事業承継においてもM&Aの選択肢が検討される場合があります。主に後継者が親族や従業員にいないケースです。
MA&で会社を手放したらどうなるか概略を整理してみましょう。
M&Aの流れ
M&Aつまり会社や事業を売却することですが、会社の株式を買い取ってもらう方法、事業そのものを買い取ってもらう方法などがあります。
一般的な流れとして買い取りの希望を仲介会社に出す。
仲介会社が買ってくれる会社や個人を探してくる、会社の事業内容を細かく精査して価格を計算する、合意が取れたら実際に売買に進んでいく、という流れです。
売り手と買い手がいてはじめて成立するのがM&Aです。
いま、日本に中小企業は経営者の高齢化が進み、また事業を引き継いでくれる親族や従業員がいない、というケースが増えてきています。
そういった場合には会社を精算するぐらいであれば引き続き事業を継続してくれる人に買い取ってもらおうということになります。
買い取り価格は会社が持っている資産であったり、今後得られるであろうキャッシュや利益などを総合的に勘案して決定されます。
基本的な流れとして簡略には以上のようになりますがそれなりに時間も費用も掛かります。
もしM&Aを選択して成約し譲り渡すとどうなるか見てみましょう。
オーナー=経営者・社長
日本の中小企業では株主(オーナー)であり経営者でもあることが大半です。
会社の株式を譲渡して売り渡した場合には株式の持ち分に応じて手元に売却代金が入ってきます。
これについては株式の譲渡所得が得られていますので所得税の確定申告をすることになります。
例えば会社の株式を75%持っている状態で株式を全部売却するとします。全部で2億円で譲渡したらそのうち2億円×75%=1憶5千万円が手元に入ってくる計算です。
この金額と株式の額面金額との差額の利益に税金がかかります。
経営者は基本的に退陣です。退職金は支給されるケースもあれば、会社の状況に応じて支給されないケースもあります。
株の譲渡代金が退職金見合いで、とされるケースも見かけます。
特に業績の悪い状態での売却だと退職金を取ることが状況として難しいこともありますし、業績が良くてもM&Aの条件として退職金いくら、というのが条項として織り込まれたりされなかったりとまちまちです。
条件そのものは入れることがもちろんできますが、それがあるがゆえにM&Aが成立しないものも中にはあるかもしれませんから交渉次第ということになるでしょう。
中小企業の場合には株主に選ばれた経営者が社長を務めます。株主は社長一人、もしくは親族でなっているケースが多く、実質的にはオーナー社長と呼ばれる状態です。
会社を譲渡すると株を手放す場合には株主ではなくなります。
では経営者・社長としての地位はどうなるかというとその地位がなくなることが基本です。簡単に言うと退陣です。
良くても雇われ社長か役員ということになります。
自分が好きなように経営していた会社は自分の持ち分はなく、また役員報酬を決めたり会社の重要なことを決めることはできなくなります。
従業員や社名などを残す契約になることも多いですが経営者は退くことが大半です。
まとめ
親族内に会社を引き継いでくれる人がいない場合、従業員などにもいない場合、このままだと会社を清算するしかない場合によく取られる選択肢がM&Aです。
それでも会社を残せるならということで選択する経営者も増えてきていますが、想像していたのと違った、ということにならないように丁寧な判断が必要な場面です。