フリーランスのかたが事業を法人に移して法人として事業をすることを法人成りと表現することがあります。
以前は消費税の免税期間を法人に事業を移しても取れていたので有利な面が多かったのですが、インボイス制度が始まると法人成りが必ずしも有利にならないケースが増えてきています。
それでも法人成りしたいと思ったときにどんなことが変わるのか、おカネが出ていく、支払いの面からみてみましょう。
自分に役員報酬を出せるけど社会保険料負担
フリーランスの間は自分宛てに給与を出すことができませんが、法人成りすると法人から役員報酬を自分に支給することができます。
自分がオーナーで自分が代表者なのでフリーランスと変わらないだろうと思うかもしれませんが、法人はあくまで別人格なので役員に役員報酬を出せる点が大きな違いです。
役員報酬は基本的に年に一回決まった金額を支出する定期同額給与というものと、決まった日時に賞与的に支給する事前確定届出給与が主なものです。
いくらでも出せるという訳ではなく金額を決めたり、タイミングが決めたりといろんな制約があります。
給与で仕事をしていたことがあるかたは、給料から差し引かれているものがあることを思い出してみてください。
税金(所得税、住民税)のほかに社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)が引かれていたはずです。
役員報酬も同じく税金と社会保険料(雇用保険を除く)が差し引かれることになります。
差し引かれた税金は会社がまとめて税務署や市区町村にしかるべきタイミングで従業員や役員の代わりに納めます。
社会保険料もそうなのですが、労使折半と言って給与・役員報酬から差し引いたものにほぼ同額をプラスして納めることになります。
仮に月額50万円の役員報酬を京都に会社をおいて30歳のかたが受給したとすると50万円の役員報酬から差し引く社会保険料は70,625円です。
これに会社側は70,625円をプラスして納めることになりますので、単純計算として50万円の役員報酬に対して天引きと会社負担分で141,250円となります。(子ども子育て拠出金は割愛)
結構大きな割合になりますのでこの点について注意が必要です。
会社法というルール 税理士報酬が増える
フリーランスのかたですと所得税の確定申告については所得税がルールになります。
一方で会社を設立して法人ができると、税金計算のルールは法人税法に変わり、そこに会社法のルールが加わります。
法人税法は計算のルールですが会社法は法人運営上のルールです。
法人税法と会社法の二本立てになること、また法人税の申告書は所得税の申告書とは全く異なるものですので作成に専門的な知識が必要になります。
なかには自分で法人税の申告書を一式を作成される方もいらっしゃいますがごく限られたかたです。
一般的には税理士に申告依頼をすることになり所得税の申告書よりも作成する書類等が多いので顧問にしても決算申告にしても税理士報酬は増えます。
個人事業主であるフリーランスの状態だと給料が自分宛てに出せない分、事業資金もプライベートのお金もごちゃまぜでも問題ないですが法人だとそうはいかなくなります。
会社で負担すべき費用を役員が負担していると役員借入金になりますし、役員の個人的な支出を会社が負担すると役員貸付金になります。
事業主勘定が役員借入金や役員貸付金に置き換わるイメージです。カネの出入りをより細かく帳簿付けしていく必要があるということです。
法人の場合でも赤字になることはありますがその際でも法人市府民税の納税が必要になります。最低でも7万円です。
こういった負担があることも法人成りになったときのデメリットのひとつとして把握しておく必要があります。
まとめ
法人成りしたら変わることとして支出面についてお伝えしました。消費税のことなどを考えると有利になるケースは少なくなりつつあります。
それでも法人成りするかどうかは事業を拡大したいなどの要素で検討していくのがよいかなと。
もちろん税金のことも考えつつではありますが税金のためだけの法人成りにしないようにしましょう。