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相続税計算上の小規模宅地等の特例をザックリ把握しておく

小規模宅地等の特例

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

相続税を計算する際には各種の特例があり、相続税額に対する影響もかなり大きいです。

特例のひとつである小規模宅地の特例についてザックリと解説しておきます。またどういうひとが相続税対策が必要かについても考えていることをお伝えします。

 

目次

小規模宅地の特例の概要

小規模宅地の特例の概要についてまずは抑えておきましょう。

土地の価格にはいくつかあり一物多価と呼ばれたりします。相続税を計算する際の土地の価額のことを相続税評価額といい、実際に売ったり買ったりする値段ではなく相続税や贈与税を計算するための価額です。

 

一定のルール(財産評価基本通達)に基づいて計算をしますが路線価というものを聞いたことがあるかと思います。

 

すべての土地が路線価で計算をするわけではないですが都市部にある土地については路線価で計算することが多いです。

 

路線価はその年の相続について7月に国税庁から公表される価額を用いて計算をし、相続税評価額を算定します。

 

その土地についてそのまま丸々相続税を課税すると社会的に不都合が生じるケースがあります。

その社会的に不都合が生じそうな土地について特例を適用することでその事情を解消しましょう、というのが小規模宅地等の課税価格の特例と呼ばれる特例です。

 

例えば自宅を都内23区にお持ちだとします。この自宅の敷地について相続税をそのまま課税をしてしまうと納税ができなくなって自宅を手放す選択が出てくる可能性があるわけです。

 

相続税を払うために自宅を引き払い納税資金を作るというのは社会的な配慮が欠けていると言えるでしょう。

 

このような自宅の敷地であったり事業をしている場合にはその事業所の敷地、貸し付けている土地についてはそのまま相続税を課税すると手放す人がいる可能性があるため、そういったことをある程度排除する、という内容になっています。

 

すべての土地がこの小規模宅地等の特例を適用できるわけではなく相続があったときの相続人、被相続人の状況によりかわります。

 

また適用できる土地の面積も小規模宅地とされているように制限されています。

代表的な内容をピックアップすると以下のようなものがあります。

適用可能最大面積 減額割合
自宅の敷地 330㎡ 80%
事業用の敷地 400㎡ 80%
貸付の敷地 200㎡ 50%

面積要件、居住要件、所有要件などありまた相続財産の分け方が決まっていることが前提です。

 

要件が多いのは相続税に対する影響が大きいからですが、配偶者が自宅を相続する場合などについては要件のハードルが低めに設定されています。

 

どういうひとが相続税対策が必要か

では小規模宅地等の特例が利用できる場合で相続税対策が必要か考えてみましょう。

 

都内に自宅をお持ちで土地、建物、現預金をお持ちのご夫婦とお子さんひとりのご家庭を想定します。

 

財産の価額について以下のようになったとしましょう。

土地:200㎡×300,000円(路線価)=6,000万円
家屋:1,000万円
現預金:2,000万円
合計で9,000万円となったとします。

 

この状態で配偶者が自宅の敷地について相続をし、小規模宅地等の課税の特例を適用できたとすると以下のようになります。

土地:6,000万円×(1-80%)=1,200万円
家屋:1,000万円
現預金:2,000万円
4,200万円の相続税計算上の合計額です。

 

相続税を計算すると基礎控除は配偶者とお子さんひとりですので3,000万円+600万円×2人=4,200万円です。

 

相続税の申告は小規模宅地等の特例を受けるために必要ではあるのですが、葬儀費用などを加味すると相続税がかからない状態と考えられます。

 

このような状態で相続税対策は果たして必要か、というのは考えたいところです。

 

税理士としてこのようなご相談があった場合には仮に配偶者の方が自宅を相続をすれば相続税がかからない想定なので無理して相続税対策を実行しなくてもよいのではないかとお伝えすることも多いです。

 

事前にご相談をしていただけると状況の整理ができて安心していただけますし、もしやるとしても死亡保険金の非課税枠を活用するぐらいに留めるかなと。

 

配偶者居住権なども設定することが想定されますが複雑なことをあえてやらなくてもこの状況であれば配偶者が亡くなったときには相続税がかからないわけです。

 

よく次の相続のことを考える、2次相続を考えるという話も見聞きしますがどこまでやりたいか、また必要かというのはご家族の状況や財産の内容に大きく左右されます。

 

相続税対策もエネルギーが必要ですし費用も掛かります。絶対必要なものではないでその分検討の時間と状況整理に時間を割いたほうが良いと考えています。

 

まとめ

もし相続税対策をやるとしても必ず事前に相続税のシミュレーションを税理士に相談し、本当に必要か、ということを金額面から検討していただくことをお勧めしています。

 

そしてインターネットや書籍では揉めている相続のことについて見聞きすることがあるかと思いますが円満なご家庭ももちろんたくさんあり、揉めることのほうが少ないです。

事前に相談しご準備をいただくことで安心を感じられますので一度状況整理を兼ねて相談することをおすすめしています。

 

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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