがよいです。

目次

簡易課税のデメリット

簡易課税方式での消費税申告のデメリットは仕入れや経費にかかる消費税を一切無視する、ということです。

ある意味これがメリットになることもあるのですがデメリットになることがあります。

簡易課税方式の場合は売上にかかる消費税について一定の業種に応じた割合で納める消費税を計算します。

なので簡易課税方式で定められている一定の割合よりも多い仕入れや経費がある場合には簡易課税のほうが消費税の計算上は損をする可能性があります。

また、設備投資など固定資産を購入する場合にはそれにも消費税がかかっているはずですので消費税の計算上は考慮します。

こういった支出にかかる消費税が多い場合には簡易課税のデメリットが大きくなりますので注意したほうがよいです。

簡易課税方式の割合としては

  • 卸売業 90%
  • 小売業 80%
  • 製造業 70%
  • 飲食業 60%
  • サービス業 50%
  • 不動産業 40%

となっています。

これらの割合を売上にかかる消費税に乗じて計算し売上にかかる消費税から控除します。

そのためこれらの割合よりも売上にかかる仕入れや経費の割合が高い、例えば製造業で仕入れや経費にかかる消費税のかかる取引が75%という場合などは簡易課税方式よりも原則方式のほうが有利になると考えられます。

またデメリットとしては簡易課税方式を選択すると2年間は強制的に適用になる点も注意しておきましょう。

サービス業で経費が少ないと簡易課税のほうが有利なことが多い

デメリットとしての簡易課税方式を説明しましたが、サービス業だと簡易課税方式のほうが有利になるケースも多いです。

仕入れや経費が少ない事業はありますし、ほとんど経費が掛からないというケースも最近は増えています。

そのため、経費が少ないサービス業の場合は法人でも個人でも簡易課税のほうが圧倒的に有利ということもあるのが実際です。

サービス業のフリーランスで売上に占める経費の割合として20%とか30%だと、簡易課税方式で計算したほうが消費税の計算上は有利です。

インボイス特例で2割計算ができる場合にはさらに有利になりますが、2割特例を適用して計算するかどうかは簡易課税方式か原則方式化は関係がありません。

簡易課税方式の届け出を出していなければ、原則方式で計算した金額と2割特例で計算した金額での有利選択をします。

簡易課税方式の届け出を出していれば、簡易課税方式で計算した金額と2割特例で計算した金額での有利選択となります。

そのため、現時点ですでに簡易課税方式のほうがどう考えても有利、今後も経費は増える予定はない、ということであれば簡易課税方式の届け出を今の時点で出しておくのよいでしょう。

というのも今の時点では覚えていても将来、簡易課税方式でいざ計算しようとして届け出を忘れている可能性があるからです。

この届け出を忘れてしまった場合のリスクのほうがフリーランスの方に限っては大きいと私は考えています。

というのも税理士であってもお客様の消費税申告にあたっては慎重に判断しますし、場合によっては届け出を失念してしまって有利な計算ができなかった、ということが発生します。

いまはインボイス制度導入にあたって消費税についての感度が高い状態だと思われますが、そのうち落ち着いてくると届け出をしたかどうかを忘れてしまう可能性があります。

いま検討していて明らかに簡易課税方式が有利なことがわかっているのであればインボイス登録と一緒に簡易課税登録しておいたほうが安心です。

簡易課税、2割特例の消費税を確認

簡易課税方式、2割特例の場合の消費税の申告のしかたとしては売上の集計ができていれば申告書作成自体はスムーズです。

計算もかなりシンプルですので帳票もシンプルになります。仮に元々免税事業者でサービス業のフリーランスでみてみましょう。

  • 2023年分:10~12月の売上220万円→2割特例で計算 220万円×10/110×20%=4万円
  • 2024年分:1~12月分売上880万円→2割特例で計算 880万円×10/110×20%=16万円
  • 2025年分、2026年分は2024年と同じ売上だとすると2割特例で同じ金額 16万円
  • 2027年分:1~12月分売上990万円→簡易課税で計算 990万円×10/110×50%=45万円

原則課税だと控除する消費税の金額を支払いの取引からすべて判定していくことになりますので帳簿付けの手間が変わります。

簡易課税方式や2割特例での申告書作成のハードルを感じている事業主のかたもいらっしゃるかもしれませんが、売上の金額をきちんと把握できているかその点だけがポイントです。

集計できていれば申告書自体はすぐに作れます。以前にYouTube動画で簡易課税方式での申告書作成にトライしてみたものがありますので参考にしてみてください。

まとめ

インボイス登録をする際に簡易課税方式の届け出を一緒にしておいた方がよいかどうか、についてお伝えしました。

忘れてしまったリスクは結構大きいですが簡易課税方式のデメリットもありますので、そのあたりを考慮ししつつ検討しておきましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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