こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
中小企業の社長さんは金融機関の営業マンやコンサルタントの提案でファクタリングを紹介されることがあります。
ファクタリングってどういうものなのか、提案を受けた時に考えたいことを整理しておきます。
ファクタリングとは
ファクタリングとは売上債権を買い取ってくれる仕組みです。
例えばAという会社にたいして売上があるとします。代金の回収は掛取引で掛売上、つまり売掛金です。
売掛金の回収期日が例えば翌月末であればそこまで待つことになりますし、翌々月末の期日だと少し時間がかかります。
いまでいうと9月ですから翌月末までだと10月末、翌々月末までだと11月末まで支払を待つ可能性が高くなります。
その間の事業を継続維持運営していくためにもその売上の回収は必要でしょう。
売掛金に対して受取手形を発行された場合にはさらに回収期日が後ろ倒しになります。この場合はやく現金化して回収しようと思ったら銀行で手形を割り引いてもらうことになります。
受取手形の満期日前に手数料がかかりますが現金化することが可能です。
ではファクタリングはなにかと言うと売掛金の状態のものに値段をつけて買い取ってくれるサービスです。
金融機関とタッグを組んでいることもありますが仕組みとしては回収期日前の売上債権を買い取ってもらう流れです。
もう一つ別の内容としてはその売上債権を担保にして資金調達、つまり借入をするという手法もあります。
回収期日前に現金化できれば資金繰りも安定する、と思うかもしれませんが注意点がありもちろんリスクもあります。
もし提案を受けたら
すべてのファクタリングがダメということではなく必要があればやってもらえばよいですがその判断材料を整理しておきましょう。
ファクタリングで売上債権を買い取ってもらう場合にはその売上の相手先の与信情報などから手数料が決まりますが、受取手形を割り引いてもらうことよりも手数料は上がる可能性が高いです。
資金が必要かどうか
債権を早期に資金化しようというお話なので現状で資金需要があるかどうかはポイントです。
急いで現金化しなくてもよいぐらいの手許の現預金があれば無理して手数料を支払わなくてもよいでしょう。
どれくらいの目安を手許現預金として置いておきたいかは事業の種類や規模にもよるかと思いますがそのあたりも一度見直してみるのもよいです。
例えば平均月商の3倍なのか2.5倍なのか。資金繰りとして月末段階でどれくらい残高がないと金策に走らなければならないか、そいうとことからチェックしてみましょう。
回収リスクがあるかどうか
資金需要があるかどうかと同じくらい大事なのがその手放そうとしている売掛金について回収リスクがあるかどうかです。
例えばですが大口なんだけどしょっちゅう遅れる、という場合には黄色信号です。
反対に取引額は大きくないんだけど期日前にキチンと支払いが確認できる、という場合は回収リスクは低いでしょう。
このあたりは帝国データバンクなどの情報提供会社から取引先の財務情報などを手に入れるというのもひとつですが、それぞれの取引先について回収リスクをまずはザックリと見てみましょう。
そのうえでこの売掛金は少し回収リスクが高そうだなという判断なのであればファクタリングするかどうかの判断材料としてみてはどうでしょうか。
はじめての取引先であればある程度注意をして取引を開始するかと思いますが年数を経過すればその辺も緩んできます。
相手の状況も変わっていきますので改めてすべての取引先の回収リスクを考えてみる機会を設けてみましょう。
情報漏洩リスクがあるかどうか
ファクタリングの提案をする会社がよく言うのが情報漏洩リスクはないというワードです。
けどどんなキッカケから売上債権を譲渡していることが漏れ出て伝わるかはわかりません。
もし自分が相手の取引先だと考えたら、売掛金を譲渡していることがわかったときどんな気分でしょうか。(こちらで考えると買掛金ですね)
ビジネスは信用で成り立っている部分も多分にありますので最悪の場合今後の取引がなくなる可能性もあるわけです。
それぐらいリスキーなことだということはアタマの片隅に置いておいたほうが良いです。
まとめ
ファクタリングは安易には勧めませんが金融機関の担当者などが提案事項でもってくることがあるようです。
早計に手を出さず上記で触れたようなリスクや資金繰りなどを加味して判断していきましょう。