法人を設立する際の相談でひとをいつ雇うか、友人知人と共同経営したい、雇いたいというお話があります。
共同経営も友人知人を雇うのもいったん踏みとどまって考えていただくようにお伝えしています。
共同経営はうまくいかないことが多い
共同経営で代表者が二人、持ち分が50%ずつ、という会社形態を見かけることがあります。
一見するとイーブンではありますが、パワーバランスが必ずしもイーブンになるわけではないでしょう。
あくまで持ち分が50%ずつなだけで、仕事の成果をどう配分するか、仕事の忙しさや担当分量なども50%にするのでしょうか。
一対一の割合だと何か決める際にも決議が取れないことがあり得ます。
こういうときに税理士に相談されるとめちゃくちゃ困ります。あくまで会社の顧問ですのでどちらのかたを持つということではなく、どっちの案や考えも尊重すべきです。
折り合いがつかないことが積み重なるとどうなるか。
相手に対する不満が積み重なることになり最終的にはどちらかが持ち分や株式を買い取って出ていく、ということが往々にしてあります。
株式の買い取りになるとそこまでの会社の業績が大きく株価に影響することも多く、想定外の価額になるケースもあります。
共同経営で上手く行くケースももちろんあるのですが、圧倒的にうまく行かないケースのほうが多いです。
ご自宅をペアローンと言って夫婦で共有としローンをそれぞれが組んでいることに似ています。
会社が不動産になっているだけで、もし夫婦仲が破綻して離婚する場合にはローンの精算なども含めて揉め事に発展することもあり得ます。
最悪の場合は不動産を手放す選択になるので住んでいる場所を変えることになります。
友人知人を雇うメリット・デメリット
友人知人、気心の知れた人を雇うというのも見聞きすることがありますが、良い面と悪い面と両方あります。
良い面としては気心知れているのでツーカーで成果が出ている間は人間関係のストレスが少ないということ。
職場の悩みや困りごとは人間関係に起因することが多いです。そこの部分がある程度クリアされている状態というのは魅力的に見えます。
ただし前提として成果が出ている間は、という文言がつきます。
スタッフであっても言うべきことは言わなければいけない場面というのは確かにありますが、それが友人知人だと言いにくくなることも。
そうなると判断がブレてしまいますし、シビアな判断もしにくくなります。
友人知人をスタッフとして雇って事業や業務がうまく行かず、結果的に友人関係を清算するケースも見かけることがあります。
やはり事業としては友情を入れ込まないほうがいいんじゃないか、というのが税理士としてのアドバイスです。
もし成果が出なくても今の労働法関係では解雇をするのは金額的なコストも、精神的なコストも払うことになります。
まとめ
いまは大丈夫だから!といって雇われることもありますが時の経過ととともに変わることって事業環境や事業そのものにおいてもあります。
友人知人を雇う、共同経営をするとそうでなくても難しい事業運営のハードルが何段階も上がると考えておいた方がよさそうです。